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嘘だろ?

橘権太(たちばなごんた)(かつら)から蔵子(くらこ)さんが警察に連れて行かれたことを聞いた。

「嘘だろ? 何で……?」

僕は固まって動けずにいた。


「なんでもトラックの運転手が『小豆沢蔵子に頼まれた』って言ったらしいっすよ。」


「……」

僕はショックなあまり何も言えなかった。

なんで……蔵子さんがするはずないじゃないか!

とにかく蔵子さんに土日に会いに行ってみよう。


警察に行っても面会は家族か弁護士でないとダメらしい。


僕は警察の前のベンチで座り込んでいた。


「蔵子さん……どうなるんだろう? 」

僕は権蔵に話しかけていた。


「まあ、あやつなら大丈夫じゃろう」


「今、蔵子って言ったか?」

黒いシルクハットに黒いくたびれたスーツを着たパンチパーマの40代ぐらいの男性が話しかけてきた。


「はい。そうですけど……」

この人は誰だろう……?


「来な。小豆沢蔵子(あずさわくらこ)に会わせてやる」

40代の男性は僕についてくるように促した。


「失礼ですがあなたは誰ですか? 蔵子さんとどう関係あるんですか? 」


「ああ、自己紹介がまだだったな。こういうものだ」

40代の男性は名刺を取り出し僕に渡す。

僕も名刺を40代の男性に渡した。


名刺

薬研探偵・弁護士事務所

所長 薬研空真(やげんくうま)


「弁護士さんなんですか?」

よく見ると、胸に弁護士バッチがついている。


「ああ、探偵もやってる。何でも屋だ。橘権太くん。俺の助手のふりをしろ」

なんで僕の名前を知ってるんだ? なんか上から目線で偉そうだな。いきなりタメ口で命令口調だし……まあ蔵子さんに会うためだ。我慢しよう!


「はい。蔵子さんとはどうゆう関係ですか? 」


「俺が若い時に蔵子のおやじさんに世話になったんだ。蔵子は子供の時から知ってる」


~警察にて~

「薬研先生、橘さん!どうしてここに? 」

蔵子さんはだいぶやつれていた。


「蔵子さん大丈夫ですか? 」


「大丈夫……でも確実な証拠があるみたいで……でも私には身に覚えがないです」

全然大丈夫そうに見えない。


「蔵子ちゃん。確実な証拠とは?」

薬研先生は腕を組んで言った。


「私とトラックの運転手のやり取りが入ったICレコーダーです。聞かされたんですけど声が私なんです……」

蔵子さんは相当参っているようだ。ICレコーダーとはかなりの証拠だ。でも蔵子さんがやるわけない。きっと何か解決策があるはずだ。


「まだ諦めないで下さい。僕がなんとかします! 」

僕は必死に蔵子さんに訴えかけた。


「なぜ私のためにそこまでしてくれるんですか? 」

蔵子さんが僕を見つめる。


「それは蔵子さんがす、す、す」

僕が『好きだから』と言いかけた時に薬研先生が一言言った。

「俺も真犯人を探し出す」


「ありがとうございます!薬研先生。橘さん」

薬研先生にいい所を持っていかれたな。

そして、面会時間は終了した。


警察から出ると、背の高いイケメンとすれ違った。

「蔵子さんのお兄さん?」

僕は思わず2度見をして言った。


「すみません。えーとどなたでしたっけ? 」

蔵子さんのお兄さんは僕のことを覚えてないようだ。


「蔵子さんの元同僚の橘です」


「ああ、思い出した! 橘くん。蔵子に会いに来たんですか? 」


「はい……」


「家族と弁護士以外は入れないはずでしたが」

蔵子さんのお兄さんが(いぶか)しげな顔をした。


「俺の助手だ」

薬研先生が一言だけ言った。


「薬研先生お久しぶりです。そうだったんですね。それでは……急いでるので。」

蔵子さんのお兄さんは薬研先生に握手をした。


「橘くん。僕を呼ぶ時は智之(ともゆき)でいいから」

そう言って、ニコリと智之さんは微笑んだ。


「じゃあ俺もここで……じゃあな」

薬研先生も帰って行った。


~帰り道~

「なんとかすると言ったものの……どうしよう? 」

僕は権蔵に相談した。


「はこべに助言してもろたらどうじゃ?」


「何ではこべさんに? 」

「はこべは頭の回転が早い。わしもよう助言してもろたわ」

今までの柊愛長の賢君ぶりはまさか……はこべさんのおかげ?


小豆沢光さんは今日は霊媒師さんの所に力と一緒にいるはずだ。僕達は霊媒師さんの所に向かい、光さんと霊媒師さんに事情を説明した。


すぐに霊媒が始まり、はこべさんが出てきた。

愛長(つぐなが)さま。またいらしたんですか? 」


「今日は助言を頼みたくてな」

権蔵がそう言うと僕ははこべさんに事情を説明した。


「なるほど。分かりました。おそらくこの問題はすぐに解決します。今まで通り調査をお続けになって下さい」

すぐに解決する? こんなに不利な条件で?


「私からの助言は小清水健一小清水健一(こしみずけんいち)様に早くお会いになった方がいいでしょう」


「健一に?」


「はい。1番役に立つ人物でしょう」

今猿(いまさる)さんや如月(きさらぎ)さんや薬研先生よりも?


「分かりました!すぐに連絡を取ってみます!」

僕は慌ててスマホの連絡帳を見る。


「愛長様……おそらく私がこうしてお話できるのは最後になるでしょう」


「3回までのはずじゃ。まだ1回ある」


「おそらく3回目はこの子の体力が持たないでしょう。こうしてまた柊愛長様にお会いできて、本当は嬉しかったです」

はこべさんは寂しそうに言う。


「待て! はこべ! わしがまた会う方法を探し出すから待っててくれ!」


「そこまで言うなら必ず会いに来てもいいですよ……忘れたら許さないですから」

そこで霊媒が終わり、はこべ()さんは意識を失った。

「はこべ~」

権蔵はしばらく泣いていた。

読んで下さりありがとうございます!(≧▽≦)

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