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#41 魔族の里


 魔族の少女、ラズリ。


 10歳ぐらいの幼さの残る容姿は、十分に将来の美形を予感させるものだ。


 その人と変わらぬ姿の中で一点、くねるように伸び、既知の生物と一線を画す角だけが彼女が人と違うことを示していた。


 まあ、私には「だからどうした?」という感じで、ただの可愛いコスプレ少女でしか無かったけどね。


 正直、人も獣人も、魔族でさえ、言葉が通じるなら違いなんてわかんないんだよねぇ。


 能力だとか種族特性だとか言ってもそれは単に個性でしかない、っていうのは転生前からの人種差別嫌いな私の考え方だし。


 で、そのちょっとだけ変わった女の子が自身の身に起きたことを、辿々しい言葉遣いで語っていくを私は黙って聞いていた。


 そして・・・


「って言うことは、今の話を整理するとこんな感じかな。」


 彼女が魔族であることに間違いなく、場所はわからないが深い森の奥にある魔族だけの集落で暮らしていた。


 外界との接触がまったくなく、千人ほどで完全自給自足の暮らしを営んでいたらしい。


 彼女は母親は小さいときに病で、父親は狩りの際に魔物にやられてともに亡くしており今は孤児なのだという。


 今までは他の孤児数人とともに里の長である長老の家で暮らしながら、里全体で面倒を見てもらっていた。


 里の雰囲気は悪くなく、それなりに平穏な日常を送っていたようだが、最近里の会合で怒鳴り合う声が聞こえたりとちょっとおかしな空気を子供ながらに感じていたらしい。


 そしてとうとう里の過激な集団が暴動を起こして、その一部が長老の家を襲った。


 子供たちを守るために抵抗する長老、そんな中で襲ってきた暴漢の一部が何故かラズリを標的にして向かってきたようだ。


 間一髪のところを長老に救われ、そのままなぜか自分だけが長老に手を引かれ森に逃げ込んだ。


 執拗に追いかけてくる暴漢たち、茂みに潜んで一時的に追手の目を逸らせると長老は彼女が普段から首にかけていたネックレスを確認したという。


 それを決して肌身から話さないようにしなさいと優しく語りかけたかと思うと、突然突き飛ばさせるラズリ。


 その物音を聞き暴漢がこちらに向かってくるが、次に瞬間長老が魔法を彼女に向けて放った。


 光りに包まれて目がくらんだ彼女が、次に目にしたのは全く知らない森の中の風景だった。


 その後は、魔物や野獣に襲われないよう身を潜めながら森を彷徨い、ついに力尽きて気を失ってしまう・・・・


「よく頑張ったね、ラズリ。もう大丈夫だから。

 何があっても、お姉さんが守ってあげるからね。」


 話し終えてたことで落ち着いたのか、私の腕の中で私を見つめているラズリの頭を優しく撫でる。


「魔族って言っても、普段はあたしたちを変わらない生活してるんだね。」


「それに、この子も、孤児。孤児院にいる子たちと、全然変わらない。

 私も、この子を守るのに、賛成。」


「魔族のこと、アタイたちも全く知らなかったから、魔族の里ってのはここからかなり離れた場所にあると思うぞ。」


「やっぱりその長老さんがこの子を守るために転移系の魔法を使ったんだと思う。

 ここらでは転移系魔法は伝説扱いされたから、魔族は魔法に優れた種族っていうことなんだろうね。」


 ラズリの話を聞いて、みんながそれぞれ思ったことを口にする。


 私にも気になることがいくつかあったし。


「魔族の里で何か対立が起こって暴動が起こったんだろうけど、ラズリのことを追いかけてきたってことは、何か目的があったのかもしれない。

 ラズリ自身か、それとも長老が気にしたネックレスっていうのも引っかかるかな。」


「そうは言ってもハバネ、そのことを調べることも確かめることもほぼ不可能だよ。

 まあ、魔族なんてこれまで全く接触もなかったんだから、ここに現れることもまずないと思うけど。」


「だろうね。

 まあ、そのことは頭の隅にでも置いといて、まずはうちのラズリをどうするか? どうやって守るかだね。」


「もうラズリは、ハバネにとって、うちの子扱い。

 街で、起こる揉め事が、目に見える。」


「ああーー、そうだよねぇー。

 ギルマスたちは話せば分かってくれると思うけど、町の住人や荒っぽいハンターなんかが過剰反応しそう。」


「んなもん、いつものようにハバネがぶっ飛ばせば終わりだろ。」


「フィーリア、そう簡単に行けば良いんだけど、こういうのは拗れるとややこしいんだぞ。

 魔族は凶悪な魔物と変わらない、なんて思っている人も多いんだよ。

 私だって、ラズリに会うまでそんな風に思ってたからね。」


 ルミーナの言うことは多分正解。


 ラズリにキツく当たる住人は一定数、確実にいるだろう。


 でも、私はそいつらに対して引く気は一切ないから。


「ねえ、ルミーナ、リーリィ。

 私さぁ、ラズリのことで街の人と険悪になるかもしれないから、先に言っとく。」


「ラズリが安心して暮らせない状況になったら、私はラズリを連れて街を出るから。

 悪いんだけど、そのときにはパーティは解散するね。

 私のわがままで二人に迷惑をかけたくないし。」


 それを聞いたルミーナは、ラズリを抱えて座っている私の正面にしゃがみこむと、いきなり私の両頬をつまんで引っ張った。


「おかしなことを言う口はこれかな?

 いつ、ハバネのわがままがハバネだけのものだって決まったのかな。

 ハバネが街を出るなら、私たちも一緒に決まってるでしょ!

 ねえ、リーリィ。」


「ん、私も一緒に行く。

 ラズリちゃんを、泣かせる、街なんか、とっとと出てく。」


「分かったかな。

 パーティ解散なんて馬鹿なこと言う口はこうだからね。」


 笑みを浮かべながら、私の頬を引き伸ばすルミーナ。


 私の変顔を見て大笑いするフィーリアと、不思議そうに覗き込むアオ。


ふぁい(はい)ふぁかぁひまひぃらぁ(わかりました)ほぉめむさぁぃ(ごめんなさい)・・・」


「わかれば、よろしい。」


 そう言って私の伸びた頬から手を離すルミーナ。


 仄かに赤くなった自分の頬を撫でていると、ラズリが心配そうに手を伸ばし頬を撫でてくれるが、その仕草を真似るように触手を伸ばし撫でに来るアオ。


 ラズリも、アオも、めっちゃ可愛かった。


読んでいただきありがとうございます。


ラズリは間違いなくいい子です。

そのうち、ラズリ&アオでSS書いてみたいかも。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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