第二十六章その5
目まぐるしい展開だった。
突如開けた部屋に出たと思ったら、クマのぬいぐるみに襲われ、つぎはぎだらけの女が現れたと思ったら今度はドール人形も襲ってきた。
そして次はダンディーなおっさんが現れた。
「どれ、俺も戦いに参加しようではないか。」
そう言って攻撃しようとしてきたところを、つぎはぎ女が止めた。
「邪魔しないで<豪雪>。」
「邪魔とは失礼な。俺はただ、君を手伝ってやろうとしているだけなのに。」
「誰も手伝って何て頼んでない。」
「それではなにか?俺は勝手に出しゃばってきただけだとでも?」
…?なんか分からんが、勝手に言い争っているぞ。
つぎはぎ女の意識が、ダンディーおっさんに向いたからか、クマもドールも動きが止まった。
今の内だ。
ワイはみんなに合図してそっとこの場を後にした。
念のため、パラナが幻影の魔法をかけたが、時間が経つと消えてしまうらしい。
魔法を使えないワイには原理はよくわからん。
それにしても…
「強すぎたのだ。」
ある程度距離を置いてからダリアが言う。
そう。前回戦ったやつと違ってかなり強かった。
しかもあれは本体ではなく本体が操っているぬいぐるみやドールの強さ。
「本体はもっと強いってことかな?」
「おそらくはそうでしょう。操っているものより弱ければ、反乱を起こされかねませんから。」
チラコンチネの問にパラナが応える。
うげー。とチラコンチネがげんなりした顔をする。
「とりあえずこの洞窟から脱出しましょう。魔法の効果が弱まる何かをかけられています。」
タイニーが言う。
そうなの?魔法を使えないワイにはさっぱりだ。
「出来れば勇者の力を使って戦いたいな。」
そんなこと言われても、簡単に感情をコントロールなんてできない。
何とかボールの漫画みたいに、冷静に怒ればスーパーなんとか人になれるわけでもないし。
「でも、勇者様の力が自由に使えるかどうかで、私達の勝率はかなり変わると思います。」
ワチワヌイに言われるが無理なものは無理。
「まぁ、努力してみるよ。」
そうは言ったが、急に怒れとか無理だと思うな…
洞窟は3つの別れ道になっていた。
どれを選んだものか…
というか、行き先が何となく分かってしまうのが嫌だ。
それぞれに看板が立っていて、日本人形の絵、クマのぬいぐるみの絵、ドール人形の絵が描いてある。
「行き着く先にこれがいるってことだろうねぇ。」
チラコンチネが軽く舌打ちをする。
「クマは勘弁なのだ。あれを倒すのは難しい。」
珍しい。ダリアでも倒せないと諦めることがあるのか。
「ドールは、上手に対応すれば何とかなるかもしれません。」
パラナの言葉を聞いて、ドールの道を選ぶことにした。
この選択が吉と出るか凶と出るか…




