#67 さて、次はどこに行こうかな
今、私たちは拠点のリビングで激しい戦いを繰り広げていた。
「だから今度は、山岳地帯のドワーフの里に行くべきだよ。
あそこには、鍛治の民であるドワーフが鍛えたさまざまな凄い武器があるんだから。」
「ん、違う。
今度は、外国との交易、している、海の街へ、行くべき。
あそこには、国外の優れた、魔法書、魔道具が、ある。
是非とも、手に入れねば。」
「ええーーっ! 絶対に高原地帯へ行こうぜぇ。
なんか、美味いもんがたくさんあるらしいぞ。」
「ねえねえ、ハバネお姉ちゃんはドコ行きたいの?
私はねえ、あ姉ちゃんが行くとこならどこでもいいよ。」
「そうですねぇ、確かにどこも訪れる価値はある場所なのです。
とはいえ・・・皆さん、一歩も引く気なさそうなのです。」
そう言うミリアの目の前には、歯軋りしながら睨み合うルミーナ、リーリィ、フィーリアの3人がいる。
ルミーナが推す山岳地域にある街、街の名前は「ラルドアナ」。
「次は絶対、ラルドアナだよ。
あそこの名工ドワーフたちの鍛えた数々の武具は絶対見に行くべきだと思うよ。
それに優れたモノ造りの技術は、絶対ハバネの刺激になると思うんだよね。」
良質な希少金属の産地、それを目当てに集ったドワーフたちが築いた鉱山と鍛治の街なのだそうだ。
地殻の変動で生まれた大きな断層が幾つにも折り重なって形作られた険しい山岳地帯。
この地のそこかしこには、地中の深層地殻が大きく隆起してできた断層が露出している。
つまり、地底の奥深くにあるはずのさまざまな希少資源が露出した絶壁に眠っていることを意味しており、その資源目当てに多くのドワーフが集まってきたのが、鍛治の街「ラルドアナ」なのだ。
恵まれた鉱石を求めて集まった多くのドワーフが身につけた鍛冶の技を競い合うことで、めざましい進化を遂げたラルドアナの武具は天下にその勇名を轟かせていた。
というわけで、優れた戦闘力を持つと言われる武具を欲するルミーナは迷うことなくこの伝承に飛び付いたわけなのであった。
そして、リーリィが希望する港街、その名を「シヌローク」。
「ハバネは、優れた、魔法の資質を、持っている。
でも残念、それを、活用する知識、全然足りていない。
でも、シヌローク、あの街には、どこよりも優れた、知識が集まっている。
ハバネは、絶対、シヌロークに、行くべき。」
海外に開かれた貿易を柱とする港街、さまざまな物資が集まり、その中に海外の優れた魔法の書や魔道具も含まれる。
遠洋航路をを使って様々な国と貿易を行うこの街には、さまざまな物資と共に様々な情報を集まってくる。
そして、そういった珍しい物や情報を求めて集まってくる者といえば、知識を求める学者や研究家たちである。
また、そのような者たちへ金銭的援助を行う貿易長者もまたこの街にはたくさん居た。
このような背景もあり、シヌロークは貿易の街であるとともに学問の町の側面も持っていたりするのである。
そんな話を聞けば、リーリィが行きたがるのも当然と言えば当然だろう。
そうやって二人が己の意見を主張する中、フィーリアが行きたがる高原の村が「モルノール」。
「なあなあ、食いしん坊のハバネだったら、絶対行きたがるのはモルノールって村だろ。
あそこには、すっげえ美味しいものがたくさんあるって聞いたぞ。
そんな村に行けば、間違いなくこれまで食べたこともないような美味い料理をハバネは作るはず。
それに、まだ見つかっていないハバネが探してる食材もきっと見つかると思うぞ!」
広大で肥沃な土地があり、気候も穏やかなこの地方は農業畜産などが盛んである。
穀物や野菜、果物などその種類や収穫量も多く、さらに豊かな穀物生産により養鶏や牛馬羊といった畜産も盛んに行われている。
また水源地でもある大きな湖で取れる水産物も高い評価を得ている。
豊富な食材は料理の技術向上に大きく貢献しており、この地方の美食を求め遠くから人が集まるほどだという。
ルミーナやラズリと一緒に市場や屋台広場を散々食べ歩いていたフィーリアは、そんな話をしっかり耳にしていたようだ。
食いしん坊のフィーリアはまだ見ぬ美味しいモノに興味津々なのであった。
「だからぁ、次に行くのはラルドアナだって!」
「ルミーナ、分かってない。
今、ハバネに、必要なのは、シヌロークの知識!」
「なぁ、モルノール行って、ハバネに美味しいもの作ってもらおうぜ!」
「これでは意見はまとまりそうにないのです。」
「ハバネお姉ちゃん、お姉ちゃんはドコ行きたいの?」
結局、結論に至らなかった3人は、最終的な決断を私に委ねてきた。
そんな私にも実は興味を惹かれている場所があった。
このウエスタリアに周期的に話題に登る「浮島」についてだ。
「浮島」、その名の通り空に浮かぶ島である。
このウエスタリアでは、度々浮島が目撃されたという話が語られていた。
それなりの目撃数があるようで、都市伝説よりはマシな噂と認識されているようだった。
曰く、空に見慣れないものが浮かんでいる。
曰く、一般の人には小さな豆粒のようにしか見えないが、視力強化の魔法や
魔道具を使うことで空に浮かぶ島が見れるようだ。
曰く、ただの岩の塊ではなく植物の緑が確認できるのだという。
曰く、飛行魔法や飛行魔道具、飛行系の獣魔を使っても辿り着けた者はいない。
曰く、特定の航路を周期的に巡っているらしい。
ドローンだけでなく空を飛ぶものには目がない私にとって「浮島」なんて話、素通りするなんてもってのほかだ。
その噂の真偽を是非とも確認して、もし浮島が本当にあるのならそこにいってみたいと真剣に考えている。
頑張って情報収集に励んだ結果、最も新しいと思われる目撃話があったのが高原地方のモノロール周辺だとわかった。
こうなれば私が向かう先は一つしかない、そうフィーリアがイチオシのモノロールが新しい目的地として決定したのであった。
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