#59 ミリアのドローン
ドラバタドタバタといつもの正常運転で旅を続ける妖精の翅。
そろそろウエスタリア商業小国郡の国境が近づいてきた。
この世界に転生して来て最初の旅もそろそろ終りが見えてきたということかな。
そしてここらでパーティとして一つの決断をしようと思うのだ。
それは保留になっていたミリアのパーティ入りを結局どうするかについてだ。
まあ、すでにみんなの気持ちとして、ミリアのパーティ入りに問題はないと考えているみたいなんだよね。
なんだかんだ言っても、これまでの付き合いでミリアの人柄も好ましいと思えるし、能力的にも十分過ぎるぐらいだしね。
何より、魔法や魔道具、伝承などに関する知識は、私にとってぜひとも欲しい人材だ。
この旅の目的地がミリアの実家ということで、たどり着いてからだと彼女も何かと忙しくなるだろうから、話をつけるならその前が良いだろうというのもこのタイミングで決める理由だったりする。
ということで、みんなとも相談して彼女の真意を最終確認することになった。
「ねえ、ミリア。
ミリアってまだ私たちのパーティの入る気はあるの?」
いつものように野営の支度を整えて、夕食を済ませた後の落ち着いた時間にミリアにこの件の話をする。
「もしかして、実家に帰ったらね、そこでお別れってこともあるのかと思ってさ。
もし、まだその気があるなら、私たちはミリアを正式にパーティメンバーとして迎えようかと思ってるんだけど。」
「ほんとなのです? 本当に私を正式メンバーにしてくれるのですか?!
それなら答えはすでに決まってるのです!
私を仲間にしてくださいなのです。」
微塵の迷いもなく、そう即答するミリア。
「そっか、なら歓迎するわ、ミリア。
でも、そうは言っても実家に戻れば色々やることがあるんじゃない?
しばらくは一緒にいられないよね。」
「そうなのです。 いろいろ報告とか、説明とかしないとなのです。
それにハバネさんたちと一緒に行くのなら、色々引き継ぎとかもしないとなのです。」
うんざりといった様子でため息を付きつつぼやくミリア。
「それじゃさ、私たちとの連絡手段を用意しないとだよね。
てことでミリアに専用のドローンを用意すれば、念話でいつでも連絡できるようになって便利だよね。」
私のその言葉を聞いて、ミリアの感情が爆発した。
「わたしの、私の専用ドローンなのですか?!
やったぁ!やったのです!
ついに私のドローンが来たのです!」
「はいはい、よろこぶのは後にして、まずはどんなドローンが良いか希望を聞かせてちょうだい。」
ルミーナたちのときと同じように、まずはドローンに付加するスキルや魔法を絞り込んでいかないとね。
「まず、念話と異空間収納は基本として、ミリアの望む形の付与を考えないとなんだけど、ミリアはなにか考えていることとかあったりするぅ?」
「パーティの中での私の立ち位置、私にできることをいろいろ考えてみたのです。
前衛での近接戦闘はとても無理なので、索敵か後衛になると思うのです・・・が。」
そう言って難しい顔で考え込むミリア。
「パーティに入ってハンターをすると言っても、できるポジションが・・・ないのです。
前衛に出るほどの近接戦闘なんてできませんし、探査能力も俊敏さもない私には索敵とかも無理なのです。
残るは、弓か魔法での中遠距離攻撃で支援に回るしかないのですが、弓も攻撃魔法も才能ないのです。
これまでの私はソロでしたが、魔道具のゴリ押しでなんとかしてただけなのです。
なので、ドローンによる中遠距離攻撃の手段があれば役に立てると思うのです。」
(うわー・・・)とこれまで築いてきたミリアの惨状を思い浮かべる私たち。
「前衛はルミーナ、探査や索敵は私とリーリィ、防御や遊撃はフィーリアの魔法で、後は私のドローンが全域のフォローと逐次遊撃っていうのが今の形だもんね。
確かに、中遠距離での攻撃担当がいたほうが理想的かも。
うん、それじゃあ、ミリアのドローンはその方向で考えてみるよ。」
そんな感じで作るドローンの方針を決めた私は、それからの数日移動の合間の休憩時間に思いつく限りの付与イメージを試行錯誤していた。
創造可能なイメージにならなければ、創造工程が霧散してしまうので正解を引くまでが大変なんです、ホントに。
まるで独り言をブツブツと呟く危ないヤツにしか見えないであろうを私の姿も、ミリア以外には見慣れた光景なので、ごく自然にスルーされている。
それでもなんとか正解らしきイメージに辿り着き、ミリアのドローンが形になってくる。
それから仕上げと調整を繰り返して、ミリアのドローン”ペネトレー”が完成した。
いつものようにホバーでの移動中、何気ないお喋りに紛れてミリアにそのことを伝えたんだけど、そのまま流しそうになって言葉の意味に気がついたミリアが一気に豹変した。
走行中に車内で暴れるのは危ないからね、ミリア。
テンションMAXなミリアに引き渡しは次の休憩時に言ったんだけど、全然待ちきれそうには見えなかった。
良さそうなポイントを見つけてホバーを止めると、いつものように食事の支度を始める。
心がはやるミリアにどうにかこうにか食事を摂らせると、ミリア待望のお渡しタイムに突入だ。
今か今かと待ちわびるミリアの前に、一機のドローンを呼び出す。
某機動な戦士の敵役ロボの頭部を潰したような本体部分にある目立つモノアイが光る。
そこから伸びるドローンお約束の4つのプロペラを持った標準サイズのドローンだ。
「これがミリアのドローン”ペネトレー”だよ。
みんなのドローンと同じように念話と異空間収納は付与済み。
そして、この子のオリジナル付与はミリアの希望通りに中遠距離攻撃にしたよ。」
「ううーーん、カワイイのです! カッコいいのです! 最高なのです!!
ハバネさん、アリガトウなのです。」
「正式に仲間になったんだから、さんはいらないよ。
それじゃ、かる~く試運転してみようっか。」
「は、はいっ、なのです。」
「ねえねえ、ハバネお姉ちゃん。
ミリアお姉ちゃんのドローンってどんな事ができるのぉ?」
瞳を輝かせて、ペネトレーを凝視するラズリ。
そして、フィーリアも・・・以下同文。
「はいはい、それは見てれば分かるからね。
なかなかに強力なヤツだよ。
でもまあ、ちょっと私、張り切り過ぎたかも。ははは・・・」
そして、ミリアはルミーナとリーリィからドローンの基本動作なんかのレクチャーを受けている。
読んでいただきありがとうございます。
これからも応援してもらえるとありがたいです。




