第三十章その6
「マティーニ?」
ジンバックが声をかけると、部屋の中から奇声が聞こえた。
同時に勇者の叫び声も。
「だめだ。マティーニのやつ。完璧に暴走している。」
ジンバックが首を振る。
「レッドアイを呼んでくる。」
カシスウーロンがレッドアイを呼んで来て、部屋を開けると見るに堪えない有様だった。
勇者の両目は潰され、両手足は切り落とされ、それでいて止血されていた。
殺さない程度に生かされていた。
「何?ウチとダーリンの邪魔をしないで!」
「あのねマティーニ。勇者を呪うか殺すかしないといけないんだ。」
ジンバックが辛抱強く説明する。
「は?ダメに決まってるでしょ?ダーリンはウチのもの!呪うなんて絶対にさせないし、殺すとか論外!そんなことしたら、そいつをウチが確実に殺す!」
マティーニが両目を大きく見開いて唾をまき散らしながら言う。
「さぁダーリン。傷の手当をしましょうねー♡」
驚いたことに、マティーニの手当は適切で出血は止まり、点滴によって栄養もしっかりと補給していた。
「ダメだ。やっぱり暴走してるし、言うことも聞いてくれない。もちろん呪いの人形を攻撃させてもいない。」
ジンバックが後ろを振り返りなが言う。
口元を抑えている。
カシスウーロンとレッドアイがため息をつきながら、部屋を出ていった。
「とりあえず部屋のドアはこのままにジンフィズを呼び戻そう。せめてマティーニには服を着て欲しかったな…僕しばらくご飯食べれないよ…」
レッドアイがジンフィズの場所に通じる道を作り、そこをジンバックとカシスウーロンが進む。
2人の誤算は、実力者のジンフィズが苦戦していたことだった。




