第二十四章その3
魔王城――
ゼウスはブッドレアに会いに行った。
「何の用だ?」
ブッドレアがゼウスに問う。
ゼウスは微笑している。
「今日は取引に来ました。」
「取引だと?ワシがお主との取引に応じると思うのか?」
大斧を手にブッドレアが威嚇する。
「まぁそう言わずに聞いてくださいな。カリモーチョのことは謝ります。それを踏まえた上で取引に来ました。私達<神の軍勢>はこれより勇者サイドと本格的に対立することになりました。」
「そんなことは分かっておる。」
「私達は<呪いの力>を使えます。」
斧で切りつけようとしたブッドレアの手が止まった。
「そこで俺の出番ってわけだ。」
<謙虚>のカシスウーロンがゼウスの後ろからブッドレアに声をかける。
「俺たち<神の軍勢>は魔王の娘に呪いをかけないことを約束する。その代わりに魔王は俺たち<神の軍勢>と勇者との戦いに参戦しないことを約束してほしい。」
「ワシを殺したいのではないのか?」
ブッドレアが言う通り、神たちは魔王ブッドレアを倒すことこそが最上の目的だったはず。
ふふと笑いながらゼウスが答える。
「本当ならそうしたかったのですが、残念ながら勇者が私達の敵となってしまった以上それは叶わないでしょう。それよりも私達は勇者との戦闘に目を向けなければいけなくなりました。」
「そこにワシが優勝の味方になられたら勝ち目がないわけか。」
「もちろんあなたには私達のこの取引を応じる必要はないのですが」
「<呪いの力>か。」
ゼウスの言葉を遮ってブッドレアが言う。
言い終わって鼻をフンと鳴らした。
「娘の命を助ける根拠は?」
「俺の力は<契約>。俺の力で娘を呪わないことを約束するから、そちらには勇者の味方にならないことを約束してほしい。」
カシスウーロンが頭を下げる。
言い方とは裏腹に非常に謙虚な態度だ。
その姿を見たブッドレアは息を吐いてから、よかろうと言った。
ここに、勇者の知らないところで魔族と神の同盟が成立した。




