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#37 待ち時間にお菓子作りを


 逃げるようにドローンゲートをくぐった私たちは一足先にクロスロードへ帰還した。


 その足ですぐにハンターギルドへ向かうと、そこには今回は留守番をしてもらったアオが乗ったドローンを抱きかかえたナタリアさんが待っていた。


「ただいま、アオ、ナタリアさん。」


 私たちに気がついたナタリアさんはにっこり微笑み、アオは元気に触手を振っている。


「おかえりなさい、皆さん。

 その顔を見ると、討伐は無事に終わったようですね。」


「うん、怪我人は出たけど死んだ人はいないよ。ギルマスもピンピンしてるしね。

 もう、向こうは出発してるはずだから、戻ってくるのは5日後・・・かな。

 まあ、私たちにギルマスの雷が落ちるまでの猶予でもあるけどね、あははは。」


「ああ、こっそり教えてもらった転移系魔法とか、ネタは色々有りましたね。

 ふふっ、私からも色々言いたいこともありますし、楽しみに待っててください。」


「ええーっ、ナタリアさんも怒る側なの?!

 ハバネと一緒にいたら、いつかはこうなると思ってたけど・・・。

 うん、分かってた、はぁぁーー。」


 ルミーナが私の顔見たあと、目線を遠くに移して大きなため息をついた。


 私、どういう扱い? なんか納得いかない。


「とりあえず、今すぐに情報を流すわけには行かないので、

 明日辺り、ハバネさんのドローンで速報が届いたことにして

 討伐成功の一報は公表しましょう。」


「それなら、街の不安、な空気も、和らぐ、かも。」


 リーリィの言葉に皆うなずき、ナタリアさんの提案を了承する。


 事務的な会話に飽きてきたフィーリアが声を上げる。


「ハバネーっ、腹減ったぞ、それに疲れたぁ。」


「そうでした、ハバネさんたちも戻ったばかりでしたね。

 もうギルマスが戻るまですることは何もないですから、今日は戻ってゆっくり休んで下さい。

 アオちゃんも寂しがってましたよ。」


 ふわふわと飛んできたアオを抱きかかえると、やさしく撫でてあげた。


 撫でられたアオも嬉しそう体を震わせている、カワイイなぁ、もう。


 そのままギルドを出た私たちは宿に戻って、いつもより多めの晩御飯を食べてると、早々に寝入ってしまった。


 なんだかんだで結構疲れてたみたい。


---------------------------------------------------


 しっかり眠って疲れもスッキリ取れて、快適な目覚めだ。


 しっかり朝食を摂ると、揃って街へ繰り出した。


 ギルマスたちが凱旋するまでの間、私たちはそれぞれ自分のやりたかったことをして過ごすことにした。


 そんなわけで私は久しぶりにお菓子作りでもしようかと思い、材料探しに市場をうろうろしてます。


 そして手に入れた戦利品を持って帰った私は、お昼の喧騒を終えた宿の厨房にいた。


 何故か何も言っていなかったのに、ルミーナにリーリィ、フィーリアたちが勢揃いしていた。


 ちっ、目ざといヤツラだよ。そして宿屋の女将さんも期待した眼差しでこっちを見ていて、ちょっと怖い。


 とりあえず手にれた戦利品は、ウズラのようなまだら模様なのに大きさはニワトリの卵サイズというよく知らない鳥の卵。


 これがこの世界ではポピュラーな卵らしく、宿で出された目玉焼きは日本で食べたものとほとんど変わらないものだった。


 今回はコイツを多めに手に入れられたので、作るのはプリンと蒸しケーキにした。


 まあ、いくらやる気を出してもそうそう私に凝ったお菓子は作れないわけで、まあこの程度でもこの世界にないことはリサーチ済み。


「それじゃあ、ちゃんと試食させてあげるから、しっかり手伝ってよね。」


「「「うん、分かってる(よ)(って)。」」」


 良いお返事、いただきました。


「今日作るのは、蒸して作るお菓子なんだよ。で、蒸すって調理方法なんだけど・・・・」


 どうやらこの世界では蒸すって調理方法は一般的ではないらしい。


 少なくともクロスロードの街では全く知られていなかった。


「蒸し料理っていうのは、早い話、蒸気で火を通す調理法でね、

 焦げたり、焼きムラになったりしないし、エキスが溶け出したりもしない、

 結構便利な調理方法なんだよ。

 特別な道具がなくても出来るから、女将さんもお菓子作り以外で色々試してみるといいよ。」


 そんな感じで色々レクチャーしながら、プリンの原液と蒸しケーキのタネをワイワイと作っていく。


 水を浅く張った大鍋に木蓋や金網なんかを組み合わせてでっち上げた蒸し器もどきにプリンやケーキの元を入れたカップを並べて火にかける。


 あとは蒸し上がりを待つだけ。


 フィーリアとアオは、漂ってくる甘い匂いになんかソワソワ落ち着かない様子だ。

 

 そろそろと出来上がりかなと思い、ナンチャッテ蒸し器の蓋を開ける。


 もうもうと上がる湯気とともに、甘いイイ匂いが広がる。


「ちょっと自信なかったけど・・・、うん、いい感じみたい。

 とりあえず、プリンはこのまま粗熱取って冷やしておくとして。」


 出来たプリンをテーブルに並べて、ドローンのティアを浮かせて魔法でゆっくり冷却をかけておく。


 出来たての蒸しケーキもテーブルに並べていく。


 見た目はまんまカップケーキと言う感じで、容器に使ったコップからこんもりとケーキがはみ出している。


 まるでマッシュルームというか、アオ?!


 うんうん、ドローンに乗ってるアオそっくりだったぁ。


「んじゃ、プリンが冷える間に出来たての蒸しケーキを試食といきますか。」


「「「やったーぁ!!待ってましたぁ。」」」


 待ちきれなくなって飛びついてくるルミーナやフィーリアは、渡したそばからかぶりつく。


 リーリィや女将さん、アオにも蒸しケーキを渡して、自分でも出来を確かめてみる。


「うん、いい甘さ! それに食感も悪くないね、うん。」


「なにっ、コレ?! フワフワなのにしっとりもちもち、それに甘くて美味しい!!」


「ん、美味美味。」


「あまーーい! やわらかーい! こんなの初めて食べたぞぉ!!」


「(ぷるぷる♪)」


 シンプルな蒸しケーキだったけど、みんなには大好評のようだ。


 女将さんも一口一口確かめるように味わいながら、何かブツブツ言ってる。


 もうドーナツも私のより美味しいのが作れるし、蒸しケーキもすぐだろうね。


 蒸しケーキの騒ぎが落ち着いたところで、次に試食したプリンでさらに大騒ぎになったけど・・・


 やっぱスイーツは作るのも食べるのも楽しいもんだね。


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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