表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/102

#48 ミリアがキタッ!


 今、クロスロードのハンターギルドはちょっとした大蜘蛛・・・もとい大ガニ祭りになっていた。


 街に戻った私たちは鋏大蜘蛛(シザースパイダー)狩りの依頼完了報告のため、ギルドを訪れていた。


 いつものようにナタリアさん相手に報告を済ませると、お土産としてあるものと取り出した。


 それは焼きたてホヤホヤの大蜘蛛の足だ。


 あからさまに嫌そうな顔をするナタリアさんに、騙されたと思って食べてみてと笑顔でお願いする私。


 その様子を見ていた周囲のハンターがザワザワと騒ぎ出すが、この流れは私たちの想定通りだったりする。


 否定的な拒絶の声を上げる者、私たちの行動を嘲笑する者、極少数だが興味を惹かれているように見える者もいたが、殆どが嫌悪感か拒絶を示している。


 そんな中、悩みつつも私たちを信用してくれたのか決死の表情で蜘蛛肉に齧りつくナタリアさんだったが、次の瞬間。


「えっ?! ナニこれぇ・・・、美味しい!」


 私たちは”よしっ!”と心のなかでサムズアップし合った。


 驚いた表情のナタリアさんは最初のひと口を咀嚼して飲み込むと、その後はすごい勢いで手に持った蜘蛛肉にかじりついていた。


 そんなナタリアさんを見て、ギルドホールは混乱し大騒ぎとなった。


 騒ぎを聞きつけたギルマスが現れ、近くに居たギルド職員に話を聞くと、ギロリと私を睨みつけて「なんとかしろ!」と言うように顎を軽く持ち上げた。


「はいはい、分かってますよ。 キャリィ、お願い!」


 最初からこうなるように動いていた私は、キャリィを呼び出して飲食スペース大きめのテーブルに、焼き立てで収納していた小ぶりの鋏大蜘蛛(シザースパイダー)を取り出させた。


 突然現れた芳しい湯気の登る大蜘蛛に驚いて距離を取るハンターたち。


「ハバネの言ってることが信じられないヤツは、まず食ってみてから文句を言え!

 いいかぁ!! ハンターなら何でも自分自身で、その目とその身体で確かめやがれ!」


 ギルマスの一喝で静まり返ったホールの中で、好奇心に負けて手を伸ばす勇者(笑)が現れ蜘蛛肉に口をつける。


 ナタリアさんと同じように歓喜の叫び声を上げると、その後は次々とチャレンジャーがその美味に陥落していくのだった。


 その後、鋏大蜘蛛(シザースパイダー)巨大蟹(ギガントクラブ)と新しい名称で登録し直され、大ガニという別種の魔物と改められた。


 そして今、ギガントクラブ狩りの依頼は大人気となり、取り合いの大乱闘が珍しくない状態だったりする、あははは。


-------------------------------------------------------


 相変わらず続いている巨大蟹(ギガントクラブ)狩り依頼書の争奪戦を横目で見ながら、いつものようにナタリアさんのカウンターに歩いていく。


「ああーーっ! ついに見つけたのです! ドローン使い!!」


 突然の叫び声に声の方を見ると、ギルドの入り口のスイングドアをはね開けた少女が立っていた。


 キュロットスカートっぽいショートパンツに機能的なポケットがたくさん付いたベストを着た砂漠の探検家のような出で立ちで、髪をサイドポニーにまとめた丸眼鏡の少女がこちらを指差したまま仁王立ちしている。


「ふふふ、ドローン使いさん、やっと逢えたのです。」


 そう言って大股でずんずん迫ってくる見知らぬ少女。


「はぁはぁ、あ、あなたがドローン使いなのですね。

 そ、そのドローン、ぜひ私に譲って欲しいのですぅ!」


「はぁーーっ??」


 こいつ、いきなり何言い出すんだ?! なんなの、この娘??


「なんということですのぉ?! 他の人達にもドローンがっ!

 小さな子には小さなドローンで、妖精さんやスライムまでドローンに乗ってるのです!?!

 ということはですの・・・、誰でもドローンが扱えるのですか!

 そ、それなら私でも、私にも、ど、ドローンをーーー!


 何なのこの娘、目つきも行動も、何もかもが怪しすぎるぅ!!


「ああ、あれがドローン。見たい、触りたい、欲しーーい!!」


 ドローンに触れようと腕を伸ばしたり飛び上がったりと激しく動き回り必死ですがりつく少女を身を挺して抑え込むルミーナ。


 ラズリをかばいつつ、フィーリアとアオを連れて距離を取るリーリィ。


 そして、私は唐突に出来上がったカオスな状況を呆然と眺めていると、いつのまにか近くに来ていたナタリアさんは話しかけてきた。


「ハバネさん、突然のことで驚いていると思いますが、その人は悪い人ではありません。

 ちょっと変わり者で、魔道具オタクなだけの有名なお嬢様です。」


「はいっ?」


 私はナタリアさんの言ってることがすぐには理解できなかった。


「そこにいる女の子は、西方地域『ウエスタリア商業小国郡』に本店を持つストレイン商会のお嬢さんでミリアメーサさんという方です。

 ミリアメーサさんは魔導具に関する研究では一目置かれるほどの奇才で、魔道具オタクとしても有名なんですよ。」


 その後も色々彼女に関することを聞いたが、まとめると、


 目の前の彼女は、流通や仲買をメインで扱うストレイン商会という大陸でも屈指の豪商の次女で、魔導具バカと陰口を囁かれるほど有名な魔導具オタク。

 魔法や魔導具に関する知識以外にも様々な方面の豊富な知識と優れた観察眼を持っていることから、目利きの確かさを期待されて商会が扱う新たな商材開拓を任されており、趣味と実益を兼ねてアチコチ飛び回っているらしい。


 どこかで私のドローンの噂を聞きつけ興味を持った彼女は、そのやたらに高い好奇心と行動力でクロスロードに飛んできたのだそうだ。


 突然現れた不審者の正体を聞いた私は、改めて本人のほうを見ると・・・


 極度の興奮状態でのルミーナとの激しい攻防の末、力尽き伸びてしまっているミリアメーサの姿がそこにあった。


 かなり癖の強い娘ではあるが、悪い子ではないというナタリアさんの言葉を信じ、私たちはギルドの一室に彼女を寝かしつけ、詳しい話を聞くために彼女が気が付くのを待つことにした。


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ