第三十一章その3
ダリアの目から涙が零れ落ちた。
さっきまで怒りに満ちていたダリアの感情が一気に冷める。
「誰がやったのだ?」
「嘘でしょ…勇者なの?手も足も切られてる…目ももう見えないんじゃないの?」
チラコンチネが絶句する。
後ろでは、ワチワヌイが吐き気を催していた。
「ひどすぎます…ここまでするなんて、どれ程恨みがあったのですか?」
「恨み?何言ってるの?ダーリンへの愛情よ!はっ!あんたらには分からないでしょ?ウチとダーリンの問題なんだから邪魔しないでよ!」
パラナの言葉にマティーニが噛みつく。
「あの…勇者はマティーニの薬物によって精神障害も起こしていると思う…私らが言うのも変だけど、今の私らには戦えるだけの力がない。勇者は返すから私らのことを今は見逃して欲しい。」
ジントニックが申し訳なさそうに言う。
「いや、アタイらはどうせあんたらを倒すつもりだから今戦ってもいいんだけど?」
チラコンチネが言うと、タイニーがそれを否定した。
「今戦えば勇者様にも被害が及びますわ。ここは痛み分けということで提案を受け入れるべきですわ。
むぅ。と言いながらもチラコンチネはこれ以上何も言わなかった。
「はっ!ふざけるな!ダーリンは誰にも渡さない!」
ジンフィズの拘束を振りほどいて、マティーニが太郎の元へ走る。
「!」
瞬間、マティーニは後ろに吹き飛ばされた。
「ふざけるなはこっちのセリフなのだ!タローをここまでにしたのはお前なのだろ?タローのことが好きなら、自分のことばかり考えるんじゃなくて、もっとタローのことを考えてやれ!ダリアはタローを傷つけるような愛情表現は絶対に認めないのだ!」
肩で息をしながらダリアがマティーニに説教をするが、マティーニはもう目を回している。
「すまない…我々はここで退かせていただく。こんなこをしておいて何だが、勇者が生きられて精神が戻ったなら、もう我々に逆らうようなことはしないで安静で安泰な生活を送るがいい。」
最後にジンフィズがそう言い残して、<神の軍勢>は還って行った。




