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異世界バスツアーにようこそ  作者: ルンルン太郎
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異世界生活3日目開始

 山田太郎は朝起きると毎日そわそわするようになった。異世界に行きたくて仕方ないのだ。

 ゲームとは違う命を伴う緊張感。スライムの食らえば溶かされて即死の体当たりを避けて倒した時の達成感。

 仲間との冒険要素は低いが、これから金が貯まればツアーに参加してみてもいい。アザゼルというガイドは良くないとので、サターナというガイドが来るときを狙ってみよう。

 体を動かしてないと落ち着かない。太郎は鉄線バットの素振りを200回やった後に、スーパーで買いだめしてあるサラダチキンと生野菜のサラダに鮭の切り身と卵と玉ねぎの味噌汁を食べた。そして、通販で届いた段ボールの中に雑誌や小説、漫画を詰め込み、それを背中に乗せて腕立て伏せをして、その後で段ボールを抱えてスクワットをした。

 通販では鉛を入れて鍛えるベルトとアンクル、リストバンドを購入した。それを身につけ、散歩に出掛けた。20キロの重りをつけてるので、歩く速度が遅くなる。街の木や花をゆっくり見て回る余裕が出来た。帰りは重さに慣れてきた軽く走ってスーパーに寄った。

 スーパーではすき焼きの材料を買ってみた。筋肉トレーニング開始のご褒美だ。1500円もする肉だ。4500円の肉もあったが、何かのお祝いでもない限り買う気にはなれなかった。椎茸やえのきは沢山買った。キノコは低カロリー高たんぱく質なので筋肉に良さそうだからだ。

 家に帰る途中の小さな公園の前で野良猫っぽい猫が足にすり寄ってきた。撫でると気持ち良さそうに喉をゴロゴロと言わせる。近くのコンビニで猫の餌を買った。公園に戻り、猫の生活スペースを探した。公園の遊具に屋根つきの軽く秘密基地気分を味わえる遊具がある。その中に空の餌皿が置いてある。


「ここがお前さんの家かい。ほら、お食べ」


 スーパーの椎茸が入っていたパックに猫健康というカリカリの上に猫まっしぐらという噂のカルニャンという生タイプの餌を乗せた。野良猫は喜んで一心不乱に餌を食べる。その間に元々あった餌の皿を公園の水道で軽く洗い、水を入れた。カリカリをいい音で食べた後に、ぴちゃぴちゃと美味しそうに水を飲む。それから毛繕いに入った。野良猫はお腹いっぱいになった幸福感に満たされたのか毛繕いが終わると眠りについた。


「ごめんな。飼ってあげたいけど、いつ死ぬかもわからない身なんだ。生きていたら毛布持ってくるよ。屋根はあってもコンクリートの遊具の上じゃ寒いだろって俺のバカ。明日じゃなくて今だろ」


 山田太郎は自分を軽く殴り急いでアパートに毛布を取りに行った。毛布をそっと猫に掛けてやって、その場を後にした。カリカリと生タイプの餌の残りはそのに置いてきた。他に世話してる誰かが与えてくれるだろう。例え俺が死んだとしても。

 アパートに着くと汗の染み込んだジャージを全自動の洗濯機に放り込みパンツとシャツも入れた。風呂にお湯を入れて溜まるまでの間にスマホゲームの繰り返し戦闘をセットして放置する。スタミナが無くなるまで延々と何度も戦ってくれる神機能だ。

 体をくまなく綺麗に洗い、風呂に入り防水のテレビを見た。何やら全国で通り魔事件が起こっており、大きめの刃物で切られたような後があるらしい。それから風呂場を出て、終わった洗濯物をベランダに干した。

 そのまま、すき焼きを作り美味しく食べた。腹も満たされ、先程の野良猫のように眠った。目覚ましで目覚めると深夜になっていた。


「さあ、命がけの異世界生活開始だ!」


 山田太郎はとりあえず、スマホゲームに10万課金するのを目標に頑張ってみる事にした。

 本来なら異世界の武器を買うのが先の気がするが、短剣では3匹も切れば血の油で滑って切れなくなる。その点、鉄線バットでなら何匹でも殴れるので満足していた。ゾンビの海外ドラマで何体も切っていたので大丈夫かも知れないが、身近な道具で倒して、手に入れた敵の武具を売って金を貯める計画を辞めるつもりはなかった。

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