第二十七章その3
前方の敵はそこまで多くなかった。
無理やりに突破するのも楽だった。
特にダリアとチラコンチネが前方の敵全てを壁に叩きつけてくれているので、ドール人形が起き上がる前に、すり抜けることができた。
「どんくらい追ってきてるんだい?」
ドール人形を吹っ飛ばしながらチラコンチネが訊いてくるが、数えたくもない。
「10や20ではきかないかと…」
タイニーがおおよその数を応える。
「どこかで数を減らさないとじり貧になりそうですね。」
背後に炎の魔法を撃ちこみながらパラナが言う。
洞窟が崩れる恐れがあるので、あまり強い魔法は撃てない。
威力が弱い分、人形の減る数もたかが知れている。
前からの人形が途切れた。
人形の群れを抜けたのだ。
「どうする?突っ走る?それとも応戦する?」
軽く振り返りながらチラコンチネが訊く。
「パラナ、1頼めるか?」
ワイが言うと、2人は無言で頷いた。
「タロー?」
ダリアがまさかという顔をした。
ここで全員が足を止めたら敵の思う壺な気がする。
ドール人形たちは明らかに足止めに来ていたわけだし。
「平気です。数を減らしたらすぐに追いますから。」
パラナが後方に振り返りながら、暴風の魔法を唱えてドール人形を吹き飛ばす。
「解析。敵総数50。」
1が敵の数を正確に解析してくれたらしい。
「ティム。2人を乗せて追ってきてくれ。」
ワイがそう言うと、ティムはぐるると鳴いて1とパラナと共に後ろのドール人形と相対した。
「長耳と機械の心配はいらないよ。あぁ見えてもあいつら強いから。」
チラコンチネが隣のダリアに言う。
「それよりも、アタイらも油断できないよ。」
目の前に先ほどよりも多い数のドール人形がいた。
今度は突っ切る前に捕まりそうだ。
「やつらの狙いは勇者とダリアのはず。ここはアタイとずんぐりむっくりで何とかするからあんたらは先に行きな!」
「私も残りましょう。」
ワチワヌイがそう言って、チラコンチネとヘリックスと共にその場に残った。
「私も戦います。」
タイニーがそう言うのをチラコンチネが拒否した。
「あんたは無理でしょ。意志がない人形相手に幻術なんて効かないよ。勇者とダリアを頼んだよ。」
チラコンチネとヘリックスとワチワヌイが、前方から来るドール人形を壁際に押し込み、その間にワイとダリアとタイニーが走り抜けた。
「長耳と機械!聞こえるかい!こっちに合流してまとめて倒すよ!」
後ろからチラコンチネの声が追いかけてくるが、パラナと1の返事は聞こえなかった。
少し進むと開けた場所に出た。
そこには、つぎはぎ女とダンディーおじさんがいた。




