第二十六章その4
おかしいだろこの洞窟!
不気味な人形があったのもそうだけど…
「チラコンチネ!」
ダリアが叫ぶ。
「分かってるよ!」
声に反応してチラコンチネが横っ飛びに飛ぶ。
間一髪。
さっきまでチラコンチネがいた場所に、茶色い毛むくじゃらの物が地面に突き刺さる。
闘技場を思わせる開けた場所で、この見た目だけは可愛いクマのぬいぐるみとワイ達は戦っていた。
部屋に入った瞬間にぬいぐるみは襲ってきたのだ。
おかしいだろ!
ぬいぐるみが襲うか?
「イヒヒ。ウチのバイオレンス君強いでしょ?」
ボサボサ髪に顔も腕も服を来ていない部分に縫ったような後がある、明らかにヤバそうな女が言う。
<神の軍勢>なんだろうけど、反応している暇はない。
このクマ、でかくて早くて破壊力抜群なんだ。
「イヒヒ。みんなバラバラになっちゃえばいいんだよ。」
あの笑い声、ワイがさっき頭が割れそうになった笑い声はあいつの声か!
「なぁに?どうしたのソシオ君。ん?君もみんなと一緒に遊びたいの?いいよ。行ってきな。」
手に持つドール人形と話してやがる。
ドールがこちらを向いてケタケタと笑い出した。
「よそ見をしていいのか?」
クマが喋った。
思ったより低くて渋い声だ。
「タロー!」
思いっきり殴られた。
パラナの魔法が無ければ死んでいたかもしれん。
ワイの体の外側に、薄い壁みたいのを作ってくれていた。
でもそれももう割れたな。
もう一度かけてもらおうとパラナを見ると、ドールに捕まっていた。
ドールは腕だけを伸ばして、パラナに巻き付いていた。
「砲撃。」
1がドール本体にレーザー砲を放つ。
激しい音がして煙が上がる。
まともに当たれば無事では済まないだろう。
「はぁ!」
クマにはヘリックスが向かう。
見た目通り肉弾戦が得意なようだ。
ん?いや、やっぱりドワーフ族だ。
技術力ではピカイチの噂通り、ヘリックスは体内に兵器を隠し持っているようだ。
パンチをしながら腕から細い機関銃みたいのを出して撃っている。
しかし、効いていなかった。
絶対におかしいだろあのクマ!
ヘリックスの腕が機関銃だったら、クマの腕は芝刈り機みたいな回転する刃が出ていた。
「命を粗末にするな。」
そう言いながら物凄いスピードでパンチを繰り出している。
受け間違えると、回転刃でやられる。
ダリアとチラコンチネも回り込んで戦おうとしているが、3人相手でもクマは余裕そうだ。
ケタケタという音がしてドールを見るとドールも無事だったようだ。
1のレーザー砲を、パラナを捕まえていない方の手をかざしただけで防いだようだ。
どうやら特殊なもので作られているようだ。
ドールにはワチワヌイと1とティムが連携して戦うようだ。
ワイは今のうちにパラナを助けるとしよう。
「勇者様。」
パラナの元へ向かおうとしたワイに、懐からタイニーが呼びかける。
「なんだ、もう戦闘は始まっていたのか。」
パラナの隣に敵の増援が現れた。
「…<豪雪>。邪魔しないで。」
つぎはぎ女が物凄く嫌そうな顔をした。




