第三十章その7
「おのれ…魔王の娘め…」
ジンフィズは片腕が折れていた。
ジンバックもカシスウーロンもさっきの振動が、マティーニの暴走ではなくダリアのものだと即座に気づいた。
「感謝するよ。君のおかげでマティーニの暴走に気が付けた。ジンフィズ。マティーニを止めて勇者に呪いをかけてくれ。あわよくば勇者を殺して。ここは僕とカシスウーロンが引き受けた。」
全てを理解したカシスウーロンも頷く。
「何を言っている?君たちでは勝ち目はないぞ。特にカシスウーロン。君は戦闘要員ではない。」
ジンフィズが断ろうとするのをカシスウーロンが遮った。
「俺達は<神の軍勢>。全てはゼウス様のために。だろ?」
どん。とジンフィズを後ろに退かせて、ダリアと対峙した。
「タローはどこなのだ?」
ダリアが睨む。
それだけで2人の足がすくむ。
「今ジンフィズが殺しに行ったよ。」
ジンバックがにやりと笑った。
「させないのだぁー!」
ダリアが咆哮と共に渾身のパンチを繰り出す。
『あぁ、この一撃で僕もカシスウーロンも死ぬだろうな…ジンフィズ、後は任せたよ。」
ジンバックの想像通り、ジンバックとカシスウーロンはダリアの一撃でやられた。
「ダリア!」
チラコンチネが制止を呼びかけても、ダリアは聞く耳を持たず、ジンフィズを追いかけて行った。
「私達も行きましょう。」
パラナがそう言って、ダリアを追いかける。
ダリアが覚醒しなければ全員ジンフィズにやられていた。
誰もそのことを口にしなかったが、痛感していた。




