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廃れ大地の鎮魂歌  作者: ハブ広
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Desert・Requiem

プロローグ -世界の屑篭から-

「幸せになってくれー〇〇〇」

 涙腺が決壊し、濡れまくった頬を袖で拭わずに、今にも釣りそうな腕と片手を必死に伸ばし続けるが彼に望むものには届くことはなかった。

 何故…あんな嘘をついたのさ…酷いよ。

 少年のひび割れた心の隙間から黒い物がズルズルと這い上がってくる。檻の中から解放されたいという願望を叶えるために無限に生えてくる腕が暴れまくっていた。

 大きな背中を見せ続ける者に対する尊敬する思いは一気に恨みや憎しみで染め上げられた。

「さあ、おいで〇〇〇、ここは誰も拒絶する人はいないよ」

 背後から聞こえてくる優しさに包まれた声が新たな首輪のようにも感じた。今までの心地よかった居場所を失った上に捨てられたという真実から自分を癒そうと、後ろの家に繋がる鎖に従う。

―あれから数年後―

何で、何で僕を裏切るんだ…僕はただ、ハウスルールに従っていただけなのに…皆や先生と仲良くしていたいだけなのに。

「哀れだな、〇〇〇。人生の内に二度も捨てられる経験をしないといけないとは」

 いつも愛しいように自分を見つめてくれる瞳が蔑むように鋭く見下している。

「あばよ、おまえはもううちには不要だ。ゴミは屑篭の中に片付けなければな」

 強く握りしめていた自分の右手首をパッと離した、もうすでに用済みだというように訴えかける顔と衣を濡らす曇天から降り注ぐ土砂降りの雨。

 ああ…自分は何を信じたのだろう、何をしたかったのだろう、所詮他人を信じても捨てられる。違う、信じた自分が悪い、始めから信じなければ良かった。敵意を向け続ければ他人など寄ってこない、孤独を貫き続ければ、あんな思いと苦汁は味わうことは無い。

 少年は落とされた穴の底で意識が消えるまで穴の入り口を睨んでいた。

皆さんこんにちは、初めましてハブ広と申します。これは私の初投稿とある作品です。長い間考え続けてきた人の価値をテーマに作りました。拙い文章の羅列になってしまっているところも少なからずありますが、一行、一文でも読んでくれると幸いです。

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