#33 みーつけたぁ!
ヒュドラ探しを初めて三日目。
未だにヒュドラの手掛かりすら掴めてはいない。
まあ小さなドローンがカバーできる範囲なんて、広大な森林地帯からしたら微々たるもの。
出来るのは、輪切りのタマネギみたいに自分を中心に外に向かって探索範囲を広げていくことだけ。
当然、遠ざかるほど範囲は広がっていく・・・・、それでも見つけるまで続けるしかない。
「んん、これは?!」
「リーリィ、何か見つけたの?」
リーリィの様子を見て、ルミーナが飛びついてくる。
うん、成果が上がらない単調な探索に飽きてきてたんだね、わかるよ。
「魔力の大きな反応、見つけた。
この間の飛び蛇、より大きな魔力、たぶん間違いない。」
「リーリィ、反応の場所を念話で教えて。
ドローンゲートで、確認してこよう。」
「ハバネ、ムチャは駄目だよぉ! 危ないよぉ。」
「大丈夫だって、ルミーナ。
いきなり目の前に出るわけじゃないよ。
ちゃんと離れた場所から、こっそり覗いてくるだけだからね。」
相手をちゃんと確認しておかないと、討伐に失敗するわけには行かないし、
それにどんな奴か、ちゃんと見ておきたいからね。
というわけで、クロノたちを呼び出してヒュドラの死角になりそうな場所にゲートを開く。
んじゃ、みんなでヒュドラのお顔を見に行くとしますか。
「フィーリア、いつものアレお願いね。」
「おう、任せとけって。」
フィーリアに消臭と消音の風魔法をかけてもらい、気配を殺しつつ用心深くヒュドラの様子を伺う。
そこは、大きな池というか沼のような場所だったが、外に向かって流れ出すような川はなく、淀んだ水が集まりさらに淀みを増していく感じで、淀みだけでなく、瘴気や毒といったモノが渦巻く混沌の地となっていた。
そこにどっかと居座るヒュドラは、まさに暗黒の巨大毒竜と呼ぶにふさわしい存在だ。
胴体の大きさ長さはまさに新幹線サイズ、そこにファミリーカーサイズの頭が5つ生えていて、まさにその姿は怪獣だった。
まさか、自分が特撮怪獣映画の登場人物になる日が来るとは・・・、
いや、この場合は全部リアルだから、SFじゃなくてノンフィクションになるのかな?
兎にも角にも、毒や瘴気対策を十分に立てておかないと、戦うことすら出来なさそうだ。
そのあたりも含めて、しっかりギルマスに報告しておこう。
よしっ、長居は無用だ。トットと退散しよう。
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そのまま、急いで街に戻った私たちはハンターギルドに直行した。
夕方の混み出す時間より早かったためかフロアーは空いており、すぐにナタリアさんに声をかけることが出来た。
「ナタリアさん、ギルマスに至急伝えたいことがあるんです。
取り次いでもらえますか?」
「ハバネさん、おかえりなさい。
ギルマスはお部屋におりますのですぐにお会いできると思います。
どんな要件かお聞きしても良いですか?」
「今最大の懸案である、とある魔物を見つけました。
それについての報告です。」
私の言葉を聞くと、真剣な表情となり軽くお辞儀をするとそのままギルマスの部屋に向かうナタリアさん。
すぐに戻ってくると私たちをギルマスの部屋に通してくれた。
「ヒュドラの件で報告があるそうだな。すぐに話を聞かせてくれ!」
いつものソファーに向かい合って腰を下ろすと、すぐにガリーさんが切り出してきた。
「この数日間、私のドローンの能力を使ってヒュドラを探していました。
そして、その魔力の反応を見つけてこの目でその存在を確認してきました。
5つの頭を持つ巨大な毒蛇でした、間違いなくヒュドラだと思います、どうですか?」
「お前たちがヒュドラを?! ハバネのドローンで・・・・。」
私の報告を聞いて、いつにも増しての怖い表情で顔をしかめるガリーさん。
苦虫を噛み締めたような表情で苦悶していたが、「はぁーーーー。」と重苦しく息を履くと落ち着いた表情に戻る。
「・・・そいつはヒュドラで間違いない。多大な協力・・・、感謝する。」
なんとも言えないような苦悩の表情でそう告げる。
「(ギルマス、色々ツッコみたいところをグッと飲み込んだみたいだね。)」
「(ハバネのヤラかし、流石に、ギルマスも、諦めたか、合掌。)」
あれれ? ルミーナもリーリィもなんか微妙な表情だけど、なんで???
とりあえず、ギルドにある最新の地図にサテラの情報を反映させて可能な限りの正確な位置と状況を伝えた。
目をつむり腕を組んだまま思案にふけるギルマス。
長いようで短い沈黙の後、ギルマスは口を開く。
「すぐに討伐隊を組むぞ!
二つ☆を中心にして先行隊を編成、目的地までの露払いだ。
三つ☆の精鋭を中心に本隊を組む。指揮はオレがやる!
オルトナ、3日で準備を整えろ。」
サブマスに檄を飛ばすギルマスのガリーさん、なんか闘気が迸ってるように見えます、なんか怖い。
「それからハバネ、お前たちのことだが・・・
街に残ってくれ。」
「「ええーっ?!」」
ガリーさんの言葉に、不満の声を上げるルミーナとリーリィ。
だけど、私はこうなるだろうとなんとなく思っていた。
「ギルマス、それって討伐の間はこの街の戦力が大幅に減るからだよね?
それに私たちには、前の眷属ぶっ飛ばした実績もあるし。」
「まあ、そういうこった。
お前たちの力は十分戦力になるだろうがな、いかんせん経験が足りな過ぎる。
今回の親玉の相手は流石にさせられん、悪いがな。」
流石にここまで言われてはルミーナたちも食い下がるわけには行かないだろう。
「うん、りょうかい。街のことは任せて!
そのかわり、ヒュドラをぶっ飛ばしてきてよね。」
私が構えた拳を打ち込むと、ガリーさんは手のひらで受け止め、ニカッと幼児が泣き出しそうな笑みを浮かべた。
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