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#50 わ・し・ょ・く・パ~リィ~♪


 ハンターとしてのミリアは優秀だった。


 商会で扱う商品探しに大陸中を回っていたのも伊達ではないということだろう。


 あれから何回か、ミリアと一緒に魔物狩りに出かけたが技術も知識も申し分なくて、今では依頼を熟すのに不安を感じることは全く無くなってるんだよね。


 魔道具オタクと呼ばれるだけのことはあって、狩りの際には様々な魔道具を駆使し、私たちとの連携も全く危な気なかった。


 ただ、ドローンが活躍するたびに感激して凝視する目は、ちょっと怖さを感じたけど、ははは・・・。


 そうやってミリアが妖精の翅(シルフィーフェザー)に馴染んできたある日、私たちの元にミリアが手配していた和食材が届いた。


 目の前のテーブルに広げられた見慣れた食材に、私はもしかしたら涙ぐんでいたかもしれない。


 その時、私は記憶の中にしかなかった様々な味覚を思い出していた。そしたらもうやることは一つしかないよね。


 ということで、ミリアの歓迎会を兼ねた和食パーティーが開くことが決定し、私はそのための準備に邁進するのであった。


 届いた食材は、米に、大豆、小豆、味噌、醤油、味醂、お酢、鰹節、昆布、酒・・・、その他諸々。

夢に見た食材のオンパレードだ。


 とりあえず、準備に時間をもらった私はみんなに手伝ってもらいながら、記憶を頼りに思いつく料理の数々の準備を進めていった。


 空好きだった祖父、その生涯の連れ合いで料理の達人だったのがお祖母ちゃん。私はそのお祖母ちゃんから料理をはじめ漬物作り、豆腐作り、自家製味噌に自家製醤油、挙げ句にはお酒造りまで、さまざまな昔ながらの知恵をいろいろ仕込まれたんだよなぁ。今思えば感謝しか無い!


 半ば強引に手伝いに割り込んできた女将さんを筆頭に、仲間にも手伝ってもらってパーティー準備は進んでいき、いよいよパーティー当日となった。


 いつもお世話になっているという理由からナタリアさんも招待して、宿の食堂でミリアの歓迎パーティーが開かれた。


 見たこともない料理の数々に目を輝かせるパーティの腹ペコメンバーたち、もはや職人と化した鋭い眼光で料理を吟味する女将さん、商人の目で料理を見極めようとするミリア、異様な空気に気圧されつつも初めて見る料理に期待を膨らませるナタリアさん。


「新しく私たちのパーティメンバーとなったミリア、そのミリアが私の故郷の食材を集めてくれました。

 ということで、私の故郷の料理によるミリアを歓迎会を始めたいと思います。

 口に合うかわかりませんが、私の故郷の料理をお召し上がりください。

 それじゃあ、乾杯ーっ!」


「「「「「かんぱーーい!」」」」」


 味噌汁を一口すすりその味に驚くリーリィ、テリヤキ風の焼き鳥に夢中になるルミーナ、大きなおはぎを抱えて夢中で嚙り付くフィーリア、甘いいなり寿司を頬張り笑顔になるラズリ、味噌を塗った焼きおにぎりを掲げて鬼の形相で唸りながら考え込む女将さん、香ばしい香りにつられてお好み焼きを頬張るナタリアさん。


 アオも触手を伸ばしてあれこれ料理を取り込んでいる。心なしか楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。


 弱めの果実酒を手に、それぞれのスタンスで初めての料理を堪能する仲間たちを眺めてニコニコと笑顔になっている私。


 やっぱ、作った料理をおいしそうに食べてもらえると嬉しくなってくるんだよねぇ。


 うん、やっぱ和食は最高だね。


 そんな中、私が作った数々の和食を前に、腕を組み難しい顔をするミリア。


 ミリアの表情に反して笑顔のみんなを、嬉しそうに眺める私に向かってミリアが口を開く。


「この料理はみんな美味し過ぎるのです。我が商会も流れ人の伝承から食材を集めていますが、伝承から再現した料理はここまで美味しいものではなかったのです。

 流石は本物を知っているハバネさんなのです。」


 真面目な顔で私のなんちゃって和食を絶賛するミリア。が、その後に続く言葉を聞き私は驚いた。


「これらのレシピをぜひとも我が商会に売って欲しいのです。

 売ってくれるなら数年は遊んで暮らせるぐらいの対価を払っても良いのです。」


「ちょ、ちょっと待ってぇ!? この程度の料理にそんな大金貰えないよぉ。

 ミリア、突然どうしちゃったのぉ。」


 私が作った家庭料理に毛が生えたような代物に高額な対価って、いったい何を言ってるんだろうって思ってしまったのだけど、ミリアは超真面目で真剣だったみたい。


「何もおかしな事は無いのです。この料理の数々は宮廷にも出てこないような極上の一品なのです。

 風聞だけで正しいレシピが存在しない流れ人料理の完璧な調理法、それにならいくら金貨を積んでも惜しくないものなのです。」


 ものすごい剣幕で私が作ったなんちゃって和食の凄さを語るミリア、でもあまりにも持ち上げられ過ぎて、なんかお尻がこそばゆい。


「うんうん、わかったわかったから。レシピは教えるし好きにしていいから。

 でも、お金は遠慮します。いくらなんでもこんなもので大金もらったら落ち着いていられないから。」


 断固として対価を拒否する私に、いまだ納得できないという態度のミリア。


「わかったのです。でも商人の端くれとしてタダというわけにはいかないのです。

 何かハバネさんの欲しいものと交換ということにするのはどうなのです?

 今、何か欲しいものとかないのです?」


 大金は回避できたけど、何かお礼をもらわないとこの件は終わらないようだ。


 といっても、今欲しいものって・・・。


「急にそんなこと言われてもねぇ。今あったら良いものかぁ・・・、

 流石にこれは無理だと思うけど、家があったら良いかなとは思ってるよ。

 いつまでも宿暮らしっていうわけにもいかないし、パーティの拠点としてもあった方が良さそうなんだよなぁ。」


 そんな私のつぶやきを聞いて、目を輝かせはじめるミリア。


「ハバネさんは家が欲しいのですね。任せてほしいのです。

 ミリアが飛び切りのパーティハウスを用意させていただくのです。」


 パーティハウスと聞いて盛り上がるのはルミーナとリーリィ。


 二人にとってパーティハウスは、ハンターになると決めた日からの成し遂げたかった目標の一つだったのだ。


 期待するようなまなざしを向けられた時点で、拒否する選択肢は私にはなかった。


「オーケー。これからも私が作る料理で気に入ったのがあれば、ミリアの好きにしていいから。

 その代わり、パーティハウスの件はお願いね。ただあまり豪勢で目立つのは却下だからね。」


「ハバネさんはあまり目立ちたくないということなので、その辺は商会がうまくフォローしますので今後もよろしくお願いしたいのです。

 まだ正式に決まってないですが、今後はミリアが専属の窓口になると思うのでこれからも一緒に行動出せていただくのです。」


 なんか、いつのまにやら結構な後ろ盾ができたかも。それもミリアと同じように商会とやらも信用できればだけどね。


 しばらくしてミリアが見つけてきたこじんまりとした屋敷は、部屋数も中庭も必要十分な広さがあって、なおかつあまり自己主張の強くない外観がこちらの希望にぴったりな物件だった。


 ということで、私とミリーナ、リーリィにラズリ、フィーリアにアオの妖精の翅(シルフィーフェザー)のメンバー、プラス、ミリアが生活する拠点ができたのだった。


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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