第二十三章その6
ダリア・1・ミシシッピ対オペレーター――
ダリアの背後からのパンチをギリギリでオペレーターは避ける。
しかしオペレーターの身体能力は、スクリュードライバーのそれと比べるとやや劣る。
隣ではスクリュードライバーが神に逆らう軍勢にやや苦戦している。
『あいつの力があればやられることはないとは思うが…』
隣の戦場を心配しつつ目の前の敵に集中する。
『厄介なのは、魔王の娘と機械族の砲撃…エルフは我が知らない魔法を使う可能性があるな…』
つまり3人とも厄介ということになる。
「援護射撃:起動。」
1の銃口が機関銃のような形に変化した。
「援護開始。」
瞬間的に無数の弾が発射された。
先ほどよりも威力は低いが、援護だからそれでいいようだ。
無感情に機械族の1が攻撃をするのを隣でミシシッピが感心したように見とれていた。
はっと我に返って、2つの魔法を同時に唱えてダリアにかける。
ダリアの脚力を上げる魔法と、ダリアのスピードそのものを上げる魔法だ。
脚力を上げる魔法でもスピードは上がるが、重要なのはキック力も上がる点。
その分、脚に頼ったスピードしか上がらない。
つまり、腕を使った回避などには適用されない。
それを補うのがスピードそのものを上げる魔法。
『魔法は一長一短。それを深く知る私達エルフ族は、やはり至上の種族だな。』
にやりと笑いながらミシシッピが魔法をかける。
さらに、オペレーターの身体能力を下げる魔法も唱え始める。
『これがかかればダリア様の攻撃で終わるな。』
じっとオペレーターから目を離さずに、魔法を唱え始める。
一方のダリアは、ミシシッピの魔法で体が軽くなったのを感じた。
更に1の追撃でオペレーターにスキが生じる。
それでもギリギリでダリアの攻撃をかわしている。
「1!ダリアの後に追撃して欲しいのだ。」
ダリアが言う。
1の攻撃は今までダリアが攻撃する前にオペレーターを攻撃して、ダリアにとどめを刺させるような形を取っていた。
しかしダリアが指示したのは、ダリアの攻撃を避けたオペレーターにとどめを刺して欲しいというものだった。
「追撃態勢:起動。」
1が再び変形した。
銃口が3つに変化する。3つ全てが先ほどのレーザー砲のようだ。
同時にミシシッピの魔法がオペレーターにかかる。
「くっ!」
オペレーターは、重くなった体を無理やり動かして力で地面の石を増やした。
しかし石を増やしてもダリアの攻撃も1の砲撃も防げない。
そもそもがオペレーターの力は戦闘向きではない。
いや、いまの<神の軍勢>に戦闘向きの力を持っている者はほとんどいない。
人族に対しては強気に出れても、その実、戦える力はほとんど残ってはいないのだった。
悔しそうに、しかしどこか安らかにオペレーターが笑う。
ここに<闘争>のカシスオレンジがいればなと心のどこかで思った。
しかしカシスオレンジは、かつて魔族との戦いで破れている。
いつも能力の相性が良かったからか、いつもペアで行動していた。
『あぁカシスオレンジ。我も貴様の元へとようやく逝けそうだ。』
増やした石を投げつけるも、魔王の娘であるダリアには無意味なことだった。
ダリアは投げつけられた石を簡単に避けてオペレーターに蹴りを喰らわせる。
その反動を利用してダリアが退避。
そこを1の三連レーザー砲が襲う。
最後に最愛のカシスオレンジの顔を思い浮かべて、<妄語>のオペレーターは死亡した。
残るは<真理>のキティのみ。




