第三十章その2
――ここは?
右手も左手も動かない。
それどころか、両手両足も動かない。
辺りを見渡しても暗闇だ。
「イヒヒ。気が付いたかい?ダーリン。」
驚く程近くで声がした。
多分耳元で喋られたんだろう。
何も見えないから確証はないけど。
「<飲酒>に2人きりの空間を作らせたんだ。ウチらの愛の巣だよ。」
無理やりキスされる。
両手足が縛られているから抵抗もできない。
「んー!んー!んー!」
「ほらほらダーリン♡こぼさず飲んで?ウチの唾液美味しいよ?」
おえぇ!やめてくれ。ワイには唾を飲む趣味はない。
「はぁぁー。ダーリンのいい匂い。」
なんかこいつワイの足の匂いでない?キモいなほんと。
それにしてもこいつ、ワイと2人でいる時は甘ったるい声を出すから余計にキモい。
ん?なんだこの匂い。ツンとした鼻につく匂い。
「イヒヒ。ダーリン♡ウチのパンツ。いい匂いでしょ?食べていいんだよ?ねぇ。食べてよ。ウチのことも食べる?ウチもダーリンのこと食べるからダーリンもウチのこと食べてね?」
何言ってんのこいつ。
ほんとにヤバいよ。
「いってぇー!」
腕を噛みやがった。
「痛いの?おかしいなぁ。愛があれば痛みはなくなるはずなのに。ダーリンにはこれからウチをしっかりと愛して貰うからね?いいよね?」
そう言うと、目の前が急に明るくなった。
どうやら目隠しをされていたようだ。
ここは…洞窟?まだ洞窟内なのか。灯かりは松明のみ?すげー薄暗い部屋だ。両手足はやっぱり縄で縛られてるのか。
「ダーリン!ウチをちゃんと見て!」
怒られてマティーニを見る。
なんだこいつ。本当にヤバいやつじゃん。
ワイの目の前にいるのは、まだ幼い少女だと思うけど、裸だし顔どころか体中ツギハギだらけ。
手にはグレーのパンツ持ってるけど、あれさっき嗅がされたんか?最悪だ。
そう思っていたら、パンツを口に突っ込もうとしてきやがる。
本気でやめて。そんなことされたら吐く。
「欲しそうに見てるからあげるね?」
無理やりパンツを口の中に入れたマティーニの手には、ノコギリとハンマーがあった。
あぁ。ワイはこれから拷問されるのか…
「愛がなんなのか分かるまで、ずーっと一緒だからね?」
イヒヒとマティーニが笑った。




