#45 森の中のラズリ
ラズリを連れてギルドで受けた討伐依頼を熟すため森に入るいつものメンバー。
馴染みのない森にも特に怯える様子もなく、街の中を歩くときと変わりない様子でついて来るラズリ。
まだ幼いラズリをハンター仕事につれてくることには若干の危機感を持っていたんだけど・・・
「♪~、♫~」
ごきげんな様子で森を進むラズリ。
「ねえ、ラズリ。
森の中に入るの怖くないの?
凶暴な野生動物や魔物が出るかもしれないんだよ?」
あまりにも平常運転なラズリが気になって聞いててみた。
「うん。全然平気だよ、ハバネお姉ちゃん。
里にいるときも、森に入って遊んだり、薬草や果物とか採ってたんだよ。
私たち魔族・・・?は、森から糧を得て生きているんだから、子供の頃から森に慣れなきゃいけないんだって、長老さまが言ってた。」
さすがは自給自足生活というべきか、完全に森の中が生活の場になっていたようだ。
「そっかぁ、森のことなら私たちよりラズリのほうが慣れてるかもしれないなぁ。
でも、無茶はしちゃだめだからね。魔物が出てきたら、安全なところで身を守ること。
私たちが魔物と戦っているときもだよ、いい、分かった?」
「はい、ハバネお姉ちゃん。
ちゃんと安全な場所に行くようにするぅ。」
と、そんな会話をしていたそばから、ラズリが飛び出していく。
「あっ!! ウサギさん見つけたから、捕まえてくる。
あれは美味しい奴だから、絶対捕まえる!」
「コラァ! ラズリ!
魔物がいるかもしれないんだから、急に飛び出したらダメでしょ!」
突然飛び出すラズリにびっくりして、思わず声を荒げる私。
「だいじょーぶ。近くには怖い魔物はいないよぉ。」
たしかにサテラの索敵にも脅威になるような存在は見当たらなかったけど。
うーーん、森に慣れているっていうのはこういう危険察知の能力もあるってことなのかなぁ。
もしかしたら、魔族特有の能力なのかも。
なんてことを考えていたら、草むらの中から耳を掴んだ状態でウサギを持ったラズリが飛び出してくる。
「ご飯、捕まえたぁ!」
ニパっと満面の笑みを浮かべてラズリが角の生えたウサギを私に差し出してくる。
なるほど、これがラズリの日常だったんだろうなぁ、などと考えながらラズリの頭を撫でながら褒めてあげる。
「すごいね、ラズリ。
でも、勝手に飛び出しちゃダメだからね。
次からは、まず私たちに声をかけて「良い」と言われてから捕まえに行くんだよ。
いい、分かった?」
「うん分かったぁ。今度からちゃんと声をかけてから行くぅ!」
そうしっかり答えたラズリは、仕留めた一角ウサギをアオやフィーリアに見せながら盛り上がっていた。
「ラズリちゃんって、思った以上に野生児だね。
すぐにでもハンターになれそう。
っていうかさ、いっそのことラズリちゃんもハンター登録しとく?」
「それ、悪くない。でも、無理強い、ダメ!
本人が、やりたいって言ったら、登録しよ。」
「まあ、まだ最初だしね。もう少し様子を見てから決めよっか。
それより、私たちもお仕事しなくちゃ。
このままじゃラズリに負けちゃうよ。」
森に入ってもマイペースなラズリに、安心半分心配半分な私たちもとりあえずお仕事モードでひと頑張りしましたよ。
本日の獲物、石頭を武器に突進してくるロックヘッドボアを必要な頭数仕留めた私たちはホクホク顔で帰り支度を始める。
普通のハンターは荷物を減らすために現場で獲物を解体して素材のみを持ち帰るのだけど、キャリィドローンの収納が使える私たちは丸ごと持ち替えるのがいつものやり方だ。
この収納スキル、私のドローン創造スキルのレベルが上ったことで、収納量は控えめながら皆のドローンにも付与してあったりする。
ちなみに、ラズリのぷちテクトにも収納スキルが付いている。
そんなこともあり、私たちが獲物の整理をしている脇で、ラズリもアオと一緒に今日の成果を整理しながらテクトに収納させていたりする。
ウサギやネズミっぽい小動物が数匹と、草木に木の実、キノコなんかも採っていたようだ。
「ラズリぃ、何かいっぱい採ってきたんだね。
どう、楽しかった?」
「あっ、ハバネお姉ちゃん。
いつも集めてた物がいっぱいあったの。
里の森だとみんなが採っちゃって少なくなってものが、ここだといっぱい採れて楽しかったぁ。」
「そっかぁ、良かったね、ラズリ。
ラズリが採ったものも買い取ってもらえるか、ナタリアさんに見てもらおうね。」
採取依頼に出ていないものや、ギルドにあった図鑑に載っていなかったようなものなど、よくわからないものが混じっていたのが気になったけど、それも含めてナタリアさんに丸な・・・、いや相談してみようと思う私。
「それじゃ、街に帰るよぉー。
ゲート開くから、みんな集まってぇ!」
こうして、ラズリを連れての初仕事は特に問題もなく終えることが出来た。
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「はい、今回の依頼も問題なく完了ですね。ご苦労さまでした。」
ここまでは、いつものナタリアさんとのやり取りだ。
「あのナタリアさん、今回ラズリが一人で集めてきたものがいくつがあるんですが、こっちも鑑定してもらえないかな?
魔族の集落では採取対象だったみたいなんですけど、私たちではわからないものがいくつかあるんですよねぇ。」
「あ、良いですよ。人族の知らない魔族の知恵ですか、ちょっと興味が湧きますねぇ。
じゃあ、ラズリちゃん。ここに出してもらえるかな?」
ナタリアさんもラズリの集めたものに興味があるようで、笑顔でラズリに話しかけている。
「うん、いいよぉ。じゃあ出すね。」
そう言って、私たちの成果を片付けたテーブルに、ぷちテクトから吐き出された物が積み上げられる。
「一角ウサギに穴蔵ネズミですか。初心者向きとは言え、ラズリちゃん一人で捕まえるなんですごいですね。
将来有望ですよ。 あとこの辺の薬草はよく知られているものですね・・・・」
ラズリに話しかけながら、一つ一つ手にとって確認していくナタリアさん。
鑑定が進み、テーブルの小山が2つの山に分かれていった。
「こっちのは、普通に買取対象なのでいつもどおりに処理できます。
問題はこっちの山ですね。どれも素材や食材として知られていないものばかりです。
ねえラズリちゃん、この葉っぱとこの草、それとこの果実って何に使うものか知ってる?」
山の中から手にとったものをラズリに見せてそう尋ねるナタリアさん。
「うん、しってるよぉ。
こっちの草と葉っぱはお薬になるの。こっちの果物は魔力切れの飲み薬になるんだよ。」
「魔力ポーションの原料になるんですか?!
聞いたことないですが、一度調べたほうが良さそうですね。
ラズリちゃん、他にも知ってる物があれば、お姉ちゃんに教えてくれないかな?」
ラズリの説明でにわかに真剣さが増したナタリアさんが、更にラズリに食いついた。
「うん、いいよぉ。
えーとね、こっちのが・・・・・で、こっちのやつは・・・・・ができるやつで、・・・・・」
張り切って説明を始めるラズリに、ナタリアさんはものすごい勢いでメモを取っていく。
真剣な目のナタリアさんがなんか怖い・・・。
「それでは、こちらの既知の素材はいつもどおりの買取ということになります。
で、こちらの未確認素材に関しては一度ギルドでお預かりして詳しく検査させていただきます。
その結果、有効性が確認されれば新素材発見として報奨金が出ると思いますよ。」
「それってもしかしてすごいことなの?」
なんかナタリアさんの高いテンションに不安を感じた私がつい口を挟むと。
「はい、有用な新素材発見はギルドにとって大ニュースですし、更に高い効果が認められればもう大騒ぎなんですよ。」
「はぁ、わかりました。
それじゃこっちのはギルドにお預けします。」
そんな感じで、依頼の報酬+ラズリの予想外の稼ぎでかなり余裕ができた私たちはちょっと豪華な晩御飯を堪能したあと宿に帰った。
・・・・後日、ナタリアさんからいくつかの新たな素材がギルドの採取リストに追加されたと聞かされた。
特に魔力ポーションの材料になった果実は近年稀に見る大発見となったらしい。
結局、あの日の稼ぎはぶっちぎりでラズリの方が多いという結果になった。
私たち・・・、ラズリの保護者としてちゃんとやっていけるのかなぁ。
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