#73 魔法龍の攻略法
次々に繰り出される風の刃に、鋭く尖った氷塊の連弾、すべてを磨り潰すかのように絡み合い荒れ狂う竜巻が私たちに襲いかかる。
敵の弱点を探るリーリィを守りながら、それらの攻撃に抗う。
この緊迫した状況の中でも、必死に魔力の流れを探るリーリィ。
私もサテラで周囲を探っているんだけど、雲龍が生み出したと思われる小さな雲がいくつも浮かんでいるし、雲龍の魔力を帯びた霧も周囲に漂っていて、コアと思われる魔力を探れない状態。
それでもリーリィを信じて雲龍と相対していく。
シフティを駆使して超速の接近戦で雲龍の注意を引き付けるルミーナ。
ケッタンを駆り、雲龍の風魔法に風魔法をぶつけて対抗するフィーリア。
仲間の誰かに当たりそうな氷塊だけを的確にレーザーで打ち抜くミリア。
二本の小太刀を構えアオの触手とタッグを組み、リーリィに向かう攻撃を防ぐラズリ。
そして、リーリィが雲龍の頭上にある小さな雲を指さして叫んだ。
「あれっ! ミリア、あの雲を撃って!」
リーリィが雲龍の上空に漂う小さな雲を指差し、ミリアへ狙撃を指示する。
たしかに、その雲から妙な魔力の反応を感じる。
「あの雲ですね、分かったのです!」
ミリアのペネトレーは、ミリアの眼がターゲットととして捉えたものを確実に撃ち抜ける。
ペネトレーから放たれた幾筋の光跡が、リーリィが指し示した雲を貫き刹那に、雲から何かが2つ飛び出していった。
「むう、仕留められなかった。
ハバネ、アレが、雲龍のコア。
青いのが水魔法の宝玉、白いのが風魔法の宝玉、たぶん。」
雲から飛び出したのは、淡く魔力の光を放つ透き通った2つの水晶玉っぽい球体だった。
急いで追撃をかけるミリアのレーザー攻撃をすばしっこい動きで交わす2つの球体は、雲龍に向かっていったかと思うとその両手に収まった。
「ああ~、アレって龍の宝玉だったのか・・・」
ボソリと呟いた私の声は誰の耳にも届いてはいない。
しかし、東洋の龍みたいなのがこっちの世界にいるのだろうか、それとも過去の流れ人からの入れ知恵かな。
などとどうでもいいことを考えていたが、すぐに意識を雲龍に集中させる。
宝玉を手にした瞬間、雲龍の雰囲気が一変する。
「ねえハバネ、リーリィ。
なんかちょっとヤバくない?」
魔法を感じられないルミーナでも、野生の勘が何かを感じ取ったようだ。
「あの宝玉、多分リミッター。一体化して、リミッター外れた、みたい。
みんな、気をつけて!」
「リーリィ、敵がどうなろうと私たちがやることは一緒だよ。」
リーリィの見立ては正しく、目の前の雲龍の魔力密度が急激に上昇して行く。
周囲から集まる風の流れが雲龍の周囲に集まるよに流れて行ったかと思うと、それは集約していきそして生まれる風の瀑流が、まるで羽衣のように龍にまとわりついていった。
さらに、雲丹のように鋭い氷牙を生やしたいくつもの球体が雲龍の周囲に生み出されて行く。
そんな様子をただ黙っては見ていられないと、私たちもすぐに臨戦態勢をとる。
だが、激しく加えられるリーリィの攻撃魔法やミリアのレーザ攻撃はすべて暴風の羽衣に防がれてしまう。
「どこを狙っても全部防がれてしまうのです。これじゃあ急所のコアをねらえないのです!」
接近し攻撃を加えようと迫るルミーナやフィーリアに向かって、漂う氷塊からはその生えた棘が尽きる事なく放たれる氷牙となって襲いかかり、ルミーナたちの接近するのを許さない。
目の前で激しさを増す攻防により皆の攻撃のスキを抜けてくる流れ弾からテクトとセイバーに守られながら、ジッと雲龍を観察する私。
「弱点は2つのコアであることは間違いないんだよなぁ。でも雲龍の懐で守られている限りこちらからの有効な攻撃は通らないし。」
雲龍に、いや魔法で制御されている水と空気をなんとかできないか思考を巡らせる。
雲龍を構成するのは水と空気。
それらを、無効化、または一瞬で消滅させるしかないんだけど、どうやったら・・・
私は必死でその手段を模索する。
「んん、もしかして電気を操れるスタンなら、あの手が使えるかも!」
そして一つのアイデアを思いついた。
「対応手段として有効そうなのは火魔法だと思うんだけど、外部から熱を加えても魔法で対応されて良くても相殺・・・だよねぇ。」
なら、雲龍を構成する水分自体を発熱させれば・・・・
たぶん、身体を実体化させることができなくなり、熱せられて蒸気となった水を自在にコントロールすることも出来なくなるはず!
執拗に両手に握られた宝玉を破壊しようと攻撃をするルミーナたちに、容赦のない水と風の魔法で反撃する雲龍。
「ラズリ、アオ! 今からアイツを倒すための新しいドローンの創造に集中するから、その間テクトやセイバーと一緒に私を守って!」
「うん、分かった。絶対にハバネお姉ちゃんを攻撃させないから!
アオちゃん、がんばろーね。」
アオもやる気を見せているのか、自身の触手を勢いよく振っている。
「じゃあ、任せたからね。」
そして私は、テクトやセイバー、それにアオと一体化したラズリに防御を任せて、新たなドローン創造に意識を集中させていった。
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