第三十二章その4
ティムはワイら全員を乗せてもまだ余裕のある大きさにまで育っていた。
<みかん町>を南に進むと、平野があり、草原があり、川が東西に流れている。
「あの川が<レモンバーム河川>。アタイらが住んでいる<異種族の世界>とかつて人族が住んでいた世界を分けてた川だよ。」
チラコンチネが説明してくれた。
そこまで幅が広いようには見えないけど、泳いで渡ることはできないだろうな。
川を越えると森や平野が広がって、その先に小さな町がある。町には長い橋がかけてある。橋を東の方に見ると大きな火山がある。
「あの火山って活動してるの?」
「今でも活動していると聞いています。」
懐でタイニーが教えてくれた。てことは、たまに噴火とかもするのかな?
町の先は広い荒野になっている。その先は大きな川がまた流れている。
「これが<マジョラム湾>。東の方に湾に囲まれた山が連なってるのが見えるでしょ?あの山に囲まれた場所が<神の村>さ。」
山を指さしながらチラコンチネが言う。
湾を越えたティムは進路を東に取った。
「凄いなティム!飛行機みたいだ!」
素直な感想を伝えるとダリアが訊ねてきた。
「ひこーき?ひこーきって何だ?」
「そうか。ダリア達は知らないのか。この世界には飛行機がないから見たことないのも当然か。何だろ?空を飛ぶ機械でな、すっげー早いんだよ。1なら変形できるんじゃないか?」
そうだ!と思って後ろを振る返ると、無表情のまま否定された。
「不可能。機械は飛べない。生物学上飛べるのは」
「あー。いいよいいよ。長くなりそうだし。そっかー。飛べないのか。」
1を遮る。辞書のような長い説明を聞いてもしょうがないしね。
「アタイも流石に機械が飛ぶのは信じられないなー。飛ぶのは鳥とか虫とか軽いものだろ?ドラゴンが飛んでるのもびっくりなんだから。」
コンコンとティムを叩きながらチラコンチネが言う。
チラコンチネは重さで考えるのか。昔の人間もきっとそんなことを考えていたんだろうな。
「すごいなータローがいた世界はー。ダリアも見てみたいのだ。空飛ぶ機械を!」
「お、いつかこっちの世界にも遊びにおいでよ。来れるのか分からんけど。」
気楽に言ってふと気がついた。
そういえば元の世界に戻れるのかな?とゆーかワイって元の世界では死んだよね?
ってことは、元の世界に戻ったら死ぬのかな?
「勇者様が前にいた世界ですか?行き方があるならぜひお供したいです。」
「んな方法あるわけないじゃん。」
パラナの夢を元も子もなくなるような言い方で、チラコンチネが否定した。
まぁ確かにないだろうね。
ワイもこの世界の生き方の方がいいし。勉強も仕事もしないでいいんだから楽だよね。
そんなことを考えていたら、ティムが下降し始めた。
どうやら<神の村>に着いたようだ。




