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#16 びっくり?!アオ君

 依頼の採集を終えた私たちは、アオを伴ってハンターギルドを訪れていた。


「ナタリアさん、今日の依頼完了確認をお願いします。」


 カウンターに居たナタリアさんを見つけて声をかける私たち。


「おかえりなさい。今日もまた変わった子を連れてきたわね。

 で、その子どうしたの?」


 私の側をふよふよと漂っているドローンに乗ったスライム『アオ』を見て、少し呆れたような表情を浮かべるナタリアさん。


「採取中によったセーフポイントにスライムが群れてたんだけど、その中の一匹に懐かれちゃったみたい。」


 寄ってきたスライムに手を伸ばして撫でながら、話を続ける私。


「でね、この子にアオって名付けて仲間にすることにしたんで、ナタリアさんもよろしくお願いしますね。」


 私がそう言うと、つぶらな眼(?)でフワフワとナタリアさんの方へ近づくアオ。


 好奇心からか指を伸ばして触ろうとするナタリアさんだったが、アオはその近づいてくる指に向かって触手を伸ばし軽くタッチする。


 驚いて目を丸くしたナタリアさんだったが、次に瞬間には満面の笑みでアオを抱き寄せていた。


「なにぃ? この子すっごくカワイイ! スライムってこんな子もいるのね。」


 その後、手の空いていた受付担当の女性も集まってきて、キャイキャイとアオを愛でている。


「(うんうん、わかるよ! アオの魅力は最強だよね、うんうん。)」


 その様子を見ながら、うちの子一番!と悦に入る私、そして呆れたような目で私を見るルミーナとリーリィ。


 なぜか、不機嫌そうな顔のフィーリアが見えたけど、あれってアオがチヤホヤされて嫉妬してる?

 それとも、弟分のアオが取られそうでヤキモチ焼いてるのかな?


 そんな珍しいフィーリアの様子を見ながら時間を潰していると、いつもの調子でフヨフヨとアオが私の側に戻ってきた。


「こほん、大変失礼しました。

 はい、本日の依頼の完了を確認しました。報酬と換金はいつものカウンターでお受取りください。」


 かわいいスライムを堪能しつくし、やっと自分の業務を思い出したナタリアさんが取り繕いながらいつものように応対を終わらせる。


「えーと、またアオ連れてきますから、可愛がってあげてくださいね。」


 ニッコリと笑顔を返してくれたナタリアさんをあとに私たちはギルドを出た。


---------------


 宿へ戻った私たちは、身体の汚れを落とし夕食を終えると部屋で寛いでいた。


 アオに何を食べさせたら良いかと思ったのだが、リーリィにスライムは基本雑食で何でも食べるのだと聞かされた。


 それこそ、岩石や金属まで溶かして吸収したという事例も残っているのだとか。


 アオは私たちと同じものでも問題ないようだったが、試しに薬草と干し肉とドーナツを同じ距離で並べた所、触手を伸ばしたのはドーナツをだった。


 たまたまかと思い色々品を変えて何度か試したが、触手で掴んだのは全てドーナツ。どうもアオは甘いものが好きらしい。


 そして、触手を使って器用にパクパクとドーナツを食べるアオを羨ましそうに見つめていたルミーナとフィーリアにも今度たくさんドーナツを作ってあげようと思った。


「むぐ・・・、そういえば・・・・」


 食べかけのドーナツを口に加えたまま、まだ試していない付与スキルがあることと、アオの乗るドローンにまだ何も付与していないことを思い出した。


「『念話』がケータイみたいにドローンを介して通話できる魔法だとしたら1機だけでは試せない・・・

けど、ドローンに後付け付与ができるかは試す価値あるよね。」

 

 ということで、早速アオごとドローンを両手で持って『念話』が付与されるようイメージしながら念じてみる。


 手応えのようなものを感じたので、ステータス画面でアオのドローンを確認してみる。


●[ドローン:No.10 テスタ]Lv.1

   +マスター :ハバネ

   +付与スキル:念話


 しっかり『念話』スキルが付与されていた。


「やったぁ、これで後付けでも大丈夫みたい。良かったぁ。」


「えー、なになに? 新しい魔法を付けたの?」


「アオに魔法ぉ?! なあなあ、アオ、何が出来るんだ?」


 好奇心でシッポを揺らすルミーナに、なにか勘違いしてるフィーリアが食いついてきた。


 その様子を不思議そうに眺めるアオは、いつもどおりフヨフヨしてる。


「フィーリア、違うからね。付与したのはアオじゃなくてドローンにだから。

 それもドローンを通して離れていても話ができる『念話』ってスキルなんだけど、

 もう一機、念話を付与したドローンが必要だから今は使えないよ。

 今のは、すでにあるドローンに追加付与が出来るか試しただけなんだ。」


「それじゃ、他のドローンも付与したらダメなの?」


 私の説明を聞いて、ルミーナが気になったことを聞いてくる。


「それは無理。今の私じゃ、一機に一つしか付与できないから、まだ何も付与してなかったテスタにしかか試せないんだ。

 持てるドローンも今は10機までで新しいのも作れないし、レベルが上って念話が試せるのはもう少し先かな。」


 話を聞いてすぐに興味をなくしたのか、「残念。」と一言つぶやいてルミーナは自分のベットに向かっていった。


「(・・・、おい・し・・、おも・しろい・・・)」


 ふいに声が聞こえて、驚いた私は唐突にキョロキョロと周囲を見渡す。


「ハバネ、急に、どうした?」


 私の不審な行動を見て声をかけてきたリーリィに。


「今、私に誰か話しかけてきた? ねえ、リーリィ、ルミーナ?」


「誰も話しかけてないよ。というか誰も声出してないよ。

 どうしたの、ハバネ?」


「えっ? でも今たしかに誰かの声が・・・」


 と、ルミーナに話しかけていると、また声が聞こえた。


「(・・・、はばね・・・、なに・なに・・・)」


 視線を感じて振り返ると、直ぐ側に私を見つめる(?)アオがいた。


「もしかして・・・、今のってアオなの?!」


 まさかと思いつつも、それしか考えられず思わず声が出ていた。


「(はばね・みた・・、こっち・・・、みた・・・)」


「マジかぁーーーー?!」


 再び聞こえた声に、驚きとともに確信を深める私がいた。

ドローンに乗るスライムはぜひ出したかったネタでした。

今後、うまく扱っていけるか不安ですが、可愛がってもらえれば嬉しいです。

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