第二十三章その5
チラコンチネ・トラガス・ワチワヌイ対スクリュードライバー――
ワチワヌイが得意の集団戦法を急増した仲間に話す。
「私が真ん中に居るから、ずんぐりむっくりは右気まぐれは左を走って来て。私よりやや後ろから追いかけてくることで、敵の反撃を避けるようにして。」
「んなことやってたらさぁー。あいつの<伸縮>の力で距離をどんどん伸ばされちゃうんじゃないの?」
ワチワヌイの左側でチラコンチネが口を尖らせる。
「そこはずんぐりむっくりが何とかしてくれるでしょう?」
右側をチラリと見ながらワチワヌイが言うと、トラガスはむ。と言いながらも頷いた。
手には、1に作ってもらった銃の他に、何やら火炎放射器のような物を肩に担いでいる。
それを見てチラコンチネが、ひゅーと長い口笛を吹いた。
「んじゃ、いきましょーか。」
軽く屈伸した後チラコンチネが駆け出した。
「待って!先頭は私!」
ワチワヌイがこれだから気まぐれは!と悪態をつきながら追いかける。
のそのそとトラガスはその後を追いかけた。
チラコンチネの身体能力は異様に高い。
しかし、その身体能力をもってしてもスクリュードライバーの反応の方が上だった。
『チィ。神を名乗るだけあって、反応が早い。』
チラコンチネが小さく舌打ちをする。
スクリュードライバーの力で、チラコンチネとスクリュードライバーの距離がどんどん離されていく。
『あの力は、攻撃には転用できない…?ただ距離を伸ばすだけなら<神の軍勢>を名乗れるかしら?』
スクリュードライバーの行動を怪しむワチワヌイがはっとした。
「気まぐれ!避けろ!」
ワチワヌイの叫びに間一髪、敵の行動をチラコンチネは避けた。
距離を伸ばしていたのはフェイク。
その実、攻撃の本質は他のところにあった。
スクリュードライバーは、懐に隠していた小刀の刃先を伸ばして攻撃してきたのだ。
物凄いスピードでチラコンチネに迫る鋭利な刃は、ギリギリで躱したチラコンチネの頬を傷つけた。
「ほぅ?よく俺様の攻撃を避けたな。犬人族には観察眼に優れた者がいるようだな。」
スクリュードライバーが小刀の長さを戻しながら感心して言う。
「あっぶなぁ~。」
チラコンチネが額にかいた冷や汗を拭う。
あと数秒反応が遅ければ串刺しになっていただろう。
「なかなか厄介な力のようね。」
チラコンチネの隣で立ち止まって、ワチワヌイも言う。
「ちょっと油断しただけだし。タネが分かればもう食わらない。」
強気にチラコンチネが言い返す。
「そのくらいにしておケ。」
後ろからトラガスが2人を咎めた。
オペレーターのナイフを叩き落とした銃を構えている。
『あれなら確かに避けれないかもしれないわね…』
銃を見てチラコンチネが悔しそうに唇を噛む。
手柄を横取りされたくないという気持ちがあるからだ。
しかし今は戦闘中。
そこはわきまえていた。
「その機械の攻撃スピードはもう見切った。俺様に当たることはない。」
自信満々にスクリュードライバーが言う。
事実、何発か撃ったその光線は1発も当たらなかった。
タラリと、トラガスのこめかみに汗が一滴垂れる。
「アタイがスキを作るから、そのおもちゃでとどめを刺しな!」
銃をおもちゃ呼ばわりしてチラコンチネが走り出す。
後を追うようにワチワヌイも走る。
注意すべきことは、敵の刃物系統を伸ばした突き刺し攻撃。
つまり――
「一直線上にいなければ当たらない!」
そうワチワヌイが言いながら、小刀を伸ばした攻撃を避ける。
「にゃるほど。」
にやりと笑いながら、舌をぺろりとだしてチラコンチネも回避方法を真似る。
「俺様の力は確かに真っすぐにしか伸ばすことはできない。しかしそのスピードはある程度変化させることができる!」
そう言って小刀をさっきよりも更に早く伸ばした。
「無駄ダ。」
しかし、トラガスの火炎放射器によって小刀の刃は全て溶け落ちた。
今度はスクリュードライバーが冷や汗を流した。
一瞬で溶かすほどの高温。
それを仲間に当てない命中率。
しかも炎によって視界が遮られてしまった。
危険を察知したスクリュードライバーが次に取った行動は、非常に合理的だった。
しかし、トラガスは非情にもそれを読んでいた。
「無駄ダと言ったダロ。」
トラガスはスクリュードライバーの力を正確に把握していた。
いや、見切ったと言うべきだろう。
スクリュードライバーの力は<伸縮>。
物を伸び縮みさせる力だ。
その力を使って今、炎によって遮られた視界という大きなディスアドバンテージを覆そうとしたのだ。
その方法が、地面を伸ばして敵との距離を取ること。
スクリュードライバーは何でも際限なく伸縮させられるわけではない。
第一に伸縮させたい物に触れる必要がある。
地面を伸縮させて敵との距離を取りたいならば、地面に触れる必要がある。
足は靴を履いているため直接触れていない。
直接触れるために片手をつこうとした矢先だった。
トラガスが手榴弾を投げた。
地面が吹き飛ばされ、スクリュードライバーは、伸ばすよりも前に避けなければならなくなった。
「もらった!」
そこをチラコンチネが叩く。
一撃入ればあとは袋叩きにして終わりだった。
「人族ガ大陸を支配した時ニ、我ラドワーフ族ハ技術力が必要だト悟った。その力がこれダ。」
トラガスが最後に再び手榴弾でとどめをさした。
3人の<神の軍勢>の1人は、倒された。
残るは2人。




