#19 森に潜むモノ
休養も十分に取り、今日からまたハンター家業の再開だ。
今回の依頼は森での素材採取だ。
とはいえ例によって森の奥へは行けず、森の浅いところでの採集となるのだが、私達と同レベルの森の奥へ行けない初心者ハンターがあらかた取り尽くしており、採集依頼をこなすのも大変な状況だ。
だがここでフィーリアが耳寄り情報を提供してくれたのだ。
「この近くの森に人族に見つかっていない洞窟があるぞ。まあ入り口がアタイたち妖精じゃないと入れない大きさだからなんだけど、中は人族でも余裕の広さなんだぞ。」
この情報を元に、私たちはその未掘の洞窟に挑戦しようということになったのだ。
まあ、入り口も多少強引な手段だけど私たちでなんとかなるらしい。
「面白い洞窟素材が見つけられれば良いけどね。
まあ、常設依頼の達成ができるなら上出来ってところだね。」
ルミーナの言うように、森の異変のせいで私たちみたいな初心者ハンターには厳しい状況が続いているから贅沢は言えないよねぇ。
そんな感じで周囲の警戒はしっかりこなしながらも、気安い会話をしつつ目的地を目指す。
そうそう、フィーリアの翅の傷だがヒーリィのよる連日の治療で昨夜無事に全快を果たしたんだよね。
なのに、よっぽど気に入ったのか未だに乗用ドローンのケッタンに乗っていたりする。
「フィーリア、もう翅は元通りなんだから自分の翅で飛んだら?
ドローン乗ってばかりだと、身体が鈍っちゃうよ。」
「へーき、へーき! アタイはそんなにヤワじゃないよ。
それに、ケッタンで飛んでる方が楽しいし。」
「そんなこと言ってデブって飛べなくなっても知らないから。
フィーリアは最近、ちょっと私のお菓子食べ過ぎな気がするよ。」
「妖精は、魔力があれば、生きていける。本来、物を食べる必要、ない。
だから、太ることは、ないと思う。でも、身体は、鈍る、かも。」
たわいない会話をしながらも、周囲への警戒は怠らない。
街を出てハンターとして活動する際、私は常に、サテラ、テクト、セイバーの3機を周囲に飛ばしている。
なお、フィーリアのケッタンとアオのテスタは、コントロールを完全に預けて好きにさせている。
私の3機は”探査”、”防御”、”迎撃”の体制を常に維持しておくためで、サテラによる警戒で魔物の不意打ちはほぼ受けなくなってる。
そして、そろそろフィーリアの言っていた洞窟にたどり着くかというとき、サテラの探査に反応が出た。
何が来ても対応できるよう、警戒度を上げる私達。
「あれ? これ魔物の反応じゃないかも。かなり弱っている感じだけど人間かもしれない。
怪我したハンターだったらほっとけないよね。」
「なら、フィーリアに見てきてもらおうよ。
もし危ないやつだったら、速攻で逃げるってことでさ。」
「なら、私がケッタンに目標を指示するから、フィーリアは状況の確認を頼むね。」
「おう、アタイに任せとけ! もしヤバい奴でもぶっ飛ばしてやるさ。」
言うが早いか、すぐにケッタンで飛び出していくフィーリア。
私たちも、急いで後を追って移動する。
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そろそろ反応のあった場所が目視できそうというとき、ケッタンに乗ったフィーリアがこちらに向かって飛んできた。
「いた! ボロボロに傷ついたハンターが倒れてた。まだかろうじて生きてるみたいだ。」
思わぬ緊急事態にファーリアの先導でハンターの元へ急ぐと、大きな木の根元にボロボロの装備を着込んだ男性ハンターが傷だらけで気を失っていた。
よく見ると、かなり上等の装備を纏った上級ハンターだと思われたが、その姿は見るも無残な状態になっている。
ルミーナが駆け寄り脈など容態を確認すると、まだ息はあるようだがけっこうマズい状態でもあった。
私は急いでヒーリィを呼び出すとすぐに治癒の魔法を傷ついたハンターに施す。
あちこちの出血も止まり、若干顔色も良くなったように見える。
「うう・・・、こ、こは? 俺は、どうなっ・・・??」
「大丈夫ですか? 私たちは採集依頼を受けて来た一つ☆ハンターです。
何があったんですか?」
意識を取り戻したハンターに声をかけるルミーナ。
「お、俺は森の・・、深部を探るギルドの・・、依頼を受けた三ツ☆のパーティーだ。」
助けたのは例の森の異変を探っていたハンターらしい。
「も、森の異変の原因がわかった。 森の奥にヒュドラがいた。
あいつが全ての元凶だ!! ・・・・うぐっ。」
「無理しないでください。」
「俺のことは、こ、このまま放おっておいていい。
このことを大急ぎでギルドに伝えてくれ!
俺たちに気がついたヒュドラは配下の魔物を放ってきたが、俺が囮になったから、すぐにここまで追ってくるはずだ。
俺はこのまま見捨てて構わん!、一刻も早くこの情報をギルドに・・・・!」
そこまで言ったところでハンターはまた気を失った。
「どうするの、ハバネ?
この人このまま見捨てるなんて、私できないよ。」
決死の形相でそう言い切るルミーナに対して、正論をぶつけるリーリィ。
「でも、この情報は重要で緊急。この人の判断は的確。」
「私にはハンターの仲間を見殺しになんてどうしてもできない。」
「「・・・・・!!」」
譲れない思いをぶつける二人に、私は冷静に告げる。
「言い合ってる暇はなさそうだよ。魔物の群れがもうそこまで迫ってるみたい。
このままじゃ、この人も私たちもただじゃ済まない。
とりあえず、動けないこの人を助けるためにも魔物を私たちで引きつけるしかないと思う。
その上で足止めか、できれば倒してしまえればいいんだけど・・・。」
さっきからサテラの探索に魔物の反応が出ていたけど、数は多いが速度はそれほどでもないみたい。
ただ、未見の魔物のようでどんな魔物かは判別できなかった。
「この人は治療したからすぐにどうにかなることはないはず。
このまま見つからないように隠して、私たちは魔物の群れを引きつけるようにして戦いやすい場所に誘導しよう。」
まともに相手にしても到底勝てる相手じゃないし、地の利だけでも有利にして勝率上げないとどうしようもない。
ただ、私には一つ試してみたいことがあるんだよね。
うまくいくかは全く未知数だけど、この状況だとできることは何でも試すしかなさそう。
「ハバネ、何か対抗できる方法があるの? 今の私たちじゃ魔物の群れなんて相手するのどう考えても無理だよ。」
「開けた窪地みたいな場所が近くにあるんだけど、そこに魔物たちを引っ張っていけないかな?
ちょっと試したいことがあるんだよね、うまくいくかわかんないけど。」
そう、私は巻物を見て思いついたことをここで試してみようと思ってるんだよね。
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