第六章その5
翌朝、朝食の時にワイは昨日話したスカーレットとの会話を話題にだした。
「あの木を倒す方法なんだけど、夜襲を仕掛けてみるのはどうかな?」
どれ程成果があるかは分からない。
だが、手をこまねいていても仕方ない。
作戦の詳細を説明すると、参謀的立場でもあるカルドンとチーゼルが賛成した。
「その少数のメンバーにもよるが、蛇もしくはトラを1匹でも倒せれば、こちらの勝率はぐんと上がるな。」
焼き魚を綺麗にほぐしながらカルドンが言う。
「メンバーはどういった感じになるのでしょうか?」
シリアルを食べながらアヤメが訊ねる。
「そうね。ヒゴタイとグラジオラスは不参加でいいでしょう。」
小指をピンと立てながらコーヒーを飲みつつ、チーゼルが言う。
確かに夜襲なら魔法の類よりもアイテム重視だしな。
「私とチーゼルとローゼルとダリアでどうかしら?」
スカーレットが提案する。昨晩の内に考えていたのだろう。
「アヤメとスカーレットを入れ替えましょ。私としては、グラジオラスとカルドンは今まで通り互いのレベルアップを計ってちょうだい。」
ずっと。コーヒーを飲んでチーゼルが一息入れる。
「ヒゴタイ。あなたにはサポート魔法を覚えて貰うわ。カルドン。グラジオラスだけじゃなくてヒゴタイの魔法も見れるかしら?」
「うむ。サポート魔法だな。任せろ。」
カルドンが頷いて応える。
「私が外される理由は?」
スカーレットがむくれる。
「あなたと太郎にはアイテムの購入を頼みたいのよ。アヤメでもいいけど、実践をつんでほしいってこともあるし理解してちょうだい。」
「分かったわ。くれぐれも無理しないでね?」
「私がいるんだから大丈夫よー。」
ドンッと厚い胸板を叩く。
「夜襲なら、逃げる算段として光系統のアイテムがあった方がいいんじゃないか?」
確かにカルドンの言う通りだ。そういったアイテムって売ってたっけ?
「分かったわ。それも探してみる。」
メンバーから外されたのが余程堪えたのか、朝食もそこそこにスカーレットが立ち上がった。
いくわよ。と目で訴えかけてくる。
「私たちは今夜の夜襲に備えて作戦会議よ。」
●
その夜、チーゼル率いる夜襲チームは宿を後にした。
<閃光花火>という、火を点けると光を発するアイテムがあったので、それを入手して渡しておいた。
「ここからは細心の注意を払ってちょうだい。計画通りにいくわよ?」
街の外でチーゼルが言う。
<笑う木>が居たのはあと少し先だ。
まずは全員が頭から<姿隠しの粉>をかけた。粉がかかった部分は光が奇妙に反射したり屈折したりして、その姿を映さなくする。
時間が経つと、粉が少しずつ体から落ちてしまうため、徐々に姿が現れてしまう。同様に激しい動きなどをして粉が落ちても姿が見えるようになる。
次に<音消し草>を煎じた薬液を飲む。一定時間、飲んだ者が発する一切の音を遮断してくれる便利な薬だ。
<香草袋>を開封したら準備完了だ。これによって人間の匂いを消してしまうわけだ。香草袋の匂いの効果が消えた後は、一般的なハーブとして調理に使えるので非常に便利なアイテムだった。
<姿隠しの粉>を使っているので、みんなも自身の姿が見えないので、その前段階で打ち合わせをしっかりとしておかないと、連携もなにも無くなってしまう。
動物が動く音などはするが、夜襲チームが発する音もしないから、尚更何をしているか分かりづらいのだ。
<笑う木>は眠っていた。
辺りを<グラスランドタイガー>1匹と<デスストーカー>1匹が警戒していた。
モンスターのくせにかなり知能がある個体のようだ。
まずは蛇を、予定通りチーゼルが<蛇掴み>で挟んで捕まえる。すかさずダリアの怪力で蛇を地面に杭で打ち付ける。
数か所打ち付けて蛇を動けないようにした。
留めは時間がある時に刺せばいい。
蛇に異変があったことでトラが警戒した。
ローゼルの弓矢は当たらないので禁止されている。
代わりに仕込みナイフを使うように指示がった。
ローゼルのナイフはリーチが短いがアヤメの大剣なら長くて、不意打ちならトラにも当たる。
そういう作戦だった。
案の定、アヤメの大剣がトラに当たりトラが暴れだす。
すかさずアヤメがその場を離れる。
トラが暴れた場合は撤退するという作戦だったので、全員が街へと避難し宿に戻った。




