青柳翔
小清水健一に青柳翔くんと連絡を取ってみてもらった。
すると、明日の午後なら空いてるらしい。
小清水健一……いや人魂様は青柳翔くんの会社の住所を書いた紙を渡してくれた。
~翌日~
青柳翔くんの会社に来てみたらビルでかっ!
何階建てだよ!40階以上はあるぞ!
「うわあー大きいのう!権太の会社より遥かに大きいのう! 」
「うるさいやい。行くぞ」
僕は入口を通って受け付けに向かった。
「あの……今日青柳翔社長と会う約束をしている橘と申します!」
うわあーなんか緊張するなあ。
「はい。本日14時から予約されてる橘様ですね。ではこのカードをお持ちください」
ずっしりとしているすごいハイテクっぽいカードを渡された。
「ではそちらのエレベーターにカードをかざしてください」
僕がカードをかざすとエレベーターが開いた。僕はエレベーターに乗った。
すると何階か押さないのに勝手に動いた。
そして1秒ぐらいで止まり、エレベーターが開いた。
すると目の前に『社長室』と書いてあった。
僕が社長室のドアをノックしようとしたがその前にドアが開いた。
「やあ。いらっしゃい。橘くんだっけ?」
青柳翔くんは僕のことを覚えてないようだ。
「青柳くん。どうも……小清水健一からの紹介で来た橘権太です」
僕は緊張して思わず敬語になってしまった。
「僕が異世界人ということは知ってるね」
「はい」
「君も異世界人と人魂様に聞いたが……? 」
青柳くんも健一が人魂様と知っているようだ。
「違います! 僕は異世界人の守護霊がいるだけです」
健一はちゃんと僕のことは説明していないようだ。
「そうなのか……人魂様が異世界人のが友達にしやすいって言ってたからな。守護霊は高校の時から取り憑いてるのかな? 」
「いやちょうど1年ぐらいです」
僕は月日を数えながら言った。
「そっか。普通に友達になっただけか」
「高校時代に蔵子さんが脅迫されていました。心当たりは? 」
僕はいよいよ本題を切り出す。
「小栗先輩が怪しいヤツをみたって騒いでたな。背が中ぐらいって言ってたから俺じゃないぜ」
僕は『小栗部長が見たやつは背は中ぐらい』をメモした。
「蔵子さんのことはどう思ってたんですか? 」
「今もハーレム状態で俺はモテモテだが小豆沢さん以上の女はいないな! 誰も手が出せない高貴なオーラがあるな。この俺がどんだけ口説いても無理だった。橘くんも諦めた方がいい。あんなイケメンじゃ勝てっこない」
不知火と同じことを言われてしまった……
異世界人でも口説き落とせない蔵子さんはすごいな。
「今はどう思ってるんですか……? 」
「諦めたよ。転生する前は顔と才能と運動能力がよければ誰からもモテると思ったがそれは違うと思い知らされたよ。好きな人と必ず結ばれますようにと願えばよかったな」
モテモテでこんなお金持ちなら幸せだと思ったけど青柳くんも悩みがあるんだなあ。
「なあ、そっちの守護霊の人の世界の話を聞かせてくれないかな? 」
「なんでじゃ?」
「なんでか?と言ってます」
僕が権蔵の言葉を青柳くんに伝えた。
「異世界人仲間だからさ。ただの好奇心だよ。俺から話しをしようか」
「仲間か! いいのう。ぜひ聞かせて欲しいのじゃ! 」
「いいみたいです。ぜひ聞かせてください! 」
僕も興味津々だった。
「俺がいた異世界はここでいう機械の発展がすごくてな。人間も改造して病などない世界だった。でもなんでも揃って不自由しないから結婚しない人が劇的に増えたんだ。この世界みたいに『婚活』でもあればよかったんだが…結局顔がよく才能ある人間から精子をもらい、外で卵子と受精させ機械の中で育てる。生まれた赤ん坊を女性が育てる。こんな感じさ。だから転生前の俺みたいな顔も良くない才能もないやつは遺伝子は残せなかったんだよ。だから今はハーレムを作り遺伝子を沢山残そうってわけ」
なんだか異世界人も大変なんだな。
「ワシの世界は逆にこの世界とは違い『婚活』が平安時代からあったのじゃ。この世界とはそれしか違わん。柊愛長としてワシは19歳の時に婚活で本妻と結婚……なかなかお子が出来ず次々と側室を婚活で見つけた。そしてやっと一人娘雲母が生まれたのじゃ。目に入れても痛くないほど可愛かった。ワシによく仕えてくれた部下がふたりいてのう。1人は戦で大活躍した武士の息子須藤久信、家柄もよく冷静で頭が良くてなわしによく助言してくれた。もうひとりは農民から這い上がってきた坂田真太郎。こやつは世話焼きで不思議な魅力がある男じゃった。わしの世話を一生懸命やってくれたわい。まあよく怒られもしたが……まあこのことは史実にも載ってないし、わしもショックで最近思い出したんじゃ」
僕は権蔵の言葉を青柳くんに話した。
権蔵……子供がいたのか?
何でそんな大事なことを忘れていたのか……
しかし、青柳翔の世界はサイバーな世界だったんだな。
異世界人に会えるとは嬉しいな。今度桂にも自慢しよう。
「すごい! すごいです! カッコイイ! 青柳くん」
僕はラノベが大好きなので思わず青柳くんを褒めていた。
「そうか? 橘くんには特別にうちの商品を見せてあげよう」
青柳くんは褒められて気分を良くしたようだ。
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