表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/102

#12 森の異変

「で、報告したいこととは何だ? そこの妖精が関係しているのか?」


 真面目な顔でそう問いかけるギルマスのガリーさんを前に、私たちはお互いの顔を見てうなずく。


「今日私たちは、採取依頼を受けて森に入りました。

 そして、そこでデススパイダーと遭遇しました。」


 そう私が告げると、ギルマスたちの表情のみるみる驚愕の色が現れる。


「低ランク向けの採取エリアにデススパイダーだとっ?! ☆4クラスの魔獣だぞ!」


 ”魔獣”とは、高ランクで獰猛な危険度の高い魔物を呼ぶ言い方なんだって。


「ギルマス、街の近隣でそんな高ランクの魔獣が出たなど、ここ数十年なかったことです。

 ですが最近、そこまで上位ではないですが魔獣の報告がいくつか上がってきています。

 間違いなく、森の最深部で異変が起きているようですね。」


 深刻な表情で話し合いを続けるギルマスとサブマス、ナタリアさんもこころなし顔色が悪く見える。


「それで出会ったデススパイダーは、この妖精、フィーリアと協力して私たちで倒しました。

 証拠として死体も持ってきてます。」


 私の話に乗っかってケッタンの上でドヤ顔で仁王立ちのフィーリア。 が、それどころではないギルドの三人。


「「「はあっ?!(ええっ?!)」」」


 私の言葉を聞き、そろって驚愕する三人。


「デススパイダーを倒しただと?! 定評のある☆4ハンターか、実力のある☆3パーティでも勝てるかどうかって相手だぞ?!」


「えーそれは、このフィーリアの強力な攻撃魔法のおかげというか、なんというか・・・あははは。」


 このあと、フィーリアとの出会いから、デススパイダーの存在を知り、フィーリアの手助けをして、デススパイダーを倒すまでの経緯(いきさつ)と、その後フィーリアから聞いた里の長老の推測を説明する。


 驚かれ、呆れられ、激怒され、感心されながら、ギルドの三人は私たちの話をなんとか飲み込んでいった。


 私からの話が終わると、ギリーさんは大きなため息をつき、乗り出していた身体をどっかとソファーに沈み込ませる。


「ふぅーーーっ!

 どうも妖精長老の推測ってのがアタリな気がするなぁ。」


 今集まっている情報から導かれる推測、それに最も当てはまりそうなのが長老の話なのだろう。


「確かに否定する要素がほとんど見当たりません。

 ですが全ては状況証拠、今の状況ではまだギルドは動けませんよ。

 なにより確実な情報が必要ですね。」


「そうだな、とにかく確認が必要か・・・。

 よし、上級ランクパーティに森の最深部調査の指名依頼を出そう。

 まずは、その結果を見てから判断しよう。」


「では、そのように事務処理を進めておきます。ギルマスにはあとで裁可をお願いします。」


 お仕事モードのナタリアさんがテキパキと事務仕事を進めていく様は、さすがベテラン職員と言った感じだ。


「報告は、これで終わりか? ならお前たちはもう帰っていいぞ。

 ああ、それからかなり貴重な情報でこちらも大助かりだ。

 報奨金に上乗せするように言っておく、後でナタリアから受け取っておけよ。

 今日はご苦労だった、ゆっくり休んで疲れを取っておけよ。」


 そう言うと、サブマスと向き合ってまた難しい顔で話し合いを始める。


 部屋をあとにした私たちは買取カウンターでデススパイダーを取り出し、その場の職員を凍りつかせた後、ナタリアさんから報奨金と蜘蛛の買い取り金を受け取った。

 思いの以上の高額に驚いたりしつつ、草原の子羊亭に帰還した。


 もう疲れがピークに達していて夕食をなんとか腹に詰め込むとそのまま泥のように眠りについた。


 ちなみにフィーリアは、洗濯物を入れるカゴにクッションを詰め込んだ急ごしらえのベッドで眠ることに。


 まあ、本人は嬉しそうだからこれでいいよね。今度ちゃんとした寝床(ベッド)を買ってあげよう。


---------------


 そして翌日、いつもより遅い起床となったのだが、なぜかフィーリアが私の顔に張り付いていた。


「ううー、うむー、んーんー・・・、ぷはっ!(ポイッ!)

 もう、なんであんた、私の顔に張り付いてんの?」


 想像以上に強い力でしがみついていたフィーリアを、なんとか引っ剥がし枕に向かって放り投げる私。


「ふあぁーー、よく寝たぁ。 あれっ? アタイなんでこんなトコに寝てんだぁ?」


「何言ってんの? あんた私の顔に張り付いて寝てたのよ。」


「しらないよぉ。 なんか気持ちイイところで寝てた気がするけど・・・、ふあぁー。」


 朝からマイペースな妖精だなぁ、まったく。


「ところでフィーリア、翅の方はどうなの?」


 昨夜の夕食後、部屋の戻った私は治療系ドローンのヒーリィによるフィーリアの治療を試してみた。


 さすがに一回で完治とは行かなかった。


 私たちのレベルが低いこともあるが、フィーリアの翅のダメージは、人間で言う複雑骨折みたいなものでかなり重症といえる。


 今のヒーリィは、体表の軽い傷を治せる程度なので重症を治すのは荷が重かった。


 更にこの世界の治癒魔法というのは重ね掛けすれば治るというものでもないようで、傷に応じた適切なレベルの治癒を行うのが正しいやり方なのだそうだ。


 それでも1日一回の治療を継続して行うことで、低レベルの治癒魔法でも完治までの期間を縮める事ができるのだということだった。


 それでもフィーリアは嬉しいと言ってくれたけど、まあ私とヒーリィのレベルアップにもなるので、こちらが感謝したいくらいだったりする。


 そんなこんなで朝食後の予定なんだけど、今日から数日はハンター活動はお休みにしたので、今日のところはそれぞれ好きに過ごすことした。


 ルミーナは、今回酷使した装備のメンテと新しい武器探しをするようだ。


 リーリィは、図書館で新しい魔法が習得できないか関連書籍を探してみるそうだ。


 フィーリアは、あちこちの屋台で買い食いもするというルミーナにくっついて行った。


 私は一人、部屋に残ってスキルの見直しというか再検証をするつもり。


 これまでのハンター活動でいくらかレベルも上がったようで、最初の頃に比べてスキルの使い勝手が変わってきていると感じたからだ。


 そこで最初に確認するのは、ステータス画面だ。


 といっても、もともとそんな機能はなかったんだけど、スキルレベルの上昇とともに使い勝手も上がってきたらしい。


 最初の頃は、なんとなく頭に浮かぶと言うか、意味が伝わって来るという感じで、記憶や思い出を思い浮かべているような認識だった。


 それが最近変化してきて、馴染みのあるゲーム画面のような明確なイメージとして認識できるようになってきたのだ。


 これは、スキルが能力を向上させるとともに、私にとって使い易くなるよう進化しているのだろうと思う。


 まあ、この方がいろいろハッキリ理解できて便利だから何も文句はないよ、うん。


「こうしてみると、いろいろハッキリ数値が上昇しているなぁ。身体能力の上昇が特に顕著だね、まあ元が低過ぎたとも思うけどね。」


 身体的なステータスはこのまましっかり伸ばしていくということで、次はスキルを確認しよう。


●[取得スキル:ドローン創造]Lv.3

   +ドローンサイズ :コモン

   +付与(1機)  :+1

   +付与魔法    :火系Lv.1、水系Lv,1、土系Lv.1、

            :風系Lv,1、無系Lv,1、治癒系Lv,1

            :光系Lv,1、闇系Lv,1、時空系Lv,1

            :念話Lv.-

   +制御機数    :+10

   +付与スキル   :

     +ペアリング :ドローンに対してのサブマスター登録

     +念話    :念話を付与したドローンを介してサブマスターと

             意思疎通が可能

     +      :


 最初の頃はなんとなくできるできないって認識してたことが、今はハッキリ見えるになってるな。


 まず、ドローン創造スキル自体がレベル3に上がってるみたいだ。でその先は詳細ってことのようだね。


 ”ドローンサイズ”ってのは、今創れるドローンのサイズみたいで、コモンっていうのは今の子達のサイズらしい。


 コモンってたしか普通とか標準って意味だったよね。


 レベルが上がればサイスも成長するらしいから、これはちょっと楽しみだね。


 次の”魔法付与数”は、ドローン1機に対して付与できる数のようだ。確かに一つしか付与できないのは分かってたよ。


 ”付与魔法”は、私が付与できる魔法の種類とそのレベルのことらしい。


 レベルが無いのはまだ付与したドローンを創造してないからだろうね。


 火水土風はそのままの属性魔法で、治癒系もそのままだろう。


 光、闇属性は具体的に何ができるかよくわからないや。今度リーリィに教えてもらおう。


 時空属性は、異空間収納や空間転移とかだろうか・・・、できるのかな、空間転移???


 無属性っていうのは、これらに当てはまらない身体強化や構造強化、防御系とかになるのかな。


 うーむ、魔法のお勉強ガンバらないといけないかも。


 それから”制御限界機数”は、創れるドローンの総数か、一度に動かせる総数ってとこかな、今度確かめておこう。


 最後に”付与スキル”ってのがあるが、ペアリング? サブマスター??


 ああ、そうか! フィーリアの言うとおりに動くドローン使った時のアレがそうなのかも!


 ふーん、私以外の言うことを聞くドローンが作れるのかぁ。これは良いかも。


 そのうち、ルミーナとリーリィ専用のドローンとか造っちゃおう!


 あと、この念話っていうのも気になるけど、付与枠が一つじゃまだ試せないよねぇ、念話専用機になっちゃうし。


 それに、派生スキルの後の空欄もちょっと気になるね。今後の成長で新たなスキルが出てくるんかもだよ。

読んでいただきありがとうございます。

更新遅れ気味で、申し訳ありません・・・(汗

まだまだ続ける気満々ですので、

これからも応援してもらえるとありがたいです。

---------------------------------

2021/02/05(追記)

(元)ドローンサイズ:ミニマム

(改)ドローンサイズ:コモン


(元)+派生スキル

(改)+付与スキル


(元)ミニマムっていうのは今の子達みたいな玩具サイズのことらしい。

(改)コモンっていうのは今の子達のサイズらしい。

   コモンってたしか普通とか標準って意味だったよね。


(元)最後に”派生スキル”ってのがあるが、ペアリング? サブマスター??

(元)最後に”付与スキル”ってのがあるが、ペアリング? サブマスター??


 のちの展開と整合を取るために表記表現を一部修正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ