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#58 無軌道な娘たち

 

 野営装備を片付けて私たちはホバーに乗り込み出発する


「やっぱり味気ない、やっぱ付けよう!」


 適当な場所を見つけて、ホバーを止めて皆を降ろす私。


「ちょっとぉ、どうかしたのハバネ?」


「ちょっとホバーの改良がしたくなってね。

 少しだけドライブは中断ってことで。」


 私の行動を疑問に思ったルミーナの問いかけに、流すように軽く答えた私はボバーをドローン収納で取り込むと近くにあった岩に腰掛けて意識をドローン創造スキルに向ける。


「なになに、いったい何をするのです?」


「いつもの病気、こうなったら、おとなしく見てるしかない。」


「ハバネお姉ちゃんのすることだもん、きっと面白いことだよ。」


 いつものように外野が騒がしいが気にせず作業作業っと。

 

 乗用のホバーといえど、実のところ操縦法はこれまでのドローンと同じだったりする。


 思念で思い通りに動くし、ある程度指示すれば自己判断でも動く。


 なので、ホバーには操縦機構、つまりハンドルは付いていない。


 でも本来、運転席である場所に座っていたら、だんだん自動車のように運転したくなってしまったのだ。


 そう思い始めたら、もう我慢できなくなって、そして現在に至るというわけ。


 と言っても、本格的なアレコレを全部つけられるほど車に詳しくないんで、付けるのはハンドルにアクセルとブレーキ、前進/後進の切り替え、ブースト(超加速)ボタンなど、ドライブゲームの初心者モードについてそうなものを揃えただけという感じかな。


 まあ、自己判断機能も生きているから、なにか起きても自動安全装置的な働きはしてくれるはず。


 そんな感じで改造を進めていき、ドローン創造スキルをフル活用して30分ほどで作業は完了。


 私のやっていることに呆れ顔で生暖かく見守っていたみんなを急かすようにホバーに押し込んで、早速ドライブを再開だ。

 

 ハンドル握ると人格が変わる人がいるというが、まさに今の私がそうかも知れない。


 とにかく楽しいのだ!


 流れる風景が、そして体にかかる遠心力が、私の運転操作で思うままに変幻していく。


 何っ、この爽快感!


 何っ、このワクワク感!!


 たまに逃げ遅れた魔物が撥ねられてふっ飛ばされて、並走しているキャリィに回収されていくがその衝撃すら、ゲームみたいな楽しさを感じていたりする。


 私から漏れる楽しいぞ!オーラを感じ取ったのか、同乗するみんなも目を輝かせていたことにその時の私は全く気づいていなかった。


 思いっきり爆走の快感を堪能した私もその興奮を一段落させ、休憩するためにホバーを停める。


 草むらに足を伸ばして余韻に浸る私に、自分たちにも運転させろとみんなが迫った来たのは当然といえば当然のことだろうね。


 まあ、操作は簡単なんで低速でしばらく運転すればすぐに慣れるだろうと思ったが、一つだけ問題があった。


 フィーリアまで運転したいと言っていることだ。


 さすがに妖精ではサイズ的に無理だと言ったんだが、自分だけ除け者でズルいと言って泣きそうな顔をされてしまうとそのままスルーすることもできなくなってしまう私。

 

 結局、ダッシュボードにフィーリアサイズの運転席を追加するという形で、なんとかOKをもらうことができた。


 当然、ラズリも運転したがった訳だが、流石にフットペダルには足が届かない。


 まあこっちは下駄的な補助装置を取り付けることでかんたんに対応できたけどね。


 ちなみに、アオは特に興味を示さなかったので、アオ用の改装は回避された。


 というわけで、思わぬ改装を強いられたんだけどそれもなんとか終わらせ、交代でホバーの運転を楽しむこととなる。


 まずは安全な場所で、全員に練習運転をしてもらったが、流石というかなんというか、全員がさほど時間を掛けずに運転をマスターしてしまう。


 ゲーム中でなら子供だってF1マシンを運転してしまうんだから、それほどオカシなことでもないか。


 とう言うわけで、交代で運転しながら移動を再開する。


 ただ、人目の多い街道は通らず、さっきの私みたいに樹木の少ない草原のような場所を移動することになったのだが、自由な運転を許可したもんだから私以上に弾けた運転をする始末。


 それも揃いも揃って全員が暴走ヤロウと化してしまうのだが、最初にヤラかした私にそれを咎めることができるわけもないんだよなぁ。


 「オラオラオラァ! 私から逃げられると思うなよぉ。」


 ルミーナの場合は、黎明期のビデオゲームのようにハイスピードでぶっ飛ばしながら魔物を見つけると一目散に突っ込んで行っては跳ね飛ばして、その遺体を片っ端からキャリィで回収していくというハンティング系ドライバーと化していた。


 「ん、今のコーナリング、まだ甘い。 次は、もっとコンパクトに、クリアする。」


 リーリィは、漫画の走り屋主人公でも乗り移ったかのように、速度を殺さない高速コーナリングを極めようとしているようだ。


 「アタイは風だ! 空だろうと地上だろうとアタイは最速で吹き抜ける風だぁ!!」

 

 フィーリアはとにかくもうノリノリでただただぶっ飛ばしまくってた。


 ケッタンに乗ってる時もだが、どうやら生粋のスピード狂だったらしい。


「こんな凄い魔道具は初めてなのです!この性能にこのスタイル・・・、まさに機能美なのです。」


 ミリアは相変わらずの魔道具ラブ全開でホバーを愛でまくる。


 高速でぶっ飛ばしては停車して抱きつき頬を寄せてスリスリ、木々の間を器用に駆け抜けては停車してスリスリ、性能を確かめては感激して・・・を繰り返している。


「きゃー、すっごーい! はっやーい! おもしろーい!」


 ラズリは、とにかく動きまくって回りまくってた。


 真っすぐ走っていたかと思えば、突然の方向転換!


 そんな運転すれば、とにかく滑りまくり、回りまくる。


 ラズリはそれ自体を楽しんでいるようだ、とりあえずどこかにぶつけるようなことはないようだし、楽しそうだから、まあ良っか。


・・・・・・・・・・・


 そんな感じで今日一日、脇道にそれてホバーの運転を思いっきり楽しんでしまった。


 この調子だと、いつ目的地にたどり着けるやら・・・。


 うん、明日は真面目に先へ進むことにしよう、うんそうしよう。



読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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