表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/48

10人まで絞れた!

僕はいつもの婚活ビルへ向かい1階会社フロアの今猿コンサルティングまで来た。今猿(いまさる)コンサルティングの人達は忙しいから会社に行かないと捕まらない。


─コンコン


「失礼します。如月(きさらぎ)さんはいますでしょうか?」

僕はそろりとドアを開け言った。


「あーまたあなたね。客室で待っててください」

今猿コンサルティングの男性社員の人が言った。


どうやら顔パスで行けるぐらい覚えてもらったらしい。

客室で如月さんが来るまで待っていた。


~しばらくして~

如月さんがやっと来た

「橘さん。丁度仕事終わったので飲みながらお話しましょう」

僕達は近くの居酒屋に行った。


「お話ってなんですか? 」

如月さんがチューハイを一気に空にする。


「蔵子さんを脅迫したやつと今猿さんを怪我させたやつを探すのを協力してもらえないでしょうか? 」

僕がそう言うと、如月さんが僕をじっと見た。


「えらい! 橘さん。今からタメ語でいいよ! 私達も全力で探してるんだけど、何を協力すればいいの? 」

如月さんは急にタメ語になった。


「はい。何をしたらいいか頭打ちしていて……知ってることを教えて欲しい……で……んだ。こっちも教えるんで」

僕はタメ語に慣れずたどたどしく言った。


「14年前も前のことだからほとんど証拠はないのよねえ。蔵子は『学校内にいる人物』だとまでは分かったらしいけど」

如月さんや今猿さんでもやっぱり無理か。


「こっちは権蔵に調べさせたんだけど、『僕が会ったことのある人物』ということは分かったけど、しかし、学校内にいる人物で会ったことがある人なんてたくさんいるから探せないよ」

はあーどうしたものか……


「私達は蔵子を脅迫してた人物と誠を怪我させた黒幕は同じだと思ってるの。手口が似ているから」

如月さんは真剣に言った。

同じやつがやった可能性が高いな。


「権蔵。それを踏まえてもう1回調べてくれ」

僕は小声で言った。


「えー結構大変なんじゃぞ! 」

権蔵は嫌がっている。


「頼む」

僕は必死に頼んだ。


「そこまで言うならわかった……ふんぬ! 」

権蔵は何やら唱え始めた。


「だめじゃ。怨念が強すぎて本人まで行けやんかった。『権太の記憶に残っている人物』で『蔵子と関わりがあった人物』じゃ」

権蔵は疲れ果てている。


『僕の記憶に残っている人物』で『蔵子さんと関わりがあった人物』とすると、だいぶ絞れるな。


「今権蔵に調べ直してもらったら僕の記憶に残り、蔵子さんとかかわり合いがある人物みたいだよ」

僕も疲れ果てていた。


「権蔵さん。すごいね! 」

如月さんは感心している。


「僕が言うのもなんですが、権蔵のこと簡単に信用していいんですか? 」

見えもしないものを簡単に信じられるだろうか?


「誠も蔵子も信じてるから。橘さんが嘘を言うと思えないし。橘さん!高校時代に思いつく人言ってみて」

如月さんがそう言って豪快にチューハイを飲み干した。


「親友の葛城縁(くずきえにし)、吹奏楽部の部長の小栗沙耶(おぐりさや)先輩、嫌味なやつの不知火駿一(しらぬいしゅんいち)、同じ吹奏楽部で仲良かった天沢 智(あまさわさとる)、吹奏楽部の先輩で皆に慕われていた聖川勝也(ひじりかわかつや)先輩、吹奏楽部で同じクラスの、あまり存在感がない田中、高校自体モテモテだった青柳翔(あおやなぎしょう)、元野球部で友達の小清水健一(こしみずけんいち)、縁と付き合っていた片岡あやめさん、あと蔵子さんをライバル視していた中川海未(なかがわうみ)さん……えーとあとは浮かびません……」


僕は思い出そうとしたが思い出せなかった。


如月はすらすらと漢字でメモしている。

「10人まで絞れたわけだね!その10人を調べてみるよ。そもそもなぜ誠ではなく私に? 」


「蔵子さんが今記憶喪失なことは知ってるかな?」

僕も紙に名前をメモをした。

「誠からだいたい聞いたわ。」

如月さんはうなづいている。


「実は蔵子さんの記憶を取り戻すことにも協力してほしいんです。如月さんは今猿さんのこと好きでしょう? 僕と同じ境遇だから如月さんに」

如月さんにはメリットのある話だと思った。


「それは橘さんや権蔵さんには悪いけど協力できないわ。誠も好きだけど、蔵子は親友よ。それに蔵子も誠も蔵子が記憶を失っている今の方が幸せそうだから。好きな人の幸せなんて壊せないわ」

しかし如月さんは真剣な面持ち(おももち)で言った。


権蔵は如月さんの話を黙って聞いていた。

なんという正論……僕はメリットがあるとかなんて(みにく)いことを言ってたんだろう。


「分かった。無理なことを言って申し訳ありませんでした」

僕は如月さんに謝った。


「犯人探しはいつでも協力するから言って」

そう言って、如月さんは飲み代を僕の分も奢ってくれた。



~帰り道~

たしかに笹野ありすも小豆沢蔵子(あずさわくらこ)も好きだった。でも僕は後悔したくないとか、自分のことばかり考えていた。僕の記憶が消され僕のことをなんとも思っておらず、今猿さんに心が移ってしまった蔵子さん。


今は波風立てずにそのままにしておいた方がやはり幸せなのではないだろうか。


僕には入る隙なんて、記憶がなくなった時にもうなかったのかもしれない。


もうやめよう……これ以上醜くなりたくない。

蔵子さんや今猿さんに迷惑をかけられルビを付けるテキスト(ルビ)ない。


蔵子さんを不幸にしたくない。

僕は悩みながら夜道を歩いたのだった。

読んでくださりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ