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【悲報】勇者に転生したワイ魔王の娘に好かれる  作者: shiyushiyu
レモンバームの丘での攻防

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第六章その2

ここにいる<笑う木>は、<ラベンダー山>の麓に居たのとは別個体。


つまり、<ジャイアントビー>や<グルッポフォルミーカ>の巣があるかは分からない。


確かなことは、<笑う実>とセットということ。


「カルドン!グラジオラスを連れて離れて待機!アヤメ!カルドン達とは違う場所でヒゴタイと待機!あなた達は盾になって守りなさい!」


チーゼルが手慣れたように指示を出す。いつもならカルドンの役だがカルドンよりも経験豊富なので、カルドンも何も文句を言わない。


「ダリア!あなたは私と本体に攻撃を仕掛けるわよ。ただし、実を降らせる攻撃には注意してちょうだい。それから、葉の中にはどんなモンスターがいるかも分からないから、基本はヒットアンドアウェイよ?」


「分かったのだ!」


返事をしつつダッシュで<笑う木>に向かう2人。


早い!


「後は任せたわ!」


スカーレットにそう言い残して、ダリアと共に打撃を入れていく。


スカーレットはワイとローゼルと共に<笑う木>から出てくるであろう他のモンスターの警戒をする。


「<笑う木>の厄介なところはね、他のモンスターと共生しているってところなのよ。噂ではカラードラゴンと共生している個体もあるそうよ。」


スカーレットが忠告する通り、<笑う木>には<ジャイアントビー>の巣があり、たくさんの蜂が飛んできた。


幸いにも、前回のような<グルッポフォルミーカ>は居なかったが、変わりに蜂の巣が大量にあるみたいだった。


「厄介な個体のようね。こういう個体を倒しておかないと、こういう街道の安全が守れないのよ。」


スカーレット達冒険者の仕事なんだと言う。


「この蜂!素早すぎてウチの弓矢じゃ当てらんないよ?」


ローゼルが歯噛みする。


「矢は使わないで!勿体ないから。2人とも待ってて。」


そう言い残してスカーレットは<笑う木>の葉が生い茂る中へと入り込んでいった。


「危険じゃないの?」


ローゼルが絶句しながらワイに言う。


前回のことが余程堪えたようだ。


そうしている間にも蜂の大軍がこちらへ向かってくる。


「ほい。」


ピョンッ。と木の枝からスカーレットが飛び降りてくる。


2本の枝を切り落としてきたらしい。


同時に複数の<ジャイアントビー>を倒していた。


「これで蜂を叩こう。」


自分自身はもう一度葉に潜り込むと言った。


「危ないんじゃないの??」


ローゼルが忠告すると、枝をひょいひょい登りながら返事が返ってきた。


「へーきへーき。私に攻撃対象が移ったら、ダリアとチーゼルが留め刺しちゃうし。私たちはあくまで他のモンスターを警戒してればいいの。それに、さっき蜂の巣があったからちょっと落としてくる。」


ちょっとそこまで買い物。


みたいな感じで言い残して、スカーレットは姿を消した。


ワイの印象では<笑う木>は弱くない。むしろ強い部類に入る。


でもしっかりと倒し方さえ分かっていれば、問題なく挑める敵らしい。


今回みたいに、カルドン・グラジオラス組とヒゴタイ・アヤメ組が遠くから別々の場所で<笑う木>を囲む。この2組は何かあれば回復したり攻撃したりしてくれる。


やや近場にはワイとローゼルが。木から出てくるモンスターを次々に討伐することで、数を増やさせない。


スカーレットはそのままモンスターの巣を急襲し、ダリアとチーゼルの破壊力あるパンチで木の本体を叩く。


いくら複数のモンスターと共生していても、こうやって対処してしまえば比較的楽に倒せるのだ。勉強になる。


「全員退避!<デスストーカー>がいたわ!」


そう思っていた矢先、スカーレットの声が響く。


その警告と共に一定以上の距離を全員が開ける。


<デスストーカー>は蛇だった。


しかも巨大で猛毒を持っている。


更に厄介なことに、カメレオンのように擬態をしてくる。


「何匹いたの?」


鋭くチーゼルが訊ねる。


「私が確認したのは2匹だけど、この大きさに2匹ってことはないでしょ。」


<ジャイアントビー>の巣を片手に持ちながらスカーレットが言う。


中は煙の魔法で全滅いているらしい。このモンスターの巣からも蜂蜜が摂れるらしく、革袋にしまっていた。


「こいつはやり過ごしましょ。」


少し考えた後、チーゼルが提案した。


「そんなにヤバいのか?」


目の前の蛇を見ながらカルドンが訊ねる。


ワイはもう気絶しそう。


ローゼルもワイの腕にしがみついている。こんな時なのに胸の感触がたまらん!


「<デスストーカー>はその名前の通り、とてもしつこいの。しかも人間を死に至らしめる毒を保有しているわ。残念ながら血清も毒消しもまだないのよ。戦うには厄介この上ない敵ってわけ。」


1対1なら勝てるけど、今回は複数いるみたいだし。と付け加えた。


そうと決まれば話しは早い方がいい。迂回して先に進めばいいだけの話。


「こんな危険な個体をここに放置しておくのもなんだから、後で街に連絡を入れて討伐隊を――」


チーゼルの言葉がそこで止まった。


目の前にトラが現れたからだ。


「<グラスランドタイガー>…」


スカーレットが絶句する。


肉食動物が<笑う木>と共生していたのだ。


「私たちを逃がしてはくれないようね。背中を見せちゃダメよ!背後から襲われるわ!」


チーゼルが注意する。


「地面にも注意して!木が根っこで攻撃してくるから。この距離なら<笑う実>の攻撃は届かないし、<ジャイアントビー>は冷静に対処すれば大したことないわ!」


「つまりは、目の前のトラを倒すのが最優先ということだな?」


スカーレットの警告を聞いてカルドンがまとめた。


そういうことよ!と言いながらチーゼルが<グラスランドタイガー>に向かってパンチを繰り出す。


グラジオラスが<ファイア>を撃とうとすると、スカーレットが止めた。


「トラはチーゼルとダリアとローゼルに任せましょ。私たちは木に住んでいる蛇を倒すわよ。」


スカーレット・アヤメ・グラジオラス・カルドンで目の前にいる<デスストーカー>の相手をすることになった。


ワイはヒゴタイを守る護衛役だ。


蛇が嫌いだからとか、トラが怖いからとかじゃないよ?回復役を守るのは戦いの鉄則だし。


ていっ!ほらね?たまに蜂が飛んでくるから。


それにしても、スカーレットが言うように、<ジャイアントビー>は冷静に対処すれば大したことないようだ。


問題なのは、モンスター同士が連携してくるってところか。


ワイは時折飛んでくる蜂を叩き落としながらそれぞれの戦いを観察した。

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