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#62 反撃という簡単なお仕事

「うわあーっ、いるいる。 あっちこっちに隠れて奇襲で襲うつもりマンマンみたい。

 まあ、ドローンで周囲が丸見えの私たちに不意打ちってほぼ不可なのにねぇ。」


 襲撃者らしき輩が、魔法阻害、行動阻害、催眠に、麻痺、毒と拉致する気マンマンの魔道具を携えてがあちこちに配置されている。


 それ以外にも遠巻きに包囲するような位置取りの魔法使いたちはデバフ系の魔法を放つ準備をしているし。


 そして、正面からは威嚇と直接の捕縛のため、ガラの悪そうなマッチョな男どもがジリジリと迫ってくる。


 そのほとんどがクロスロードでも絡んできていた不良ハンター共と代わり映えがなかったので、そういうのに慣れていた私たちは特別怯んだりすることもないのだが。


 そうこうしている間にも、私とリーリィが把握した敵の詳細な状況を念話で共有する。


 まずはミリアに初劇を任せるつもりなので、その標的たちの位置はしっかりミリアに伝えてあり、迎え撃つ準備は完了している。


 ラズリとアオには出番はないだろうけど、一応ミリアの護衛と撃ち漏らしの片付けをやってもらう。


 そんな感じの睨み合いの中、敵の大将と思われるゲスレアル社のルーデスが勝ち誇ったような顔で啖呵を切ってきた。


「久しぶりだな、ストレインのミリアメーサ嬢ちゃんよ。

 相変わらず大活躍のご様子だな。」


「そちらこそ、相変わらずやることがゲスくて悪どいようなのです。

 どうせ今回も、碌でもないことをヤラかすつもりで現れたに違いないのです。」


「ふははは、マジで生意気なガキだな。

 だがお前のことだ、今回もしこたまお宝を仕入れてきたんだろ?

 それも、大層な値打ち物を見つけたようだなぁ。」


 そう言いながら、舐める様な視線をねちっこく這わせながら私たち、いや私たちが従えているドローンを見ているようだ。


「とにかく、お宝は全部渡してもらおうか。そうすれば乱暴なことはしないでおいてやる。

 ただ、お前たちはしばらく人目のつかないところで大人しくしていてもらうことになるがな。

 おっと、無駄な抵抗はしないこった。

 こっちにはワケアリの高ランクハンターや魔法使いたちに、高威力の魔道具を山ほど用意してあるからな。

 逆らっても痛い思いをするだけだぞ。あははは。」


 ゲスいアオリ文句をうんざりしながら聞き流す私たち、あっルミーナ、欠伸してる。


 こちらが誰一人、怯えた様子を全く見せないことに、苛立ちを見せるルーデス。


「ええーいっ、もう細かいことはどうでもいい! 

 お前らぁっ! 手はず通りにこいつ等を取り押さえろ!!」


 言うことを聞きそうにない様子に、ついに痺れを切らせて攻撃の号令を出す。


「(ミリア、崖の中腹に魔道具2つ、前方左右の岩陰に魔導師3人、魔力が動き出した。)」


「(リーリィさん、了解なのです。すぐに仕留めるので次の標的をお願いするのです。)」


 リーリィからの念話で最初の脅威となる対象をすでにロックオンしていたミリアが先制攻撃を開始する。


 ルーデスの合図で取り巻きたちが動き出すのと同時に、ミリアのペネトレーが上昇して高度を取るとそのモノアイが数度の閃光を放たれた。


 次の瞬間、ルーデスの後方で複数のうめき声と驚愕の叫び声が上がる。


「うわっ?! 腕が!!」


「ぎゃあぁ、肩に何かがぁ!!!」


「何だぁ!? 急に麻痺の晶杖がっ。」


「毒撃の小弓がいきなり壊れたぁ?!」


 魔法を放とうと魔力を込めていた魔導師は、突然腕や肩を何かに貫かれてその激痛により絶叫と共に崩れ落ちる。


 麻痺や猛毒の魔法を放とうと魔導部に魔力を注いでいた襲撃者たちは、その手の中の魔道具が何かに貫かれて粉砕したことに腰を抜かす。


「お前ら、どうした? 

 何が起きやがった?! 

 はっ?! まさかお前の仕業かっ、ミリア?!」


 一瞬のうちに起こった理解不能な出来事に混乱が広がるその他の襲撃者たち。


「ミリア、後ろに弓使いが2つ。 急いで!」


「捉えたのです。行くのです!」


 リーリィから飛ぶ新たな指示に、ミリアは即座に対応する。


 魔力の乗ったスキルを纏わせ、今まさに矢を放とうとするハンターに一人の肩は撃ち抜かれ、もう一人は今まさに引き絞っていた腕の中の弓が粉砕される。


 遠隔から先制の攻撃を放とうとしていた者たちも、次々と行動不能にされていく。


「どうなってるんだぁ?! 

 なんで隠れてるヤツが分かる?

 いつの間に攻撃してんだよぉ?!」


 状況が理解できずに混乱しまくるルーデス、そのヒステリックな叫びを聞いて更に混乱する襲撃者たち。


 脳筋そうで頭の悪そうなハンターたちは、早々に考えるのをやめて一斉に突っ込んで来た。


「おー、きたきた。 んじゃ、アイツらは私が相手をするかな。

 適当に弱そうなヤツはスルーするから、そいつらはラズリがヤッちゃいな。 

 丁度いい経験値稼ぎになるからね。」


「うん、分かった、ルー姉ちゃん。

 お姉ちゃんも気をつけてね。」


 武器を振りかざして突進してくる荒くれハンターたちを軽くあしらっていくルミーナ。


 まあ、私たちはドローンを使いこなす訓練の過程でかなり経験値稼いでるから、みんな身体レベルの上昇が半端ないんだよなぁ。


 それなりの手練れそうなハンターの攻撃を、それも集団の攻撃を難なく捌いていくルミーナ。


 この調子だとルミーナのドローン、シフティの出番はなさそうだね。


 適当に弱そうなハンターはわざと見逃してるようだけど、そいつらも後ろに控えてるラズリのドローン、ぷちセイバーとぷちテクトにあっさり意識を刈り取られている。


 戦闘力の低い(?)幼女ではあるけど、センスと経験値ではそこいらのハンターにも負けてないからなあ、うちのラズリは。


 そして、攻撃当初からの全ての攻め手をことごとく潰されたルーデスは、目の前の状況の理解を拒否したかのように荒れ狂っているけど。


「うぐぐぐ・・・、そ、そいつがお前の見つけた魔導具、

 い、いや、古代魔導器(アーティファクト)なのかぁ?!」


「そんなものじゃないのですよ。

 というか、あなたはそんな都市伝説を信じてたのですか?!

 確かに遺跡から出土するものの中に優れた魔道具もあるのですが、

 奇跡を起こす魔道具なんてのは、おとぎ話の中だけなのです。」


「なら、そいつは何なのだぁぁぁ!?!」


「あなたには関係ないモノなのです。

 そんなことより、あなたは今後の事を考えたほうが良いと思うのですよ。」


「ぐぬぬぬ・・・、そ、それは・・・。」


 連れてきていた手下の全てが行動不能になりルーデス自身も拘束されてしまい、縄でぐるぐる巻きされて私たちの前に転がされている。


 どうやらウエスタリアの商業ギルドのような組織には懲罰部門があるらしく、そこの衛兵に引き渡すことになるらしい。


 そこで資産を全て没収され、「信用喪失」の烙印を押されるというが、これはウエスタリアにおいて商人には死刑に勝る最大級の刑罰なんだってさ。

読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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