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質問タイム



「ギル、剣を教えると言っていたが相手は誰?もしかしてあの馬鹿?」

「いや、あの馬鹿王子は現在留学中だから国にいねぇよ」

「そうか、ならよかった」



ハツメと共に城を目指してるとハツメがそんなことを聞いてくる


そういえば勇者のこと伝えるの忘れてたな


ちなみに馬鹿王子とは正真正銘この国の王子様


ちょっと過保護に育てられたせいで残念な育っちゃった王子様である

ハツメや勇者たちと同年代だから、あの女の子大好き王子様がいないタイミングで勇者を呼んだのは最善かもな



意図せずとかじゃなくてマーリンがそういう所まで考えたんだろうな



留学斡旋したのもマーリンだしな、全てあの天才の計画通りってわけなのかね



「それで誰なの?」

「あぁなんと異世界からやってきた勇者様たちだよ」

「ギル、私でももう少し面白い冗談が言える」



いや、冗談じゃないっての


とは言ってもいきなり勇者とか言われてもこう反応するのが普通なのか



「冗談だったら楽なんだけどな、それが本当なんだよ」

「じゃあ昨日ギルが呼ばれてたのって?」

「あぁ全団長勢揃いでな。あ、一応だけど勇者のことは内密だからな」

「そうか、勇者か。強いのか?」

「いや、とんでもねぇスキル持ってるのは何人かいるけどな...戦場にたったことあるようなやつは一人もいねぇな」

「そうか、使えない無能しかいないのか」



いや、そうだけどね?もうちょっとオブラートに包んだ言い方した方がいいからね?



俺は昨日の夜にマーリンの部下から受け取った資料を取り出してハツメに渡す



その資料には勇者たちの顔写真付きで名前や年齢、性別、そして保有するスキルの詳細など様々なことが書かれていた


「こいつら極東人か?」

「いや、異世界人だから違うな。俺も似てると思ったけど。だけど極東人が初代勇者の血が流れてるって話が本当の可能性は高くなったな」

「私以外の極東人をこっちに来てから中々見ないから不思議な気持ちだ」



逆に俺は極東人に慣れていたから勇者たちの顔立ちにあまり違和感を感じなかったんだけどな



「剣は今日から教えるのか?」

「んー、いやどうだろうな。そういう管理は全部マーリンに任せてるし」

「じゃあ今日は1日暇という可能性」

「あぁ充分高いぜ」



俺の答えにハツメは「それはいい」と笑う


兄妹揃って怠け者でなによりだ




「ギル、待ってましたよ。それにハツメさんも」

「よぉマーリン、ハツメは俺の助手って扱いでいいか?」

「えぇ同年代の人がいると勇者たちにもいいことですのでかまいませんよ」

「賢者、よろしく」



ハツメの単調な挨拶にマーリンは「はは、賢者なんてやめてくださいよ」と答える


胡散臭い笑顔と無表情、なかなかシュールな絵面だよ


「んで、今日は何やるんだ?」

「今日からしばらくは座学が基本でしょうか。午後からは修練場の方で体術や魔法の訓練、ギルとハツメさんの出番は午後から頼みます」

「なーるほど、じゃあ俺たちは午前中は何してりゃいいんだ?」

「そうですね、手伝って欲しいことがあるかもしれないので後ろの方で座って見てくれてると助かりますね」



午前中は毎日フリーだと期待したがそんなに甘くないか



そしてマーリンの案内の元勇者たちがいる部屋へと向かう




「そういえばお前は助手とかつけないのか?」

「もちろんつけますよ、流石に私一人では指導しきれない可能性もあるので」

「今日は来てないのか?」

「いえ、先に勇者たちの案内をさせているのでここにいないだけですよ」



マーリンの助手か、となるとあいつが一番可能性が高そうか



「おサボりさんがようやく来たようね」

「やっぱりお前だったか」



扉の前にたっていたのは赤髪の女



名前はセリア、マーリンが団長をしている第3魔法師団の副団長だ

セリアとはマーリン繋がりで知り合ってそれなりに気がしれている、ハツメも同様に「セーちゃんやっほ」と挨拶してる



歳は俺と同い年ではあるがマーリンや俺と同様若くして上位職につけた天才である


第1騎士団団長のアーク爺さんの孫であるせいでコネでなったんじゃないかとか言われてるがマーリンが選んだ人材だそれはありえない


正直コネ云々の話でいえば俺の方がそういうのに近い形だしな



「とりあえず基本的にこのメンツで勇者の指導をしていく感じか?」

「えぇそうなるでしょう。ですが基礎を教えるうちはなるべくマンツーマンがいいですから、お互いの団から何人か人員を連れてくる日もあると思います」



その方が正直ありがたい、団長である俺は現場指揮という素晴らしい役職にあたれるからな



「団長、勇者様たちは既にこちらの部屋で待機していますのでいつでもよろしいかと」


ハツメと楽しいそうに会話してたセリアが真面目な顔付きでマーリンに話しかける


マーリンも「では行きましょうか」と返すから、すぐに部屋に入りそうだな



マーリンを先頭に扉の前に並ぶ



「あんたがよく指導役なんて選ばれたわね」

「ほんとだよ、お前の爺さんには沢山文句言いたい気分だっての」


コソッと話しかけてきたセリアに俺は愚痴を返しておく


そしてマーリンが扉を開き中へと入り俺達もあとに続く




「みなさんこんにちは、昨日も挨拶させてもらいましたがもう一度。みなさんの指導役をやらせていただきます第3魔法師団団長マーリンと言います。そして私の隣にいますのが私の助手を務めます第3魔法師団副団長セリアと言います」

「改めてよろしくお願いします。第3魔法師団副団長セリアです、よろしくお願いします」



マーリンとセリアが揃ってお辞儀をする


そしたマーリンがこちらに目配せをする、次は俺たちの出番か



「マーリン同様昨日挨拶させてもらったがもう一度。第7騎士団団長ギルフォートだ。そして俺の隣にいるのが助手をやらせてもらう第7騎士団団員のハツメだ」

「ハツメだ、よろしく」



ハツメはブイサインをしながら自己紹介をする


行動とテンションがあってないがこれがハツメちゃんクオリティである



勇者たちはお互いのことを知っているいるからという理由で勇者たちの自己紹介はなし


俺たちが努力して覚えろって話か、されても覚えれないだろうから結局時間が助けてくれるだろ



そして俺たちのことをもう少し知ってもらうために何故か質問の時間というのが設けられる



「はいはい、マーリンさんって彼女はいるんですかっ?」

「今はお恥ずかしいですが、お付き合いしてる女性はいません」



マーリンが笑顔で答えると勇者の女性陣たちから黄色い声が響く


つーか、初っ端からそういう質問かよ...


「はいはい!!セリアさんは彼氏はいるんですか!?」

「私も残念ながらいません」



男性陣から「オォ」と歓声があがる


セリアの方も笑顔だが、明らかに心は笑ってなかった


セリアに対しては恋愛の話はご法度だ

これまでの付き合いでそれはわかっていた、何回も俺は酒場で愚痴聞かされて八つ当たりされてるからな



「じゃあハツメちゃんは!?」

「付き合ってる男はいない。だが何を隠そうこの隣にいるギルが私の許嫁だ」

「......っておい嘘はやめろバカ。こいつと俺は兄妹だ、冗談だから信じないでくれよ」


適当に流していたがハツメがいきなり爆弾を出してきた


こいつ何食わぬ顔で今みたいなタチの悪い冗談ぶっ込んでくるから困る


ただ顔立ちから髪の色まで一つも似てないから兄妹と言われても信じられないのはいつもの事だが



勇者たちもそういう感じだ



「俺とハツメは血が繋がってないんだ、俺が赤ん坊の時にこいつの爺さんに俺は拾われたんだ」

「つまり結婚はできる」

「だからそういうのをやめろって言ってんだろ」



俺とハツメが言い合っていると部屋の中にドッと笑いが起きる



一応血が繋がってないとか、赤ん坊の時拾われたとか重い過去を匂わせるようなカミングアウトしたのだがハツメのお茶目で逆に空気が解れてなによりだ


その後も質問コーナーは続く、俺らの年齢だったり騎士団、魔法師団は普段どんなことしてるとか



勇者と俺たちとのあいだにあった壁は少しだけ取り除かれた気がする



あと俺だけ付き合ってる人いるかって聞かれなかったのかってあれだよね?

俺とハツメの話があったせいだよね?決して誰も俺に興味がなかったとかそういうのじゃないよね?

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