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【悲報】勇者に転生したワイ魔王の娘に好かれる  作者: shiyushiyu
へなちょこでヘンテコなパーティー

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第一章その1

 異世界転生して、チート俺つえぇーハーレムを期待していたワイは、奇妙なことに、魔王の娘に好かれてしまった。


 ワイは勇者。魔王を倒すのが多分目的のはず。


 なのに、その目標の娘に好かれてしまい、結婚を申し込まれ、断ったら世界を滅ぼすとか言われた。


 とりあえず世界を見て回る(ダリアからすると旅行らしい)という口実で、今すぐの結婚は回避できたわけだが……


 正直言ってヤバい! めちゃくちゃヤバい!


 ワイに結婚する気がないとバレたら、世界は終わっちゃうんでしょ? 世界の命運は勇者のワイにかかってるわけだけど、その命運のかかり方がなんか違うよね?


「なぁなぁタロー! まずはどこを回るんだ?」


 ウキウキしながらダリアがワイに問いかける。


 って聞かれてもなぁー。この世界のこと全く知らんしな。


「世界を一周するなら、一番近いのはすいかシティじゃ。そこに向かうといい」


 すいか? 変な名前だなぁ。まぁいいか。とりあえずすいかシティとやらで可愛い女の子をゲットしてやるぜ!


「じゃあ、ダリア。そのすいかシティまでの道案内をお願いできるかな?」


「それは無理なのだ」


 え? 何で?


「はっはっは。勇者太郎よ。我が娘は魔王城から一歩も外に出たことはない! 正に箱入り娘というわけだ!」


 何が箱入り娘だよ! 過保護にも程があるだろ!


「じゃあ、この世界に来て間もない俺と大した知識の違いはないってことですか?」


 応えは予想できたけど、念のために聞いておいた。


「うむ! 生まれて初めて外に出る! よろしく頼むぞ! 何事も初物とはいいものだろう?」


 うむ! じゃねーよ! 娘をどんな目で見てるんだこのエロ親父は! それにこんな初めてはいらねーよ! 絶対道に迷うじゃん!


「さぁ行くぞタロー」


 ダリアはワイの襟首を引っ張って行くし。力強いな!


「楽しんで来るんだぞ」


 魔王は笑顔でワイ達を見送ってるし。


 ワイはズルズルと引っ張られながら魔王城を後にした。


 典型的な作りとでもいうのか? 魔王城は小高い森に囲まれていた。って言っても薄気味悪いとかじゃないし、ジャングルっぽい感じでもなく、自然豊かって感じがしっくりくる。


 ワイたちは、とりあえず真っすぐ進むことにした。アテにしてなかったけど、やっぱり地図もなければ食べ物も一切ダリアは持ってきていなかった。


 っていうかお互いに手ぶらだしね。


「なぁなぁタロー! あの鳥見てみろよ! うまそうだな?」


 カラフルで奇抜な鳥だ。うまそう? ではないよな。アホっぽい見た目してるし。


「タロー見てみろよ! このキノコ食べれそうだな?」


 ニヤニヤ笑ってるキノコは絶対に食えない!


「タロータロー!」


 今度は何だ?


 ワイはやれやれと思いながらも、ダリアの方へ向く。


 ――!


「何それ?」


 やっと振り絞って出した言葉がそれだった。いわゆる絶句するというやつだ。


 ダリアは何と! めちゃくちゃ巨大な豚に跨っていた。


「そこで見つけたのだ! 勝負を挑んできたから勝ったら背中に乗せてくれたぞ。タローも早く乗るのだ」


 乗れって言われても乗れるわけないじゃん。家の屋根くらいの高さだよ?むしろダリアはどうやって乗ったの?


「タローは甘えんぼだな」


 ピョンと巨大豚から飛び降りたと思ったら、突然ワイをお姫様抱っこしてきた。


「え? ちょ。」


 有無を言わさずたった一度のジャンプで巨大豚の背中に飛び乗った。


 ツルツルしてて不安定だし、乗り心地は最高ではなかった。


「甘えんぼなタローもいいな!」


 どうやらさっきのワイが、甘えてるように見えたらしい。


 謎に頬ずりまでしてきてるが、暑苦しいからやめて欲しい。可愛いから許されるんだぞ? だからワイも、やめて欲しいとか言いながら抵抗しないんだからな?


「すごいなタロー! 外の世界は楽しいな!」


 ワイが自分に言い訳をしている間にも、ダリアはハイテンションだ。


 何かあればタロータロータローって。ワイのバーゲンセールかよ。


 それにしても、裸を見られたからワイと結婚をするって言ってたけど、いいんかな? そんな理由で簡単に結婚を決めて。


 いや、彼女いたことないワイにはあんまり結婚生活とか付き合ったカップルの生活なんて想像つかないけどさ、好きになった同士でも嫌なことや喧嘩があるのに、好きになったわけでもないワイを選ぶのはさすがに危険すぎる気がする。


 ワイも、ダリアのルックスは好みだけど、中身は全く知らないわけだし。どうしても結婚ってのは躊躇しちゃうのが普通だよね。


 それこそ、お友達から始めさせてください。ってこーゆー時に使う言葉なんじゃないの?


「どうしたのだ? タロー。さっきから黙って。ダリアといるのつまらないか?」


 キョトンとした顔で覗かれる。


「いや、つまらないとかじゃなくて。ダリアはどうして俺と結婚したいのかな? って。裸を見られただけならもう少し」


「好きだからなのだ」


 ワイの言葉を遮ってダリアが堂々と言い放つ。


「え? 好き? 出会って間もないのに? 好きになる要素がどこに??」


 今度はワイがキョトンとしてしまった。


「好きなものは好きなのだ! 気が付いたら好きになってたのだ。」


 ない胸を張ってエッヘンと最後に言っていた。


 うーむ。どうやらワイのスキルは女の子を好きにさせてしまうとんでもスキルのようだ。気を付けなければ、世の中の女の子がみんなワイのものになってしまう。グフフ。


 とまぁ、それは置いておいて。ワイのハーレム計画はどうやら簡単にことを成しそうだ。


 問題なのは、ダリアがそれを許すのかどうか。そして、結婚する気がないとワイが言った時に世界を滅ぼされないように何とか懐柔しておく必要があるということか……


 当面は、旅行という名のハーレム女探しで何とか回避できるだろうしね~。


「ところでこの豚はどこへ向かってるの?」


 ふとした疑問をダリアに投げかけてみた。


「さぁ」


 笑顔で言われた。


 さぁ。って! 可愛いけども!


 ここでふと思った。さっきダリアは勝負を挑んできたと言っていた。ということはこの豚喋れるのか?


「なぁなぁ。すいかシティって分かるか?」


 ワイは豚に話しかけてみた。


期待に胸が膨らむが、返答は無かった。


「どうしたのだ? タロー。こいつは話せないぞ。」


 またまたキョトンとした顔で言われた。


 喋れないのかよ! 恥ずかしいわ!


「だってさっき勝負を挑んできたって言ってたじゃん?」


「突然突進して来たから殴ったのだ。そしたらおとなしくなったのだ」


 おとなしくなったのを見て、乗れと言われていると勝手に判断したのか。


 なんと恐ろしい。ダリアには絶対に逆らっちゃダメだ。


 さすがは魔王の娘だな。


「そういえば、ダリアとお父さんって全然似てないよね? お父さんはいかにもって感じに怖いけど、ダリアは普通の人間と変わらない見た目をしてるよね?」


 ふとした疑問を投げかけてみた。


「ダリアは人間の血が混ざってるからな」


 衝撃だ! まさかの魔王と人間のハーフ?


「タローのいた世界では、人間は他の種族と交わらないのか?」


「あぁ。人間は人間としか交わらないな」


 というよりも、魔王なんていないし亜人とかもいないからな。


「変なの。ダリアが聞いた話だと、人間が生存権を獲得するために多種族と交わったと聞いたがな」


「何の話だ?」


「世界の創造の話なのだ。ダリアもよくは知らないけど、この世界では人間が生きるには生き辛かったから、人間が住みやすい世界にするために他の種族と交わったと聞いたことがあるぞ」


 てことは、人間が住みやすい世界になっているということか。地球に似ているのかな?


「お! タロータロー! なんか町みたいのが見えてきたぞ!」


 すげーなこの豚。本当に言う事聞いているよ。


「あそこがすいかシティかな?」


 またまたワイをお姫様抱っこしながら、巨大豚からダリアはピョンと飛び降りた。


「ありがとうなー! また帰りもよろしく頼むのだー!」


 森へ帰る巨大豚の背中に向かってダリアが叫ぶ。


 帰りっていつになることやら。


「さぁタロー! 行くのだ!」


 そう言ってダリアは、笑顔で手を差し伸べてきた。


 普通逆なんじゃないかなぁ?


 ワイは恥ずかしそうにダリアの手を握る。


 うおぉー! 女の子と手を繋ぐなんて初めてだぞ! 恐らくお母さん以来かと!


 心の興奮をダリアに気づかれないように平常心でワイは歩く。


 手汗が凄い。


「なんかいいなこういうの!」


 ダリアがえへへと笑ってくる。か、可愛い!


「何て言うんだ? なんか心臓の辺りが凄くドクドクしてて痛いのだ」


「あぁそれは。嬉しすぎてテンションが上がってるんだよ」


 ダリアが繋いでない方の手で胸の辺りをさすっていた。


「そうか! ダリアはタローと手が繋げて嬉しいのだ!」


 ニパッと笑う。もう何だろ? ダリアっていちいち行動が可愛い!


「と、とりあえずあの町に行ってみようか。」


 やべ、緊張して吃った。


 緊張がバレないようにワイはダリアの手を引いて町に向かった。


 町はとても活気があった。ここがすいかシティなのかは分からないけど。


「てゆーか、俺たちお金とか持ってないからこの町に来ても何も出来ないんじゃね?」


「む。確かに。人間たちは、食べ物などを手に入れるためにお金を使うと聞いたことがあるのだ」


 確かに魔王ともなれば、お金なんかなくても食糧には困らないだろうしな。お金の存在を知らなくても仕方ないか。


 どうしたものかと、悩みながら町を見て回ろうとしたワイ達の背後から、可愛らしい声がかかった。

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