第八章その2
すもも村は小さな村だった。
りんご市ほどアイテムが揃っているわけではないが、とりあえず必要な食糧やアイテムの買い出しをすることにした。
「小さな村だけど、のどかでいいねー。」
隣を歩くのはスカーレットだ。
最近はスカーレットとペアになることが多くて嬉しい。
「そうそう。エルフの森なんだけど、私たち人間が行くわけにはいかないから太郎1人で行ってもらうことになるけど大丈夫かな?一応護衛で途中までダリアがついていくけど、ダリアのわがままみたいなもんだし途中からはほんとに1人だから。」
そうなの?人間嫌いの種族とかなのかな?
まぁダリアは一緒でも問題なさそうだけど、魔王の娘ってのが秘密だからそのまま帰した方が無難か。
一緒に行けたら変に怪しまれるもんな。
「あぁ。分かったよ。」
次の日の朝食は、落ち着かなかった。
みんなが、エルフを怒らせないようになどとワイに注意してきた。
「まだ食ってるのか?」
相変わらず食べるのが遅いダリアを置いて食堂を出ようとすると、ダリアが待ってーと言ってきた。
「落ち着いて食えよ。入り口で待ってるから。」
そう言い残して食堂を後にする。
ええと。手土産を持って行けばいいんだっけ?エルフの森にモンスターはいないらしいし、まぁワイ1人でも平気だろ。
思えばこの世界に来て1人で行動するのは初めてだな。
入り口にはダリアが待っていた。
「行くぞタロー。」
相変わらず怒っている。ご飯の時待っていなかったからか?いや、それはいつものことか。
村人に案内されてエルフの森の入り口まで向かう。
「どうか。エルフ様を怒らせないでくだせぇ。」
村人に言われて、ワイは1人で森へと入っていった。
「タロー!」
ダリアに呼び止められる。
「早く帰ってくるんだぞ。」
なんだそれ。寂しいのか?ダリアは村人にこれ以上先に進んではならないと制止させられている。
「娘さん。この場自体村人の中でも数人しか訪れることはできぬのじゃ。あなたがここに来たことが知られれば、エルフ様を怒らせてしまう。」
などと村人がダリアに言っている。
エルフってそんなに怖い種族なの?
ワイが思うに、エルフってちょっとエロい服装でお姉さんで優しいイメージなんだけど。
森を道なりに進むと、ものの数分でいかにもエルフという感じの人に出会った。
「人間。ここは聖域だ。去れ!」
「あっと。人間の街で、エルフ様に援軍を要請したい場所があって来た勇者の山田太郎と申します。」
自分で自分を勇者って言うの恥ずかしい!
「人間の世界に勇者が誕生したことは知っている。だが我々が人間に味方をすることはない。」
「待ってください。これは手土産です。」
あれ?手土産がない。確かにモンスターの毛皮で作ったマフラーを手土産にと村人から渡されたのに。
「もうよい。人間は去るがいい。」
ワイがもたもたしている間にエルフが呆れたように言う。
「ちょちょちょちょっと待ってください!あれ?どこ行ったんだろ?」
「我々が手土産なんかに騙されると思うのか?」
あれ?怒らせた?
帰れ帰れと森の入り口まで押される。
意外と力強いな。
「タロー!どうしたのだ?」
あれ?ダリアまだいたのかよ!
「!あの者は!勇者。なぜあの者と一緒にいる。」
ダリアを見てエルフの表情が変わった。もしかしてダリアの正体に気づいた?
「ちょっと訳ありでして。とりあえず話だけでも聞いてくれませんか?」
よかろう。と一言頷き、ワイをエルフの町に案内してくれた。
ダリアが遠くでキョトンとした表情をしていた。




