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異世界バスツアーにようこそ  作者: ルンルン太郎
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異世界生活半年後

 山田太郎は鈴が車椅子生活になってから異世界バスに乗らなくなった。鈴の部屋に一緒に住むようになり、身の回りの世話をする事にしたのだ。だが、鈴の所有する貨物船で異世界には来ているようだ。太郎と鈴が来なくなった異世界バスはゆっけがリーダーとなっていた。


「やあ、皆こんばんは。今日は魔王軍の撃退よ。魔法石を付けた装備しか効かないから、新人さん達は冴子達と薬草集めしていてね」


 ゆっけはリーダーとなって適当な性格が真面目になった。いつも異世界で昼寝するのが日課のゆっけが休みなく動いている。それと言うのも鈴が再起不能となって魔王軍の動きが活性化した為だ。鈴の驚異が去った今、魔王軍はやりたい放題だった。


 魔王軍は強力だったが、倒すと巨大な魔法石を落とすので異世界バスの乗客の装備は充実して行った。そして、頭角を現す乗客も増えてきた。そのひとりが空手家の覚田次郎だ。鋼の拳に鋼の脛当てを身につけた彼は魔法石も身につけると、山田太郎並みの活躍を見せた。


 他にはダンサーの美原流星だ。彼の流れるような回避能力は山田太郎の回避力に匹敵する。肘と足に自在に出し入れ可能な鋼鉄の刃を身につけた彼は踊るようにゴブリン達を倒していた。魔法石を身につけてからは、風の力を手に入れて風に乗って空高く飛べるようになった。急降下からの攻撃は大型のボブゴブリンやトロールやミノタウロスも一撃だ。


 ボクサーの樋口政宗も竜の皮で作られた拳を武器に敵を倒し、電の右拳と氷の左拳とを武器に大暴れしてていた。ボクサーであるため、攻撃力も回避力も申し分ない。だが、何故か太郎の方が優れているように思えてしまう。異世界バスの乗客達は太郎の復帰を待ちわびていた。


「俺達、太郎さんに憧れて鍛えてきたけどさ、少しは近づけたかな……」


 ボクサーのマサムネがダンサーのリュウセイに質問する。


「どうだろう。太郎さんは念動力に目覚めたらしい。もう超能力者だからな。まだまだ遠い気がする」


「念動力? 何だそれ」


 マサムネが質問するとリュウセイが答える。


「サイコキネシスの事さ。手を触れずに物を動かして貨物船のコンテナを積んだり、無数の剣を操って敵を一気に倒したり、強く念じて頭を弾け飛ばしたり、吹き飛ぶ事をだけを念じたら何キロでも吹き飛ばす事が可能らしい。弓矢もその要領で跳ね返す事が出来るから守りにも使えるとか」


「何それ凄いな。でも、可哀想だな。鈴さんを癒す力を探しているのに自分は攻撃的な能力だなんて」


「そうだな。癒しの能力に目覚める人がいたらいいが。隣の国のアルムヘルドで斎藤侑希という女の人が治癒の能力を持っているが、それでもダメだったらしい。それでも太郎さんは諦めずに世界の果てを旅して回っているとか。鈴さんと会えるのも1週間に1回になってきたと聞いたよ」


「それは辛いな。あの2人ってお互いを支えにしている感じだろ?」


「ああ、そうだな。寂しいだろうな。お互い」


 異世界バスの話題は毎日太郎の話題ばかりだ。太郎のように異世界生活を送る。彼は模範のようになっていた。彼は今、鈴に次ぐ実力者として様々は伝説を残していた。ドラゴンから町を守ったのを皮切りに、アルムヘルド軍の撃退。ひとりで砦に囚われた捕虜の救出。魔王軍もひとりで200体を倒したという。相棒のガイルと共に様々な実績を積み重ねてきた。


 キングスレイトンの田舎町スレッジヘルズに到着し、冴子達と初心者達は降りて、ゆっけ達は王都キングスレイトンで降りた。高志はキングスレイトン城に住むことになった。太郎と鈴がいない異世界バスツアーはとても寂しい。サターナもずっと元気がない。自分のせいであの悲劇が起こったと今も気にしている。

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