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【悲報】勇者に転生したワイ魔王の娘に好かれる  作者: shiyushiyu
森の中の日常

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第二章その3

ガサガサという音で目が覚めた。


グラジオラスが点けた火が消え、当たりは暗闇が包み込んでいた。


気配でワイ以外の誰かも起きていることが分かった。


「ぬかった。ここが外だと忘れていた。」


声からしてカルドンだろう。ひそひそ声だから確証はないけど、話し方からしてもそうだろう。


「カルドンさんですか?」


「そういう君は太郎か。」


ほらね?ぬかった。なんて言うのカルドンくらいだもん。


「野生の動物ですかね?」


「分からん。もしかしたらモンスターかもしれん。見張りを立てず寝入ってしまったのは失敗だったな。」


暗闇の中で、動物かモンスターが動く音だけが響く。


女性陣は起きているのだろうか?


「マスター!灯かりをつけますか?」


グラジオラスだ。ダリアとローゼルも起きたらしい。


「何の音なのだ?」


「真っ暗で何も見えねぇぞ。」


少しパニくってるが、問題ないだろう。


それよりも音の正体だ。


音はこちらへ近づこうとしているというわけではないように感じる。


「地面を這いずってる感じだな。」


カルドンが冷静に分析する。


その後、あの訳分からん詠唱の後にグラジオラスが木に火を点けた。


灯かりが辺りを照らす。


地面に灯かりを向けると、昼間にダリアが捕獲した蛇がそこにはいた。


「ダリアが非常食として確保した蛇なのだ!」


ダリアが飛びついた。ワイとローゼルは固まってしまっている。


「蛇を非常食にか。なかなか考えたものだな。」


カルドンはなんか感心してるし。


「た、食べれるんですか?」


びくびくしながらグラジオラスが訊ねる。食べれないよ?食べれても食べないよ?


「毒さえなければ問題なく食べれるだろう。」


えぇー?食べるの?カルドン強いな!


「美味しそうなのだ!せっかくだから今から食べるか?」


食わねーよ!捨てなさい!


「だが、生では食べれないだろう。」


カルドンが真面目に応えてるけど、問題はそこじゃないからね?


「そんな気持ち悪いのさっさと捨ててよ!」


よく言ったローゼル!


「むぅ。ローゼルは蛇が嫌いなのか?」


「当たり前でしょ!みんなが食べても絶対ウチは食べないからね!」


ダリアに言われて悔しそうにローゼルが言っている。負けたとか思ってるのかな?


「俺も蛇はちょっと。」


ここでワイも便乗!


「タローも蛇が苦手なのか?タローが食べないならダリアも食べないのだ!」


ぽいっと蛇を放り投げる。


捨ててどうする!倒さないといつこっちに来るか分からないじゃないか!


「それにしても危なかったな。今のがモンスターだったら全滅してたな。」


何事もなかったかのようにカルドンが言う。


「確かに、見張りを張らないでみんなで寝たのはまずかったですね。」


蛇がまた現れないか、周りをキョロキョロしながらワイが答える。


「そうだな。それなら太郎が適任だろう。」


あくびをしながらカルドンが言う。


え?ちょっと待って。


「よろしくお願いします。勇者様。」


おじぎをしてからグラジオラスも眠る体勢に。


頼んだぞ!タローと寝ころびながらダリアは言ってくるし、ウチを蛇から守ってねとローゼルも言って毛布を被った。


「交代の時間とかあるのかな?」


ボソリと呟いたワイの言葉は、見事に無視された。


いいよ?ボッチなめんなよ?


高校でこそ、同士に出会えたけど中学は基本ボッチだったからな!クラスのみんなに空気扱いされるのにも慣れてるし!


長い夜を1人で耐え忍ぶため、ワイはとりあえずグラジオラスがさっき点けてくれた火が消えないように、近くに落ちてる落ち葉や木の枝を広い集めた。


ワイにはサバイバルの知識なんてないけど、石とかレンガで囲いを作ればかまどみたいのが出来上がることは、何となく知っている。


火があれば、野生の動物は怖がって襲って来なくなるって言うし火は消したらダメだ!ワイの生命線だ。


そこら辺から大小様々な石を集めては、不格好に火を囲む。


燃える燃料が減ってきたら落ち葉や木の枝を入れて火が消えないように気を付けた。


更には太くて長めの木の枝に時間をかけて火を移し、松明のようなものも作った。


「よし!」


の掛け声と共にワイはちょっと森の中を探索してみた。もちろんみんなが見える範囲で。


食べ物とかは分からないけど、燃やす材料はいくらあっても問題ないだろう。


どうだ?ボッチ経験者のワイにとって、1人は日常茶飯事。みんなが寝てる間に暇を持て余すことはしないのだ。


そういえば、昼間にローゼルが何かの肉を捌いていたな。あれを焼いてみよう。


革袋から、捌かれた肉を取り出し、木の枝に刺して地面に木の枝を突き刺してじりじりと焼く。


せっかくだからお茶も飲もう!


これまたローゼルがその辺の香草で茶葉を作ってたはずだ。


石で五徳を作って水を入れたやかんを乗せて火にかける。


カップに茶葉を入れてお湯が沸くのを待つだけだ。


この異世界に来てからまだ日も浅いのに、色んなことがあった。


そういえば、前世ではこんなに色々と忙しくしたことはなかったな。


毎日似たようなことの繰り返しだったし、あれはあれで充実してたんだけど、今の方がなんかいいな。


ふと空を見上げると満天の星空だった。


「おー。」


思わず声がこぼれる。


「いい匂いがするのだ!」


肉の焼けた香りでダリアが起きた。ダリアの声で他のメンバーも起きてきた。


やれやれ。久しぶりに前世みたいにゆっくりできると思ったのになぁ。


「みんなの分も焼くか?」


肉を木の枝に刺しながらワイが聞く。


グラジオラスはみんなのお茶を準備していた。


慌ただしくてもワイは、こっちの世界の方が好きかもしれないな。

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