#20 試すは大魔法陣
あけましておめでとうございます。
何をやるにしても、まずは敵が何なのかを調べないとね。
ということで、サテラで迫ってくる群れを観察してみる。
「うわーぁ、なんか細長いウネウネが無数に絡み合ったキモい塊が迫ってくるよぉ!?」
サテラを通して見えたのは、群というよりも巨大なうごめく塊だった。
昔見た釣具屋の生き餌コーナーで見たゴカイの塊みたいな細長い生き物の塊だった。
よく見るとそれは大小の蛇みたい。シマヘビサイズからアナコンダより大きい大蛇サイズまでゴチャ混ぜ状態になってる。
逃げてきたハンターの言ってたヒュドラってたしかいくつもの頭を持つ巨大な毒蛇だったはず。
その手下というか眷属だと思うから、蛇というのはなんとなく納得できる。
「迫ってきてるのは、大小様々な蛇の魔物が絡み合ったキモい塊だった。
多分、1匹1匹はなんとか倒せるけど、流石にあの数は凶悪だよ。」
私の言葉になんとも言えない渋い表情になるルミーナとリーリィ。
「アタイの風魔法と音魔法ならどう?」
「多分、攻撃が効いても一部だけで、その攻撃後にバラけてしまって、余計に対処が難しくなるだけだと思う。」
フィーリアが得意の攻撃魔法を提案してくるが、あとの展開が予想できるのでその案は却下した。
「それじゃあ、どうする?
私たちの足とあんまり速さは変わんないみたいだし、町に逃げ込めたとしてもアイツらを引き連れて行くことになるよ。」
「一度、あの群れを相手に試してみたい攻撃がある。
倒せれば良いし足止めぐらいになればとは思うけど、ちょっとどうなるか予想がつかないんだよね。失敗したらごめんなさいかな、あはは。」
危機的状況に悲壮感が漂うルミーナに対して、思わぬ実験の機会が巡ってきて不謹慎にも期待感を感じてしまう私。
サテラの探査で目的に合った場所を近くに見つけた私は、皆に作戦を説明する。
「これから私がやろうとしているのは、ドローンを使った魔法巻物の再現だよ。」
「「「魔法巻物の再現?!?」」」
そう、魔法巻物の仕組みを教えてもらったときに閃いたことがあったんだよね。
魔法の発動体となる魔石とその正確な配置によって魔法が発動すると説明されたたとき、ドローンが魔法の発動体になるかもと思った。
そもそもドローンは魔力で動いている。
普段は周囲の魔力を吸収して飛行しているが、私がイメージと魔力を込めることで付与された魔法が発動する。
私の考えでは、魔法巻物というのは、使う人間が魔力を、魔法陣というか魔石の配置が発動する魔法のイメージを伝える役割をしているのだと考えたわけ。
なら、ドローンでスクロールの配置を再現してイメージなしの魔力を込めれば、魔法巻物と同じように魔法が発動するはず。
大昔に失敗した実験では魔法陣や魔石のサイズや込める魔力を大きくして威力も上ようとしていたのだから、うまく行けば目の前の魔物の群れもなんとかなるかも。
嬉々として自身の企みを話す私に、皆がなにか生暖かい眼差しを向けているような感じがするのは気のせいかな?
「で、ハバネ。具体的にどうするつもりなの?」
「私たちだけでなんとかしなきゃだから、できれば一気にカタをつけたいかな。
どう考えても持久戦なんて無理でしょ。
だから、できるだけ一箇所に集めて、バーン!って感じかな。」
私の提案に呆れながらも、拒否する気を全く感じさせないルミーナたち。
私の暴走を止める気はないようだ。
まあ、暴走を自覚している私自身もどうかと思うけどね。
「この先に崖に囲まれた狭い窪地があるんだけど、そこへ群れを誘い込もうと思ってる。
誘導はルミーナとアオでお願いね。
そのあと私の準備ができるまでリーリィとフィーリアには群れを抑え込んでて欲しいんだけど、どうかな?」
「抑え込むってどうやんのさ?」
「フィーリアにはケッタンで群れの周囲を飛び回ってもらって、バラけそうな奴らを風魔法で押し返して欲しい。
リーリィにも炎系魔法で牽制に回ってもらいたいだけど。」
「ん、分かった。
群れ全部を、倒しきるのは、無理、だけど、
牽制に、徹するなら、なんとか、なる。」
「あお、やる・・・、あお、がんばる・・・」
イイ感じにみんなもヤル気になってくれたみたい。
実は前にチョビッと実験してて、まあまあいい感じだったんだよね・・・、
というか、思いっきり試してみたくてウズウズしてたってのが本音だったりする、えへへ。
というわけで、それぞれの持ち場に別れた私たちは作戦を開始した。
まずは、蛇の魔物の群れに向かったルミーナとアオ。
アオが攻撃の届かない上空から群れの位置を確認して、ルミーナに報告。
ルミーナは、注意を引きつつ絶妙な距離を維持しながら目的の場所まで群れを誘導する。
群れから落ちこぼれた小者どもも、アオが空中で姿をチラつかせ、向かってくる奴を誘ってゆっくりとあとに続いていく。
ルミーナの巧みな誘導で目的の場所に群れの大半を誘い込むことに成功すると、
フィーリアを乗せたケッタンが、群れの周囲を大きく旋回しながら、群れを離れようとする蛇たちを風魔法で群れの向けて吹き飛ばしていく。
アオを追ってきた後続集団も、リーリィの火魔法で追い立てられて、先の群れとの合流させる。
今、魔物どもを迎え撃つ準備は整った。
今年、最初の定期更新です。
今後もこのペースを(遅めですみません)、頑張って維持していきたいと思います。
これからもよろしくおねがいします。




