第三十二章その7
勇者達が迷宮に入ったことに、レッドアイが真っ先に気が付いた。
既にジントニックとソルティドッグがやられたことも知った。
ソルティドッグの力は<儀式>の力。
儀式を行うことで色んな力を付与できる。強い力を付与するには長時間の儀式が必要になる。
この力で飛行能力を自身に付与していた。
しかし、戦闘能力がほとんどないために、倒されてしまったのだ。
一方のジントニックは<記憶>の力。
工作には使えても戦闘で使える能力ではない。
「マティーニの力を使えればいいけど…」
レッドアイがちらりと牢屋を見ると、まだマティーニは叫んで暴走している。
「無理ね。アタイが出るわ。」
マルガリータがやれやれと歩いて行った。
「迷宮に残るのはマルガリーガとマティーニを入れても6人…全滅の危険があるな…」
ジンフィズが呟く。
ジントニックを倒した異種族達も次々に迷宮に入り込んできた。
「多勢に無勢か…」
その様子を見てまたもやジンフィズが呟いた。
意を決したように言う。
「マティーニを解き放とう。」
「正気なの?」
レッドアイが驚く。ショートカットの髪の毛を振り回しながらジンフィズとマティーニを交互に見ている。
「勇者を取り戻しに異種族が来たと言えば、マティーニが異種族のやつらを倒してくれるだろう。勇者の方は俺も出よう。残りの全員でかかれば何とかなるかもしれん。」
ジンフィズの言葉にレッドアイも意を決した。
「分かった。」
マティーニを牢屋から出して、異種族が勇者を攫いに来たと嘘を言う。
ジンフィズの言った通りマティーニは激怒した。
「ウチのダーリンは誰にも渡さない!」
両目が飛び出ている。
「俺達は勇者の仲間を倒す。マティーニ、君には異種族を頼みたいのだが?」
ジンフィズが言うと返事の代わりにマティーニが走り去って行った。
「やれやれ。これで敵の戦力は減らせるだろう。俺達も急ごう。マルガリータをみすみす殺すことはあるまい。」
ジンフィズ・レッドアイ・モヒート・ウイスキーサワーの4人は先を進んでいるマルガリータを追った。




