(SS) 今も昔もハバネはハバネ
ある日、私は懐かしい夢を見た。
それは私が転生する前、普通に女子高生していた頃の文化祭の夢を。
クラスのみんなに乗せられて決まったクラスの出し物「ドローン鬼ごっこ」
それは挑戦者を募り、逃げる挑戦者をドローンで追いかけて、カメラで顔認証すれば私の勝ち、時間内に見事逃げ切れば挑戦者の勝ちというゲーム。
ちなみに行動範囲は学校内限定で、顔を隠したり、絶対に見えなくするような故意に顔を隠す行為は失格となる。
ゲーム中の状況は実況付きで各所の告知用モニターを使って校内放送。
そして今のところ、出し物は好評で順調。
だがここにきて、学校一の問題児がこのゲームに挑戦してきやがった。
そう、こいつは男子の問題児として有名な生徒だ。
こんなでも一応運動部のエースでそれなりに正義感も強く、まあまあ女子に人気も高い。
だが、その常識はずれな行動力と、予測不能で腕白坊主な問題行動も多く、とにかく先生たちの悩みのタネである。
ちなみに女子の問題児と言われているのはなぜだか私だったりする、解せん。
これまで挑戦者同様、クラスメイトの合図でゲームはスタート。
学校内を逃げ始めるが、やはりこいつは頭がおかしい。
普通なら一般生徒や来客が立ち入れないであろう場所に躊躇なく平気な顔で駆け込んでいく。
調理室、女子生徒の更衣室、出し物のお化け屋敷に、バンド演奏中のステージにと、相手の迷惑なんかお構いなしだ。
馬鹿が真っ先に飛び込んだのは模擬喫茶店を開いているクラスが使っている調理実習室。
「ちょっとごめんよぉ。」
「うわー! 料理がぁーー?!」
「できてる料理を守れ―! 食材も一時退避!」
「またお前かぁ?! この脳筋バカ男ぉ!!」
スポーツ方面で全国的な活躍で知られた有名人でありながら、校内きっての問題児でついた渾名が”脳筋バカ男”。
そして、今私が追いかけている挑戦者でもある。
そして後を追う私も、一切の躊躇も迷いもなくドローンと共に部屋へ駆け抜けていく。
「今度はお前かぁ?! あんたも毎回毎回、いい加減にしなさぁい!!」
なぜか私も何かあるたびにバカ男と同じような反応をされるんだけど、ホントに解せぬ。
続いてバカ男が飛び込んだのは、メイド喫茶を開くクラスの休憩室兼更衣室。
「はいはーい、俺が通りますよぉ、ちょっとごめんよぉ!」
「「「きゃぁぁぁーーーーっ!!」」」
「とっとと出てけぇ!この変態バカ男!!」
「ああーーっ、ドローンカメラでこの部屋中継されてるっ?!」
「ちょっとぉ、あんたも同罪だからねぇ! このドローン娘ぉ!!」
どうやら、私も十分過ぎるほどの迷惑行動らしく、みんなの怨嗟の声が浴びせられる。
まあ、リアルで際どいエロJK映像垂れ流してれば、しょうがないかなぁ。
自分としてはターゲットを追いかけ回していただけなんだけど・・・、それにノリに任せてはしゃぐのも楽しいしね。
もう、学校中大騒ぎで、みんな校内放送を流すモニターに釘付けになっていた。
「実行委員長っ! 例の最重要問題児2人がやはり問題を起こしました。現在状況拡大中です!」
「全くあいつらは毎回毎回・・・、運動部連にも応援を頼んで全力で奴らを確保しろ! いそげぇ!!」
騒ぎを知った文化祭実行委員や教師たちが慌てて私たちを取り押さえようと押しかけてきたので、こりゃマズいと私も逃げまわる。
逃げるターゲットを追うドローン、そのドローンを操作しながら逃げ回る私、それを追いかける実行委員一同、そして教師。
学校内は更に大騒ぎとなっていったのだが、その一部始終は放送部のカメラがしっかり捉えていた。
結局、私と脳筋バカ男は執行委員長の立てた包囲網により追い詰められて捕まってしまった。
文化祭の終盤、捕まった私たちがたっぷりとお説教を食らっていたとき、文化祭の方では実行委員による臨時イベントとして私たちの大騒ぎの記録映像が上映され、それがこの日一番の盛り上がりを見せていたらしい。
転生後のこの世界で今回、私たちが襲われた騒ぎへの対応策を考えながら、今日見た夢のことを思い出し、なんとなく既視感を感じたのはこの世界を楽しんでいるからなんだろうか?
今回はちょっと短めですが、読んでいただきありがとうございます。
これからも応援してもらえるとありがたいです。




