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#91 ルミーナvsガルガ

 私たちは飛行用ユニットでもある『スクランダー』を装着して、ドラゴ・ファミリスが盛大な宴を開いている会場の上空に居た。


 誰かが見上げればその姿が見えてしまうほどの低空だけど、そこはリーリィに隠蔽の魔法をかけてもらっているので見つかる心配はなし。


 なので、会場の様子をじっくり観察させてもらってる。


「あそこで誰が強いかを決めるために戦うんだよね。」


「そうみたいだね、ラズリ。

 でも、まだ本当に強い奴は出てないみたいね。」


 今のところは腕自慢の手下同士の力比べみたいなことが行われているようだが、酒の勢いもあってそれなりに盛り上がっているようだ。


 そうしているうちに場も温まってきたのか、ただならぬ気配を纏った者を連れている幹部らしく男たちが大親分であるオランドに挨拶を始めた。


 どうやら、幹部たち自慢の武芸者たちのお披露目が始まったようだ。


「へぇー、結構強そうな奴が出てきたよ。

 アイツらがメンテナが言ってた強い奴らかぁ。」


「そうらしい、他の奴と、雰囲気が、違う、魔法使いも、かなりのも。」


「あーあ、オイラも暴れたかったなぁ。でも今回は雑魚相手の裏方なんだよな。」


「お姉ちゃんたちガンバってね、私とアオちゃんも邪魔されないようにがんばるっ!」


 あきらかに手下のチンピラたちと違う、只ならぬ雰囲気を纏った4人が出てきた。


 徒手空拳で大岩を砕き、地竜を屠ったという拳闘士「ガルガ」、剣を介して魔法を放つ魔法剣を操る女剣士「マヌエラ」、暗黒系魔法を得意とする闇魔導士「リシャール」、武装絡繰りを自在に操る魔導操術師「ギルネジール」。


 今回の宴の目玉ともいうべき強者(つわもの)たちだ。


「そろそろ私たちの出番かなぁ。」


 後で聞いたんだけど、この時私は、彼らの登場を見て笑みを浮かべていたらしい。


 件の4人は大親分への挨拶を済ませて闘技場に向かうと、その姿を見て大親分オランドが立ち上がる。


「今回のゲストはかなり期待できそうだな。

 この俺を唸らせる実力を示せれば、俺直属の配下として贅沢三昧させてやろう!

 さあ、全力で俺を楽しませてみろ!!」


 大親分の檄を受けて、4人の実力を示すための戦いが始まるようだ。


「みんなぁ、そろそろ良い頃合いみたいだから、乱入かますよぉー!!」


「「「「おおーーっ!!」」」」


 一斉に急降下すると、地面近くでスクランダー収納、闘技場中央に着地すると同時に隠蔽魔法を解除する。


 着地の勢いで派手に巻き上がる粉塵に騒めく会場。


 砂煙が晴れて私たちの姿があらわになると、私はビシッと大親分の指さして叫ぶ。


「貴方のところの誰かさんが私にチョッカイ出してきたから文句を言いに来ました。

 こういうのはホント―に迷惑なんで、もう来ないでください!!」


 突然現れた小娘が、親分に対して暴言を吐く・・・、呆然としていた手下たちも状況が分かって騒ぎ出す。


 宴会場に怒号が飛び交い、怒りの目が私たちに集中していく。


「わーははははっ、お前、生意気な小娘どもだな。

 いいぜ! そういうのは嫌いじゃねぇ!!

 どうやら、部下のどいつかがお前らに目を付けてチョッカイ出したんだろうが、

 こういう面白れぇ返しをしてきたヤツぁ、初めてだぜ。」


「そうそう、そのチョッカイが鬱陶しいからやめて欲しんだけど。」


 私の話を聞いて、顎を掻きながらワザとらしく悩んだふりをする親分さん。


「そうは言ってもなぁ、ここまでされてよぉ、ハイそうですか、って言うわけにもいかねぇなぁ。」


 こういう反応を期待していた私は、思惑がはまったことを内心喜んだ。


「じゃあ、どうすれば良いのかなぁ。

 憂さ晴らしにここで大暴れしちゃえば良いのかしら。」


 相手に合わせて、私もノリノリで答える。


 想定している流れを予めみんなに聞いてもらっていたが、それでも私の悪ノリを呆れ顔で見ている。


「そいつも悪くないが、そーだなぁ・・・

 よし! 今ここに今回の目玉の武芸者が居る。

 そいつらとお前らが戦え! 

 俺が満足する戦いを見せてくれりゃぁ、お前らの言うとおりにしてやろう。」


 私は、心でガッツポーズをとった。


「わかったわ。

 私たちがそいつらをぶっ飛ばしたあかつきには約束、守ってもらうからね。」


「「「「うん!!」」」」


 振り向いた私にみんなも納得の声を上げる。


「ふざけやがって!!」「舐めんじゃないよぉ!」「ぶっ殺してやる!」「・・・・」


 わあー、私の勝手な言い分を聞いて、向こうの有名人さんたちが昂ぶってらっしゃる。


 というわけで、親分さんの仕切りで相手の武芸者と私たちの1対1の対戦が行われる運びとなったのだった。


--------------------------------


 最初の対決は、ルミーナと拳闘士のガルガだ。


「がんばれぇー、ルーお姉ちゃん!!」


 人外と言われる素早い動きと岩を砕く豪拳を誇るガルガの攻撃を鮮やかに躱すルミーナとその周囲を舞うシフティ。


「あいつ、かなり早いね。さすがに騒がれるだけの実力はあるみたい。」


「そおかぁー。アタイにはそれほどには見えないぞ。

 浮島のウーリアの方が全然早いじゃん。」


 ケッタンにまたがり私たちの周囲をふわふわ漂いながら、フィーリアが身もふたもないことを言う。


「史上最高レベルの自動人形(オートマタ)と比べるのは可哀想なのです。

 あれでも人族としては上級クラスなのですよ。」


「ねえ、なんかルー姉ちゃん、おされてるみたいだよ。」


 ラズリが言ったようにジリジリと追い込まれるルミーナ、遂に闘技場の隅に追い詰められる。


「お嬢ちゃんもなかなかやるようだが、相手が悪かったな。

 まあ、俺を馬鹿にした報いだ、いっぺん死んどけやぁ!!」


 勝利を確信して会心の一撃を打ち込むガルガ。


 その瞬間を待っていたかのように、笑みを浮かべたルミーナの姿が消えるようにシフティと入れ替わり、ガルガの背後に現れた。


「今度はこっちから行っくよぉ!」


 ガルガの動きにもまったく見劣りしない素早い双剣の連撃でガルガを翻弄していくルミーナ。


「ちいぃ、本当はボスの御前で披露するつもりだったんだけどなぁ。

 しゃあねぇ、俺の秘奥義を披露してやるか。」


 そういって今まで以上の真剣な表情で全身に力を込め始める。


 構わず攻撃を続けるルミーナだったが、ここで状況が変化する。


 ガルガの、全周囲に向け目にも止まらぬ高速で繰り出される闘気を込めた拳撃がある種の結界と化した。


 すると、ルミーナの全ての攻撃が通らなくなり、逆に一方的にダメージを受けることになった。


「むうぅ、これじゃ普通に攻撃しても全然ダメージが通らないよぉ。

 じゃあ、こっちも新技出しちゃおっかな。」


 ここでルミーナは奥の手を出す決意を固める。


「んじゃ行くよ、シフティーズ(たち)。」


 ルミーナの傍らに控えるシフティ、そこへさらなるシフティが次々と出現する


「行くよ、シフティーズ!」の掛け声で、8機のシフティがガルガの周囲を囲む。


「けっ、そんなちっこいのがどんだけ増えたって、俺の勝ちは変わらねぇよ。」


 奥義を出したままのガルガの周囲を飛ぶ8機のシフティの間をルミーナが高速で転移して攻撃を加えると、すぐさま転移して攻撃する、そのままこれを繰り返しながらさらに速度を増していくルミーナ。


 その様子は、結界の周囲に8人のルミーナの分身が現れ、激しい攻撃を一斉に加えているようだ。


 タイムロスのない瞬間移動、それを複数のドローンでやるとは、ルミーナってばいつの間に。


 全周囲ガードのガルガに対して、ルミーナは全周囲から攻撃を繰り出す形となった。


「なぁにぃ?! 俺と同等の速度で攻撃だと?!

 いや、こいつ、俺より早くなっていきやがる!!」


 能力やスタミナが勝るルミーナは、ついにガルガを圧倒しガルガを場外へ吹き飛ばした。


「ぐはっああーーーっ!!!」


 審判役の幹部が苦々しい表情でルミーナの勝利を告げた。


「ハバネ、やったよ! 私の勝利っ!!」


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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