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愉快なキャストたちが《ゲスト》へ心からのオモテナシをします!

 部屋の中は凄惨な光景が広がっていた。


 部屋中が乾いた血の様な赤黒いシミで彩られており、壁や天井には赤黒いシミが沢山付いたノコギリやチェーンソー、大型のハサミにテレビやネットなどでしか見たことが無いような数々の拷問器具の様なものが吊り下げられていた。

 また、床には人間や動物の物と思われる頭蓋骨や臓物などが散りばめられており、数々の使用済みと思われる拷問器具も無造作に臓物と共に転がっていた。


 そして、部屋の中央には3体の俺たちが見慣れたモノたちがいた…。


 その内の2体は、裏野ドリームランドマスコットのドリラビ君の妹と弟である、ウララビちゃんとノララビ君だった。

 

 2体はそれぞれ手に血の付いた凶器を持っていた。

 妹のウララビちゃんは、人間の胴体程度ならば切断出来そうな位の大きさをしたハサミを持っており、弟のノララビ君は先程まで使用していた様に見える大きな肉切り包丁を持っていた。


 そして、部屋の中央には拷問などに用いられる様な頑丈な椅子に拘束された裏野ドリームランドのマスコットであるドリラビ君らしきモノ(・・)があった。

 何故自信を持ってドリラビ君だと断言することが出来なかったのかと言えば、ドリラビ君だけは他のマスコットとは大きく違う点があったからだ。

 

 それは、ドリラビ君のトレードマークであるにやけた顔をした頭が無かったからだ…。


 俺たちが扉を開けた瞬間に見たのは、ちょうどドリラビ君だけが2体のマスコットによって頭部と両足が綺麗に切断され、2体のマスコットと拘束された椅子の周囲に赤い鮮血が飛び散る光景であった。


 そして、更に衝撃的な光景がその場で起きることとなった。

 2体のマスコットは、つい先程切り落としたと思われる頭部を肉切り包丁とハサミを使ってさらに細切れにし、その肉塊を着ぐるみの口に当たる部分に持ってきた。

 すると突然、着ぐるみの口の奥から人間の口とは異なるSF映画に出て来るような生き物の口が現れ、2体で仲良く肉塊をグチャグチャと食べ始めた。

 

 その光景はまさに悪夢そのものと言っても良いものであったが、俺はその様子を見て幸いにも声を出すことは免れた。

 だが、俺は後ろに千尋がいることを失念していた。


「ひぃ…!?」

 千尋は目の前の光景を見て反射的に声を上げてしまった。


 そして、それは当然目の前で食事をしていた怪物たちにも聞こえていたようだ。

 異形の口を引っ込め、血まみれになった顔をこちらに向けた奴らは俺たちの姿を捉えると、それぞれが手に凶器を持ったままゆっくりとゾンビの様にこちらに向けて歩き出した。


「不味い、気付かれた!?千尋、逃げるぞ!!」

「タク君、ごめん…!!」


 千尋は自分が仕出かしたことを謝ったが、俺は仕方がないことだと思った。

 俺はたまたま声を出さずに済んだが、普通ならばあんな光景を見れば動揺して声ぐらい出しても仕方がないと思った。

 そして、俺たちは背後から2体の化け物が歩いてくる音をBGMに聞きながら、急いで来た道を引き返すのだった。


 もと来た場所へ戻る途中で俺たちはおかしなことに気付いた。

 1つは、いくら下りるのに時間がかかったとはいえもう既に暖炉があった場所に着いても良い頃の筈なのに、一向に階段には終わりが見えなかったこと。

 もう1つは、さっきからずっとあの怪物たちの近づく音が背後の階段から聞こえて来ることだった。

 あの図体とゾンビが歩くようなゆっくりとしたスピードでは、とてもではないが俺たちに追いつけるはずがなかった。

 それなのに、俺たちの歩みが速かろうと遅かろうとまるで一定の距離を保って移動しているかのように、延々と音が聞こえていた。



『頭が欲しい、足はいらない~…♪』

 加えて、先程から壊れたスピーカーの様に陽気で場違いな歌が繰り返し聞こえていた。



「はぁ…はぁ…くそっ…!?いつまで経っても大広間には戻れねえし、さっきから聞こえるこの変な歌は何だよ!?」

俺は悪態を付きながらも、俺より足の遅い千尋の手を引っ張りながら階段を昇り続けた。


「はぁ…はぁ…もしかして」

 俺と一緒に階段を昇る千尋は、何かに気付いた様に呟いた。


「ねえ…タク君。もしかしてだけど、この歌の内容ってあの紙のことを言っているのかもしれない…」

 千尋は何かしらの確信を持った様子で、走りながらも先程自分がトイレで見つけた紙に目を通すのだった。


「どういうことだ…?」

 そう尋ねる俺に、千尋は自分の考えを披露するのだった。

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