異世界生活9日目開始
山田太郎は昨晩、異世界バス参加者全員の連絡先を手に入れた。そう、つまり鈴の連絡先も含まれてる。太郎はドキドキしていた。もしも連絡が来たらどうしようと。だが、来なかった。遅くなった朝食を取り、仕方ないので筋肉トレーニングに励む。
汗だくになり、シャワーを浴びにいく。昨日のトレーニングメニューでは、筋肉痛になりそうもなくなった。もっと負荷を増やさなくて。こん棒がほしい。こん棒を鉄線バットに合成して、重くしてもらおうか。強度も高くなるし。錬金術師の家では合成も行っている。代金は1回200ゴールドだが、太郎の場合は半額の100ゴールドでいいという。今までは金がないので無縁だと思っていたが、今は必須な気がした。鈴から電話が来ないかなと必死で念じてたら、電話が来た。やったぜ!
「はい! もしもし!」
「あ、太郎くん住所教えてー」
「あ、はい。もちろん」
「それじゃ、またねー」
念願の鈴からの電話はわずか1分で終了した。なんだよ…もっと話そうよ。悩んでても仕方ない。皮手袋を装備して、鉄線バットに更に鉄線を巻き付ける。これで更に増量できたぞ。先端の重みが増した事で端を持つとずりと重さが増した。これは筋肉に来るぞ。太郎は新しい筋肉作りに熱中していった。
昼になり、いい感じに腕の筋肉をいじめ抜いた太郎は風呂に入り、それから昼食にした。すると、食べ終わった直後に、玄関のチャイムが鳴った。何だろうと思ったら、宅急便だった。お急ぎ便と書かれたワッペンをしている。
「佐竹鈴さんからのお荷物です。受け取りのハンコお願いします」
俺は猫の置物の下に隠してあるハンコを取り出し、ハンコを押した。箱はかなり重い。何なのだろうか。箱は2つ。横に長い箱と、大きい箱だ。部屋に持ち帰り、大きい箱を開けてみる。すると未来のゲーム機が入っていた。
「これ欲しかったんだよ!」
次に長い箱を開けてみると布にくるまれた長い何かが入っている。開けてみると大きな剣だった。俺は慌てて電話をする。
「もしもし、鈴さんですか? 荷物届きました。嬉しいです。ありがとうございます。お礼に何でもします!」
「そう。よかった。トレーニング頑張ってね。じゃ、また…ん、何でもする? その言葉覚えておいてね後悔しても知らないんだから」
俺はお礼を言うと、未来のゲーム機のセッティングをした。オンライン機能は無いが、凄かった。本物の異世界のようなクオリティだった。練習用の大剣もあるし。ゲームの電源を入れてみると、前に遊んだ俺のデータが入っている。新品のように見えて、一度開封してある気がしたのはこのせいか。鈴さんがデータを移してくれていたんだな。
山田太郎はそれから夜までゲームを遊び、レアアイテム落としに熱中した。そして思った。異世界でもレアアイテム探ししないとなと。山田太郎は大剣を鞘と共に背中に背負った。ベルトの重量が肩に気持ちいい刺激を与えた。肩こりが治りそう。
「やあ、来たかい後輩」
「こんばんは先輩」
山田太郎はバス停でいつものように幽霊先輩と話をする。
「今日はとても楽しい事があったようだね。ストレスがゼロになっているよ」
「本当ですか。幽霊になるとそこまでわかるようになるんですね」
突然、幽霊先輩は悲しそうな顔をしてこう言った。
「生前もこれだけ色々わかれば良かったな。生前の俺は筋肉バカの鈍感で、今とは真逆だったんだ。死んだ今は肉体が無いから、力でごり押しする事も出来ず、頭を使うしかなくなったから、こうなった。生きてる時も頭脳派だったのなら、どんなに良かっただろう」
幽霊先輩は語りだした。
「今は自分で本も持てないから、図書館か家で誰かが読んでる本を覗き見してるんだ。漫画の最新刊とかだと、家まで付いて行ったりする事もあるんだ。全く、体が無いのは不便なようでいて、便利な所もあるなら変な気持ちだよね」
更に幽霊先輩は語り続ける。
「体がどうの繋がりでね、鈴の事なんだ。俺が死んでから鈴は全くその、やってないんだ。その、なんだ。夜の生活を。だから霊力が弾け飛ぶ寸前にまで膨張している。だからさ、発散しようとしたら受け止めてやってくれ。絶対に断らないように。それじゃ、またな、後輩。鈴を頼んだぞ」
幽霊先輩は語るだけ語ると去って行った。異世界バスに乗り込むと、いつもと雰囲気が違った。全員が挨拶してくる。全員に挨拶を返して一番後ろの席にたどり着いた。
「太郎くん。何でもするって言ったわよね。今日は未来で一緒に過ごしましょう」
「あー鈴さんずるい抜け駆けだー」
「ごめんね、ゆっけ何でもするって言った太郎くんが悪いのよ。お願いがあるの。錬金術師の所は任せていい?」
「もちろんいいよー鈴さんには何個も恩返し残ってるしー今回の事も許しておくよー」
「ありがとうゆっけ」
「いいってことさー」
山田太郎はドキドキが止まらなかったこれって未来でデートなのではないだろか。




