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#78 庭園は誰のもの?

「ハバネ様、他にも我が主の遺産がございます。

 これらの所有権もハバネ様方のものとなります。」


 私たちが落ち着くのを待っていたかのように、メンテナが私たちに告げる。


「主様がお創りになられた魔道具が、状態保存を施した宝物庫に収められております。

 そちらをご覧になるのでしたら、ご案内させていただきます。」


 どうやら、大賢者様の遺産とやらは『英知の宝珠』だけではないようだ。


「賢者の残した魔道具なのですか?! 大変なのです!大発見なのです! さあ、早く見に行くのです! さあさあ。」


 ああ、やっぱりだ。 魔道具オタクのミリアが暴走するのは、既定路線ですか、そうですよね。


 興奮したミリアに、半ば引きずられるようにしてメンテナの案内する宝物庫へ連行される私。


 宝物庫は中に入っただけで、そこに満ちる尋常でない魔力を感じられた。


 部屋も、そこにある全ての物もまるで出来たばかりの新品のような輝きを放っている。


「はぁーぁ、遺産とかよりもこの部屋自体が過ぎすぎる!

 賢者様、たった一人でどこまでの高みに至ってしまったんだろうか?」


 目の前の光景に息を呑む私。


「でも・・・、どれほど凄いものを残しても、それを託せる人が誰もいなかったなんて、寂しいよね。」


「ん・・・。」


 孤児である二人には、何か思うところがあるようだ。


「はぁはぁはぁ、早く、早く私に魔道具を見せろなのですぅ!!」


 興奮して目を血走らせ涎を垂れ流すミリアの姿は、絶対他人に見せてはいけないものだ。


「はいはい、それじゃ遠慮なく色々見せてもらいますかね。

 でも、注意して扱うようにね。無茶して壊したりしにように!

 特にミリアとフィーリアはね!」


 と釘を刺してみたりしたんだけど、部屋な中に視線が釘付けの二人は聴いちゃいなかったぁ?!


「それじゃあ、ひとまず好きに見て回ろっか、んじゃ解散!」


 そんな感じで各々興味を惹かれた魔道具に吸い寄せられていった。


 なお魔道具の説明には、メンテナの配下らしい自動人形たち(背中の羽がないメンテナタイプ)が招集されて道具の解説役になっている。


 私も大手のドローンショップに行って最新パーツを物色していたときのようなワクワク感を感じていたりする。


 ほぼ携帯電話と言えるような遠隔通信の魔道具や、カメラのように映像を記録する道具、屋内のような短距離を転移するエレベータのようなものまである。


 そこはまさに前世の記憶がある私にはまるでホームセンターのように感じる空間だった。


 まあ使い方や開発意図を見る限り、どれもこの世界の魔法の延長にあるものばかりであり、この賢者様が私と同じ転生者ではないことだけは分かったけどね。


 それぞれが賢者様の魔道具を堪能してきたみんなは、メンテナが用意してくれた食事を頂きながら魔道具をどうするか話し合ってみた。


 ここにある魔道具は、どれも世間に発表すれば大きな騒動が起こるだろうこと間違いなし!ということで皆の意見は一致した。


 ということで、特に必要なことが起きない限り、ここの魔道具は持ち出さないことに決めた。


 ただ、ミリアだけは最後までゴネていたけど、そうしなければならない理由もちゃんと分かっているので最終的に無理矢理納得してもらった。


 それにさ、ここにある全ての魔道具の作り方は全部アオの中の宝珠に入ってるんだから、必要になったとき自分たちで作ることも不可能じゃないんだよね。


 だから、賢者様の思い出の品として大事の残しておくっていうのもありなんじゃないかって思う。


 そんなこんなで賢者の庭園を堪能した私たちは、そろそろ地上に戻ろうということになった。


 なったんだけど、ここでメンテナがとびきりの爆弾を投げ込んできた。


「皆様には、この庭園の所有権が我らが主より譲渡されました。

 今後、皆様はこの庭園をご自由にお使いいただけます。

 もちろんここを管理しているゴーレム、自動人形も皆様のご命令に従います。」


「ちょ、ちょっと?! 待ってよ、ここが私たちのものぉっ???」


「はい、我らが主より『宝珠を受け継ぐものにすべてを託すように』と申し付かっておりますので。」


「ハバネ、ハバネ、もしかしてここが私たちの拠点になるの。

 すっごいじゃん! ここが拠点ならもう王様か魔王だよね。」


 わお、ルミーナはもうその気だよ。うん、こういうの好きそうだもんなぁ。


「この浮島自体が強力な魔道具なのです。それが私たちのものだなんて、これは夢なのですかぁ?!」


「ハバネお姉ちゃん、今日からここがお家になるの?」


 突然のことでびっくりしたけど、ここを拠点にして世界を見て回るのも悪くないかも。


「私たちは、いつでも、ここに、来られる。

 なら、もう、逃げる、必要ない?

 変な奴ら、来ても、ここに戻ればいい。」


 そうだった、私たちは厄介ごとを避けてクロスロードを離れたんだったっけ。


 でもリーリィの言う通り、誰も手が出せない拠点が手に入ったのなら、こそこそして回る必要もないかもね。


「あ、でも私たちみたいに自力でここへ辿り着ける者が出てくるかも。」


 そんな私のつぶやきにメンテナが答える。


「その心配はありません。ハバネ様方がここへたどり着けた時点で試練モードは終了しました。

 現状は完全防衛モードに移行しておりますので、何人たりともここへ辿り着くことは許しません。」


 はあ、あの雲竜は試練モードだったんだ。


 うーん、モード変えなくても辿り着ける気がしないなぁ。


「ま、いっか。望んでた以上の拠点が手に入ったんだし、素直に喜んでいいよね。」 


「いいんじゃね、アタイたちは自力でここにたどり着いたんだし、それを認められてここを貰ったんだろ。

 大きな顔してここをネグラにすればいいじゃん!」


 フィーリアが言う通り、みんなの力で手に入れたんだよね、うん喜んでもらっちゃおっか。


「ご快諾いただけて、大変うれしく思います。

 これより私たち(しもべ)一同、誠心誠意皆様にお仕えさせていただきます。

 なにとぞ、よろしくお願いいたします。」


「それじゃあ、そういうことで。

 これからよろしくね。」


「ところで、ここへの出入りのために、かつての主様が開発した転移の魔法がございます。

 今後のために、その魔法を利用させることをお勧めいたします。」


「メンテナ、それなら大丈夫だよ。

 自前で転移する方法持ってるから。」


「流石でございます、ハバネ様。

 差し出がましいことを申して、申し訳ありませんでした。」 


 興味本位で挑戦した浮島へのチャレンジだったけど、思いも寄らない結果になっちゃったなぁ。


 まあ、とんでもない宝がたんまり手に入ったわけだし。丸儲けと言って良い成果だよね。


 それに、もうコソコソしなくても良くなりそうだしね。


「よし、そうと決まったらもう少しの庭園のこと調べますか。

 自分たちのものになったんだから、何ができるかとか知っとかないとね!」

 

読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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