何も分かってない
「おーい 明河、夕食できたぞ」
「もう そんな時間!?」
「紅什も 待ってるから
早く来るんだぞ」
「はーい!」
階段をおりて
紅什の隣の席に座った
「紅什あの後 どこ行ってたの?」
「お前には関係ない」
「もう…またそんなこと言って…」
「紅什は明河が部屋にいる間
明日の実験の準備をしてくれていたんだ」
「おい!」
「なんだ? 言ったら悪かったか?」
「チッ…」
「そうなんだ〜!
優しいとこあるじゃんっ」
「うるさい、 黙って食え」
私は 理玲さんと目を合わせると
フッと笑って 食事を続けた。
「ごちそうさまでした。
美味しかったです」
「明河の料理よりマシだな」
「なんだ、明河の料理は
そんなに 酷いのか?」
「そんなことありません!
紅什は きゅうりを 出すから
まずいって言うんです!」
「あれは 食べ物じゃない…」
「まぁ ほとんど水分だから
栄養価はほとんどないしな…」
「理玲さんまでそんなこと
言わないでくださいよ!」
そんなことを言っていると
いつの間にか 時間は過ぎていて…
突然 私の 携帯が 鳴った。
「どうしたんだ?」
「由凪さんからです…出ていいですか?」
「あぁ もちろん」
『もしもし 由凪さんですか?』
『あら、やっと出てくれた〜!
もしもし〜? メイちゃ〜ん?』
『はい、 どうしたんですか?』
『どうしたのって それは
こっちのセリフよ〜!
メイちゃん、貴方今どこにいるの?』
『理玲さんの お家ですけど…』
『だったら はやく帰ってきて
ちょうだい! ミッちゃんの
家が大変なのよ!』
『え!? 博士の家が!?』
「どうしたんだ?」
「マスターがなにか
やらかしたみたいだな…」
「博士の家が大変なことに
なってるみたいです!!
もう 明日の朝 すぐに帰らなくちゃ…」
「そうか、新井田も 変わらないなぁ」
私達は 部屋に戻り
すぐに荷物をまとめた
「本当に帰るのか?」
「帰るよ! 当たり前でしょ?」
「ここに2、3日いる予定だろ」
「でも 博士が大変なんだから
しょうがないでしょ?」
「あっちに戻ったら
ここみたいな 設備も 材料もないんだぞ」
「そんなの関係ない
博士の方が大切でしょ!」
「俺には お前が成功する方が大切だ」
「っ!… それでも 明日の朝に
ここを出るの!貴方も一緒に」
「チッ…」
紅什は 何も分かっていない
何も分かっていないから
そう言ったんだと思った。
その後 私達は
同じ部屋で寝たが
一言も話すことは無かった