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#34 最凶の毒蛇


 ギルマス率いるヒュドラ討伐隊が出立してはや5日。


 私たちは待機を言いつけられて、ギルドホールの飲食スペースで無為に時間を過ごしていた。


 とはいえ、これも以前起きたアンピプテラ襲撃のようにヒュドラの眷属の襲来に備えてのものだったりするので逃げ出すわけにもいかないのだ。


「ねえ、ハバネ。

 ギルマスたちの様子はどう?」


 ルミーナがギルマスの現状を私に聞いてくる。


 なぜかというと、実は私が新しく創った2機の偵察用ミニドローンを先行隊と本隊それぞれに付けてちょくちょく様子をうかがっていたからだったりする。


「うん、道中は問題なさそうだよ。

 先行隊が順調に途中の魔物を捌いているから、うまく本隊を温存できてるみたい。

 この調子なら、明日にはヒュドラとガチンコ勝負になりそう。」


「いよいよかぁ。

 ギルマスたち、無事にやっつけて帰ってきてくれるかな?」


「大丈夫! もしもの時、ハバネ、アレやる気だよね?」


 リーリィが少々怪しげな笑みを浮かべながら、私の方を見る。


「まあ、そのためにみんなで作戦考えたんだしね。

 無駄になってくれるのが一番なんだけど、ヤバいと思ったら躊躇う気はないよ。

 それに関しては、ルミーナたちも同じでしょ。」


「アタイだってやるときはやるんだぞ!

 毒はアタイが全部吹き飛ばしてやるから、ハバネたちは安心して暴れてこいよな。」


 そんな事言われて視線を向ければ、ルミーナもリーリィもフィーリアたちも私を見て微笑みを浮かべる。


 みんながみんなして乱入する気満々なのである。


----------------------------------------


「よーし、支援担当はみんなに耐性付与を目一杯かけろ!

 主力は1つ目の首に火力を集中して一撃で決めろ!

 牽制班は目標以外の首に仕掛けてヤツに攻撃を集中させるな!

 作戦通り、再生するより早く確実に首を潰すぞ、いいな?!」


 集まったクロスロードの精鋭「三つ(ぼし)」パーティ達を前に檄を飛ばすギルマス。


「先行組は、このまま周囲に散って雑魚を近づかせるな!

 いいな、戦場をキープする大事な役目だ!

 お前らに任せる、頼んだぞ!!」


「「「「おおおーーーっ!!」」」」


 偵察ドローンで見守る私も、内心でエールを送る。


 そして始まるヒュドラ討伐戦。


 自らの毒と瘴気によって作られた毒々しい沼の中で、その禍々しい巨大な姿を佇ませるヒュドラ。


 自分のテリトリーに無遠慮に踏み込んでくる人間たちに、苛立ちをとともに苛烈な威圧を放つ。


 だがそんな威圧も百戦錬磨の上級ハンター達には大した効果は現れず、高めた戦意を目の前の脅威に向け戦いの間合いへと歩を進めていく。


 緊迫して張り詰めた空気の中、ヒュドラの咆哮とともに戦いの火蓋が切って落とされた。


 熟練の連携で攻撃を集中させるハンター達。


 盾役や援護魔道士が毒混じりの属性攻撃を耐性スキルや魔法障壁で防ぎ、援護役が遠隔攻撃スキルや対抗魔法で体力を削り、攻撃主力が持ちうる最大攻撃を次々と叩き込んでいく。


 牽制役のハンターたちは、それぞれ割り当てられた首へと攻撃を加え、首同士の連携攻撃を防ぐべく生まれる敵意を自分たちへ集めていく。


 五つの首から異なる属性の魔法攻撃を繰り出すヒュドラに対してヘイトをコントロールすることで敵の攻撃を分散させつつ、自分たちは攻撃を一点に集中させた火力で首を一つずつ潰すハンター達。


 すぐに体制を整え次の首を狙う流れは、流石に熟練を感じさせる上級ハンター達である。


 ハバネからの念話で、その様子を中継されていたるミーナたちもその健闘ぶりに感心している。


 水氷には火炎で、土礫には暴風で、属性攻撃を繰り出すヒュドラの首に対して、対抗属性の魔法で抑え込み強力な火力を集中させて確実に刈り取っていく。


 負けじと激しい反撃を繰り出すヒュドラに対して、苛烈な戦いを繰り広げながら確実に二つ目の首を刈り取っていく。


 だが、ここで想定外の状況が発生していた。


「ギルマス! ヤバいぞ!!

 潰した首の再生がすごい早さで始まってやがる。

 想定よりかなり早い・・・、このままじゃ、首を全部潰すのはかなり難しくなる。

 どうするんだ?!」


 トップパーティーのリーダーらしきハンターが思わしくない状況を報告する。


「ヒュドラ攻略は、首を全部潰したのち確実に心臓を仕留める以外に方法はねぇ!

 再生するなら、それを超えるスピードで首を潰し切るだけだ。

 周囲で雑魚を捌いてる連中も、牽制に回っている連中も首の攻撃に回せ!

 とにかく首を潰しきることに戦力を集中するぞ!!」


 今ある戦力で押し切る以外に手の打ちようのないギルマスが吼えるように檄を飛ばす。


 全体を見通せる位置にいる監視ドローンを通して、戦況を静観する私たち。


 ジリジリと戦況が悪化していく様子を見て・・・


「ハバネ、これってかなりヤバいよね?!

 そろそろギルマス達に加勢したほうがいいんじゃない?」


「行くなら、まだ、余力が残っている、今のうちが良い。

 タイミング、逃すと、例の作戦も無理!」


「行くのか?! いよいよアタイの出番だな!」


 ギルマスたちが戦闘を始めた段階でいつでもゲートで飛べるように人目のない場所で待機していた私たち。


「それじゃあ、そろそろ行きますか。

 間違いなくあとでギルマスの怒られるんだろうけど、そのときは一緒に怒られようね。」


 そう言うと私は待機させていたクロノたちにゲートを開かせた。


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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