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#96 初めての殴り込み、無事完了!

「やったぁ、完全勝利ぃ!!」


「お姉ちゃんたち、すごいすごい!」


 フィーリアもニコニコ顔でラズリとはしゃいでいる。


「ん、今の私たちなら、当然のコト。」


「メンテナたちとの鍛錬じゃどのくらい強くなったかよく分からなかったけど、こうやって外の人と戦うと自分の強さがよく分かるかも。」


「そして、これで当面の問題も解決したのですね。良かったのです。」


 みんな、やり切ったという達成感をみたいなものを感じてか満足げに笑っている。


「マジかよ・・・。」

「あんな小娘たちが・・・、信じらんねぇ。」

「今絶賛売り出し中の猛者だったんだぜ、それを・・・。」

(((((ざわざわ、ざわざわ・・・・・)))))


 嬉しそうにはしゃいでいる私たちとは反対に、信じられないという顔でドラゴ・ファミリスの構成員たちが皆呆然としている。


「ねえ、大親分さん。私たち勝ったんだから約束守ってよね。」


 親戚の叔父さんにでも話しかけるような気軽さで呼び掛ける私。


「おお、確かにそんな話をしていたよなぁ。

 ああ、分かった! 約束通り、今後俺の目の黒い内はうちの息がかかった連中からお前たちに手を出すような真似は一切させねぇ。」


「分かった、この件に関しては信用することにする。」


 これでこの件も片付いたかなぁと思っていると、不意打ちで親分さんが爆弾を投げてきやがった。


「これで組織として繋がりは完全に無くなったわけだが、俺個人が友として付き合うのはアリだよな。

 お前らみたいな面白い連中、これっきりで縁が切れるのは勿体ねぇ。

 話し相手でも良いから、たまには遊び来な!」


 悪戯っ子のような顔で、そう言い放った親分さんを見て、私は頭を抱える。


 ルミーナたちも呆れ顔で私を見ている。


「えーと、ちょっとタイム。

 親分さんの提案、みんなと相談するからちょっと待ってね。」


 そう言って頭上に風属性ドローンのエアーを浮かべると私たちの周囲に遮音結界を張った。


「ねえ、みんなどう思う? 親分さんの話、信じて良いのかなぁ。」


「友達にならなっても良いじゃない、あのおじさん、ギルドのお爺さんハンターに似た雰囲気がしてて、そんなに悪い人じゃない気がするし。」


 ルミーナは言葉や態度は荒っぽいが皆に信頼されている老ハンターとイメージをダブらせているらしい。


「ちょっと待つのです。自分の勢力に取り込む策略かもなのです。気を付けるのです。」


 情報通のミリアは商会を通じて集めた情報からか今一つ信じ切れないようで、まだ警戒を解いていないみたい。


「回復士やポーションとか、しっかり用意させてる、ただのあらくれ者、じゃないかも。

 でも、配下や格下、そういう扱い、されてらダメ。

 ハッキリ、対等だと、言質を取る。これ、絶対必要。」


 リーリィは曖昧にせず、隙を見せず、しっかり言質を取れば友達になるのもアリだと考えているようだ。


「ハバネの好きにすれば。アタイはどっちでもいいし。」

「わたしもよく分からないから、どっちでも良いよ。」


 ラズリやフィーリアにはちょっと難しい話だったかも。


「私は友達になっても良いかなって思ってる。

 親分さんだけじゃなくて、この宴会場の雰囲気もそんなに殺伐としてなくて、なんか楽しそうな感じさえしてた。

 そういところに大親分さんの組織のまとめ方が出ている気がする。」


 私の言葉にみんなの表情に拒絶の色はない。


 私は消音結界を解くと、大親分さんに向かって呼びかけた。


「うん分かったよ、友達としての付き合いならいいよ。」


 新入生が友達作るみたいなノリでさっきの話の返事をする。


「よし、今日から友と言うことだな。がははは

 なら、これからはいつでも遊びに来るとらな。うまいモノや楽しい所を色々教えてやろう、楽しみにしてるぜ。

 それになぁ、友としてでも俺との繋がりができた広まれば、裏に繋がりを持つ者や情報源のある組織もお前らにはもう手を出さなくなるだろう。

 世間知らずの馬鹿な小者は知らんがな。」


 大親分さんの返しも、もうまんま田舎の親戚の叔父さんみたいな感じだ。


 でも、最後のはこちらにとって悪くない話なんだけど・・・ねぇ。


「うーんその程度なら私たちでもなんとかできるかなぁ。

 それでも今の鬱陶しい騒動は治まりそうだから、それはちょっと嬉しいかも。

 それじゃあ、用事も済んだし、私たちはこれでお暇するとしますかね。 バイバイ大親分さん。」


「おおう、もう行くのか。まあ今日は楽しかったぜ、またいつでも遊びに来な!」


 私たちは、皆の目の前でホバーを呼び出し装着すると、ふわりと宙に浮かび上がる。


「おいおい、次から次へと面白いもん見せてくれるじゃねぇか、がはははは。」


「「「「「おおおーーー、と、飛んだっ!?」」」」」


 ざわざわと騒めくその場から上空に飛び上がった私たちは、行動を上げてから隠蔽魔法をかけて姿を消し、浮島への帰路につく。


 浮島への飛行中、今回の出来事を思い出しながら話が弾む。


「やっぱ、思ってた通りのやくざの親分だったなぁ。

 ルミーナはどうだった?」


「まあ、武闘会自体が毎年の恒例行事だったみたいだし、楽しいイベントって噂だったからね。」


「それに想定通りの流れだったわけだけど、けっこう面白い相手とも戦えたよね。」


「面白い魔道具や戦い方が見れて、ミリアは楽しかったのです。」


「ハバネのトンデモ知識、アテルサたち自動人形(オートマタ)のしごき、しっかり身についてた。

 私たち、しっかり、強くなってた。」


「私も楽しかったよぉ。 

 でももっといっぱいしゅぎょうして、もっともっと強くなるぅ!」


「今度は、アタイも一人で戦ってみたいよなぁ。でもラズリたちとの戦いも面白かった!」


「うんうん、フィーリアやアオちゃんもすごかったよね。」


 なんだかんだ言って、ヤクザの事務所への殴り込みみたいなことを楽しめるようなっているなんて私たちも強くなったもんだね。


 えっ?! 肝が据わっただけだって。


 まあ、どっちでも良いけどね。

読んでいただきありがとうございます。


これからも応援してもらえるとありがたいです。

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