心臓(?)の音
それから始まった
私と紅什の生活は
想像以上に大変で…
「おい まだ 発明の準備をないのか」
「博士の朝食作らないといけないの!」
「お前は そうゆう作業は
機械がやればいいと言ってただろ
お前は 機械以下なのか?」
「私は 博士の弟子なの!
そんなこと言ってる暇があるなら
手伝ってよ!」
「それは俺の仕事じゃない」
今までの 食事 洗濯 掃除に
1人分増えて 大変なのに
紅什は 文句が多いし…
発明の準備もしなくてはいけない
「最近 随分と忙しくしてるな」
「そうなんですよ 博士…
紅什の設定だけでも変えてくれませんか」
「それは 出来ないな〜
あれが人間らしくて いいじゃないか」
「でも…」
「そんなに 大変なら、気分転換に
細川の所に遊びに行ったらどうだ?」
「理玲さんのところですか?」
「理玲とは 誰のことだ?」
「細川理玲さんは 隣町の友人だよ」
「細川のところなら
動物の脳ぐらい用意してくれるだろ」
「そうですね!
私 後で 電話してみます!」
ウキウキで
食器を洗っていると
紅什が背後から話しかけてきた。
「細川と言う奴は
臓器売買でもしているのか?」
「なっ! そんなことしてる訳
ないじゃない!」
「なら なぜ 動物の脳を
簡単に用意できるんだ」
「理玲さんは 科学者で
生物について 詳しく研究されてる方なの、
だから 実験に必要なものは
支給してもらえるのよ」
「お前には 支給してもらえないのか?」
「私の発明は 完成してないし
成功する見込みがあると
思われてないのよ…」
「当たり前だな」
「そんな言い方しなくたっていいでしょ!」
「未来のない奴に投資したところで
無駄だ」
そう言って 紅什は
私の実験室の方へ行ってしまった
「未来がないって…
見込みがないって 言われたとしても
私は 諦められないから…」
私も 急いで 洗い物を済ませると
実験室に戻った
「なんだ、 細川に連絡はついたのか?」
「うん、スクーターに乗っていくよ。
準備して」
2、3日分の衣服や実験の材料を
バッグの中に詰め込んで
スクーターを出した
「そんなものに乗っていくのか?」
「文句言わないで、これが
1番速いんだから」
「お前の運転は安全なんだろうな?」
「うるさいっ! 黙って乗るの!」
ヘルメットを被って
スクーターの電源を入れると
スクーターはフワッと宙に浮いて
走り出そうとした時
「おーい! 明河!」
「え? 遥斗!?」
蕣 遥斗は、隣に住んでいる
科学者志望の友人。
「どうしたの?」
「いや、 新井田博士に
明河が 細川先生のところに行くって
聞いたからさ」
「そうなの、 じゃぁ遥斗のとこも
よろしく伝えとくよ」
「ありがとな!…それより 、
後ろにいるのは友達か?」
「いや、紅什は 博士が作った
ロボットなの」
「へぇー よく出来てるな!
さすが 新井田博士だ!」
「そうなの! でも このあと
私が 人情を埋め込んで
もっと凄い ロボットにするの」
「へぇー、まぁ頑張れよ」
「信じてないでしょ!?」
遥斗は 歳が近いから
相談したり 一緒に
話したりすることが多い良き友人。
話に夢中になっていると
突然 スクーターが走り出した
「ちょっと! 危ないよ!!」
「うるさい、お前の話は長すぎる」
「でも 危ないから ハンドル代わってよ!」
「いいから 俺に任せて お前は道案内をしろ」
紅什は 私の後ろから
手を伸ばして 運転してるのにも
関わらず 丁寧な運転で
丁度 耳が紅什の胸に当たって
少し早めの 鼓動が聞こえた