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異世界バスツアーにようこそ  作者: ルンルン太郎
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異世界生活3日目終了

 山田太郎はアパートを出てバス停に向かう。20キロの重りを外したのと、筋トレの効果なのか、体が軽く感じた。明日は重りを増やして付加を上げてみよう。いつもより3分も早くバス停に到着した。

 深夜には誰も人通りがない。無人のバス停。すると、火の玉のような物がバス停にやってきた。それが人の形になった。いつもの幽霊先輩がやってきたようだ。


「やあ、今日は早いね。異世界生活には慣れたかい?」


「まだまだですね。錬金術師の所で薬草を集めながらスライムを倒してます」


 すると、幽霊先輩は昔を思い出すように言った。


「俺と鈴の異世界生活3日目には2メートルの巨大なボブゴブリンを鈴が短剣をノドに向かって投げて倒しててさ、トロールも後から現れて、鈴が短剣で何度斬ってもすぐ再生しちゃってさ、俺にボブゴブリンが使ってた大剣を使えって鈴が言うんだ。重くってさ、とても振り回せないの。そしたら鈴がトロールのアキレス腱を切って、前のめりに転ばせて、首を斬れっていうのね。少しずつ再生速度を超える切り口を入れていって、3回目でようやく首を切り落として勝てたのさ」


 と語り出した。3分ほどの話を大人しく聞いていた。すると、幽霊先輩は太郎の肩を叩き、こう言った。


「君は筋肉の付け方が常人の何倍も早いようだね。僕でも4時間で新たな筋肉が作られるくらいだったんだ。君は最短時間とされる2時間かも知れないな。君には大剣が向いてると思うよ。鈴の良い相棒になってあげてくれ。鈴は任せたよ」


 幽霊先輩はそう言うとすっと火の玉に戻りどこかに消えていった。それから少しして異世界バスがやってきた。今日は荷物がない。昨日無理して運んだからバッグだけだ。

 異世界バスに乗り込むと、アザゼルがいなかった。女性の案内人が一番前の席に座っている。

 制服姿ではわからないが、胸はかなりのボリュームがありそうだ。推定Gカップ。


「むむー! 君はいい筋肉してるにゃー」


「いえ、それほどでも。今日から鍛えたばかりなので。お姉さんいつまで案内人するんですか? 何日来れます?」


 と太郎は女性の案内人に聞いた。


「んー、アザゼル先輩の怪我が治るまでかな。昨日無理なクエストを選択して乗客9人も死なせるし、自分も瀕死の大怪我するしで最悪でさ、代打でこのサターナ選手がやってきたって訳さ!」


 これが幽霊先輩が言ってたオススメのサターナか。


「今日は3000円しか持ってきてないけど、明日3万円持ってくるのでよろしくお願いします! あ、俺の名前は山田太郎です」


「おー! 君かい噂の山田太郎くん。オーラの量が半端ないらしいね。気合い入れてみ?」


 太郎は何だか知らないが全力で気合いを入れてみた。魂を燃やす感覚。心臓の横、丁度、真ん中に位置するみぞおちの少し上辺りに魂がある気がしているんだ。


「おー! 凄い見事なまでのサンライトイエローの輝きだねえ。これは美味しそうだ…ふふ」


 サターナは舌で唇をペロリと舐めた。


「君は僕と付き合いなさい」


「はあ!?」


 サターナは突然とんでもない事を言った。3人同時に、はあ!? と叫んだ。


「ごめんなさい。今俺、好きな人がいるんです!」


「よくぞ断った偉いよ太郎くん」


 いつ現れたのかいつのまにか太郎の背後に立ち、頭を撫でながら鈴が言った。


「あんなエロ女とやったらダメだからね。生気を吸いとられて、他の女の子で満足できなくなるし、後から最悪になるよ前に見たことがあるんだ」


 ゆっけは畳み掛けるように凄い勢いでそう言うとむふーと息を吐いた。

 

「私は諦めないにゃーじゅるり」



 市場後ろの座席に座っても太郎から目を離さないサターナ。いやらしく淫らに太郎を挑発する。すると、鈴とゆっけが両方から太郎の肩を抱いた。両方の胸が密着する。ゆっけはFカップ鈴はEカップくらいか。太郎の優れた感覚は優秀なおっぱい測定機としても機能していた。

 こうして、太郎とサターナが出会った。異世界バスが目的地に着くと、鈴とゆっけのボディーガードがしっかりと太朗を守りバスを降りた。


「あー、腹立つ。今日は錬金術師の店には行かなくていいわよ。薬草も毒消し草も沢山あるし、食べ物も届けてあるでしょ? 今日は私のおごりで食べて飲んで大騒ぎだー!」


 太郎はすき焼きを食べなかったらよかったと後悔した。酒は飲めたが、食べ物が喉を通らない。仕方なく腹ごなししようと、冒険者の大剣を借りて素振りをしたいと鈴に言ってみた。


「ねえ、冒険者さん。1ゴールドで少しその大剣貸してくれない? お腹空かせる為にこの場で素振りをしたいんだって」


「これは伝説の鈴さん! どうぞどうぞ!」


「ありがとうございます!」


 鈴に頼むと何でもスムーズに行く気がした。大剣も借りる事が出来たし。4キロ180センチの大きな剣を酒場の隅っこで素振りする太郎。最初は重そうだが、回数を重ねるごとにその剣速を増していく。筋肉の限界まで素振りを続け、太郎は水を飲んで肉を食べた。


「おー! 兄ちゃん凄いぞ! まだまだ細いがいい腕をしている! もっと飲んで食ってでかくなれ!」


 大剣を貸してくれた冒険者が誉めてくれた。幽霊先輩やサターナも誉めてくれたし、本当に大剣向きかもなと太郎は思った。今日はいい日だ。太郎は気分が良くて、大いに食べて飲んだ。だが、かなりいや、物凄く酒を飲み過ぎた。意識を失い無意識で歌いまくり、アンコールにも応えて人気歌手のライブ並に大盛り上がり。いつしか控えめな青年はスターのようになっていた。そして、酔い潰れてしまい、鈴とゆっけが異世界バスに運び込んだのだ。そして、太郎が目を覚ましたとき、鈴の部屋にいた。甘いが爽やかな香りがした。フローラルとシトラスが混ざったような素敵な匂いだ。



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