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#23 ギルマスの部屋


 森の異変を調査していたパーティのシュレームさんに、半ば引きずられるように私たちが連れ込まれたのはハンターギルドだった。


 なんとかフィーリアとアオは宿に逃がすことができたけど、私たちはガッチリロックオンされていて逃げ出すスキはまるでなかった。


 ギルドマスターの部屋のソファーに並んで座らされた私たち、目の前にはギルドマスターのガリーさんとサブマスターのオルトナさんが座っていて、私たちの後ろには腕を組んだシュレームさんと知らない二人の男性が立っている。


 閉じたような細目で物静かそうなガッチリした体格の巨漢と、ローブを着た神経質そうな細身の男だが、多分シュレームさんのパーティ「紅炎の円舞(クリムゾンダンス)」のメンバーなのだろう。


 戦闘時に壁役として攻撃を受ける盾役と遠距離支援役の魔法使いってところかな。


 にらみつけるガリーさんの前で小さくなっている私たちに、ガリーさんが話を続ける。


「つまりは、大怪我していたシュレームの仲間を採取依頼に出ていたお前たちが見つけて手当した後、そいつを追ってきた魔物の群れをお前らがおびき寄せて一網打尽にしたと・・・・。

 おいっ!お前ら!! それを素直に信じろっていうのか!!」


 シュレームさんにした説明を全く同じ内容でガリーさんに話したんだけど・・・


「あの〜、一網打尽ていうか、街に向かったら大変だと思って無我夢中で頑張ったんですぅ。

 もう必死だったんですから、だからみんなでありったけの攻撃をですねぇ。」


 ジト目のガリーさんを前にして、アタフタする私を両脇からあきらめ顔の二人。


「まったく、お前らは・・・、はあぁーーー。」


 重たいため息を一息吐くと、頭を掻きながら目を閉じて上を向くギルドマスター。


「見たこともないドローン使いって上に、デススパイダー討伐、妖精を仲間にして、

 今度は、魔物の群れを殲滅・・・・。おいっ、俺はどこにツッコめばいいんだよ!」


「あのー、えーとぉ、なんて言うか、そのぉー・・・・」


 冷や汗を盛大に流しながら、なんとか誤魔化そうとワタワタする私を見て


 ボリボリと音がしそうな勢いで頭をかきながら、ギルマスのガリーさんは恨めしそうな声で


「まあいい、とにかく街の危機は去ったわけだし、お前らのしでかしたことも特に問題になるものではない。

 それに、ハンターは戦闘能力の秘匿が基本だし、ギルドも基本的にそういうことは問わないことになっている。

 それにお前らも、詳細を明かして騒がれたくはないんだろ?」


「「「(うんうん!!)」」」


 即座に、首を大きく縦にブンブンと振る私たち。


「というわけで、お前らもこいつらが自分から話す気になるまで、無理に詮索はするなよ!」


 そう言って、私らの後ろで憮然として立っている紅炎の円舞(クリムゾンダンス)を睨みつけた。


「だが、しかしっ!! ・・・い、いや分かった。これ以上詮索はしない。

 あの状況でこんなヒヨッコが何をしたのか、気にならないといえば嘘になるが、こいつらが言いたくないというなら、それ以上の詮索はハンターとしてのマナー違反だな。」


「それに今、最優先すべきは森の最深部に居座ったヒュドラだしな。

 ヤツ自身は動く気配はなさそうだったが、配下の魔物を増やして勢力圏を広げている。

 時間が経てば、この街への影響も出てくるだろうな。」


 パーティリーダーのシュレームが、ギルマスの言葉に従う姿勢を見せると、それまで黙って話を聞いていた巨漢が森について意見する。私好みのなかなかに渋い声だ。


「その件だが、そもそもなんでヒュドラなんてバケモンがこんなところに現れたんだ?!」


 腕を組み、考え込むように疑問を投げかけるギルマス。


「推測ですが、四方の竜域のどこからやってきたのではないでしょうか?

 覇権争いか、縄張り争いに破れた個体が流れてきたのではないかと。」


 少し考えてから自分の推測を話すサブマスのオルトナさん。


 ちなみに「四方の竜域」というのは、この大地というか大陸の南東、南西、北西、北東にある人を寄せ付けない過酷な環境の地域でそれぞれに4匹の古竜(エンシェントドラゴン)が住むと言われているそうだ。


 東西南北の人が住む地域はこの竜域に遮られる形になっているため、東西南北を中央で結ぶこのクロスロードが流通などの面で重要な場所となっているのだという。


 で、今回のヒュドラはその竜域のどこかから争いに敗れて流れてきたのだろうといのがサブマスの考えみたい。


「軍勢を整えて仇敵へリベンジするか、ここで新たな縄張りの確保に走るかは分からんが、このまま大人しくじっとはしてくれんだろうな。」


 目の前の難題に頭を悩ませるギルマスにサブマスが自分の考えを提案する。


「当面は、相手の状況を確認するための情報収集に徹しましょう。

 下手に刺激してヤブを突っつくのは得策ではありません。」


「それしかなさそうだな。

 シュレームたち以外にも何組か偵察に向かわせるように手配を頼む。

 シュレーム、仲間の体調が万全に戻ったら、また頼むぞ。」


 ギルマスのガリーさんは、テキパキと方針を決め指示を出していく。


 さすがはギルドマスターってところだね。


「それから、ハバネ。

 言いたいことや聞きたいことは山ほどあるが、とりあえずそれは俺の胸に納めておく。

 だが、いざという時は、お前たちも当てにさせてもらうからな、いいな!」


 話のわかるギルマスさんは、私たちのやらかしを見逃してくれるみたい。


 見た目は怖いけど、ちょっと見直したかも。


「それと、ハンターの救助に、魔物の群れの討伐と諸々の特別報酬出すから、明日にでもギルドに取りに来い。

 とりあえず。今回は助かった。ギルドマスターとして礼を言う。

 今日は疲れたろう、もう帰っていいからゆっくり休めよ。」


 終始、恐縮して小さくなっていた私たちだけど、なんとか丸く収まったみたいで安心した。


 挨拶してギルマスの部屋を後にした私たちだけど、ギルマスやシュレームさんたちはまだまだ今後の話が続くようだ。


 ギルドを出た私たちは、そのまま宿に向かって歩き出す。


「ハバネ、なんだか今日はイロイロありすぎて疲れたね。」


「私たち、とんでもないこと、やらかした、ちょっと驚愕!」


「そうだよねぇ、でもガリーさんイロイロ察してくれたみたい。

 いい人みたいだね、ギルマス。」


「うん! ガリーさんって見た目はアレだけど、

 街のことやハンターのことをいつも気にかけてくれる凄い人だよ。」


 心配していた言い訳もとりあえずなんとかなって、一安心の私たち。


「お腹すいたし、フィーリアたちの分もご馳走買い込んで帰りますか。」


 夕食を食べていないことを思い出してそう提案する私。


「それに暴れてだいぶ疲れたし、明日はお休みにしようよ。」


「「賛成!!」」


 ルミーナのナイスな提案にハイタッチで答える私たちだった。


読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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